リニューアルはしたが、機器の更新を今回見送った背景を探る
新京成の8815編成は7月から検査、改造を受け、11月末に出場試運転しました。
リニューアル編成としては8番目で、これまでリニューアルされた7編成と同じ内容で再登場したと思いました。
直接、リニューアルされた編成を見たわけではありませんが、投稿された方々の写真等を拝見すると、制御装置GTOサイリスタのフルSic VVVFインバータ変更が今回、行なわれなかったようです。
これまでのリニューアル編成の経過からは、まったく想定できなかったことです。
なぜ装置を変更しなかったのでしょうか。
JR中央線グリーン車導入遅れの理由と同じく、世界的な半導体不足の影響が関係しているのでしょうか。
部品全体の値上がりによるものでしょうか。
経費節減で内装のリニューアルにとどめたのでしょうか。
改造費用に対する節減効果バランスによるものでしょうか。
それとも、この拙文の後に出てきますが、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金との関連でしょうか。
2017年2月22日付け新京成電鉄ホームページで「8800形電車の内装をリニューアルします」の記事があります。
その中で、今回の8815編成の装置未改造の関連部分を見ると、
「(前略)今後、毎年度1編成ずつ更新する予定です。
(中略)
リニューアルする8800形は昭和61年に導入した形式で、今回、床下機器更新工事と合わせて実施しました。
主回路システムを昨年2月より採用した「フルSiC適用VVVFインバータ装置」に変更し、未更新の8800形と比べて46.9%、最新のN800形と比べても19.7%の省エネルギー効果があります。」
本文の注釈説明として、
「本事業は、一般社団法人低炭素社会創出促進協会より交付された平成28年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(省CO2型社会の構築に向けた社会ストック対策支援事業)により整備されたものです。」
「 平成28年8月から平成29年1月までの直近6カ月間の営業運転(松戸~千葉中央間)における使用電力量の調査による実測値です。」
との内容があります。
読み返してみると、見出しに「内装をリニューアルします」とありますが、リニューアルするのは内装であり、主回路システムの変更までは触れていません。
また「今回、床下機器更新工事と合わせて実施しました。」とありますが、「今回」とは広い意味では内装リニューアル編成全体を指すと思われますが、狭い意味では「今回」とはあくまで8807編成固有の話と言えなくもありません。
8815編成は、内装リニューアルはしていますよ、しかしそれは必ずしも床下機器更新工事まで含んだ意味ではないんですよ、ということになるのでしょうか。
現在、外見で確認できる部分は、急行灯・運行番号表示器、LED蛍光灯化、パンタグラフのシングルアーム式化、誘導無線IRアンテナの未設置の箇所までです。
実際に運用を再開した時に確認したい箇所は、
・誘導無線IRアンテナがない分、京成用のIR無線電話器周辺はどう変わったか。
・京成線乗り入れ用の機器類は、前回改造の8812編成と相違はあるか。
・乗務員室の「乗入非対応」ステッカーはまだ貼られているか。
・客室内は8812編成と相違はあるか。
・新たに設置、変更又は廃止された機器があるか。
・蛍光灯一体の防犯カメラは設置されているか。また、どのような形状、配置か。
・制御装置の音は改造前と全く同じか。
以上のようなところでしょうか。
今後の予想として、京成線乗り入れは、京成千葉線でのSR無線完全使用後と思われます。
その時は同時に80000形3編成も乗り入れると思います。
気になるのはリニューアルの最終予定車、8814編成の改造内容です。
京成用の誘導無線装置は設置済みなので、制御装置が今回の8815編成と同じ未改造になるのかどうか。
改造実施は2023年か、2024年か。
8814編成の改造でリニューアルは一段落しますが、リニューアル編成が走り続けるのは今から15年後が一つの区切りでしょうか。
その際、未改造の8815編成は、内装リニューアルにより他のリニューアル編成並みに長く使われるかどうか。
最終に製造された編成なので案外、ありうるかもしれません。
8800形全体の動きには今後とも目が離せないところです。