平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

列車トイレとクロスシート設置 JRには要望、私鉄には寛大?

小田急線新宿-小田原の状況を例に、JR東日本と比べてみました

東京-小田原の列車移動は、JR東日本東海道線小田急、どちらに乗るかの選択があります。

小田急の運賃は安く、新宿-小田原の快速急行往復運賃が、JR普通列車の片道運賃と同額近いイメージがあります。

小田急の特急ロマンスカーに乗車しても、JR普通運賃とさほどの運賃差はありません。

小田急ではさらに、6歳以上12歳未満の子ども運賃が、小児用ICカードの導入で片道50円にしました。

新宿-小田原が片道50円とは驚異です。

運転本数も快速急行は毎時3往復、JR湘南新宿ラインは同1往復で小田急が便利です。

運賃と本数で見る限りは、JR選択の余地は小さくなります。

 

小田急快速急行乗車でのリスクはあるでしょうか。

本厚木-新松田が各駅停車になること、座席はロングシートのみ、列車トイレ無しといったところかと思われます。

ここで感じることは、ロングシートや列車トイレ無しの状況でも小田急への利用者要望の声がJRより少ないことです。

言い換えればJR東日本東海道線電車がクロスシートと列車トイレの両方とも備えていなかったら、利用者の声はどうだったかということです。

現在の東海道線は、ほとんどが東北・高崎線に直通しています。

そんな長距離運転でクロスシートもトイレもないのはおかしいという話になりますが、実は上野東京ライン開通前の、東京止まりの時代でも東海道線ではクロスシートとトイレは必須要件でした。

小田急の通勤電車にトイレを設置したら、ただでさえ混雑しているのにトイレがあるために車内がなおさら混雑して迷惑という評価になるでしょうか。

JRは15両編成の有利さもあるでしょうが、小田急と同じ10両編成であっても混雑時のトイレ設置が迷惑という評価にはならないところが異なります。

 

JR東日本には「東京の電車特定区間」があります。

東京から大船、久里浜、高尾、奥多摩、武蔵五日市、大宮、取手、千葉、千葉みなとまでの区間を指します。

電車特定区間内で運用する電車は首都圏の混雑事情もあって、4扉ロングシート、トイレ無しの通勤形電車で受け止められています。

ただしこの区間を越えると「電車特定区間」が「東京近郊区間」に変わります。

たとえ一部車両だけであってもクロスシート、トイレ付きがあたかも当然のような近郊形電車が求められるようになります。

近年はこれに加えて2階建てグリーン車2両連結も近郊形電車の要件になりつつあります。

 

小田急は小田原で終わりますが、東海道線は小田原まででなく静岡、極端に言えば大阪までの長距離区間の一部とさえ捉える見方もあります。

東海道線の場合、電車特定区間京浜東北線が折り返す大船までであり、平塚、小田原方面は東京近郊区間、中・長距離列車区間の一部になるため、クロスシート、トイレ付きが求められてくるわけです。

 

小田急の新宿-小田原は、快速急行の4扉ロングシートのイメージと併せて、通勤電車区間と認識されており、東海道線の存在もあって、中・長距離のイメージは少ないかと思われます。

加えて運賃の安さが4扉ロングシート、トイレ無しの欲求を補いますし、不満ならロマンスカーに乗れば解消できます。

 

大手私鉄小田急に限らず、京急の品川-久里浜、京成の上野-成田、つくばエクスプレス(TX)の秋葉原-つくば等も類似していると感じます。

つまり、並走する横須賀線総武線常磐線(上野-土浦)は近郊区間ゆえにトイレ、グリーン車付きですが、京急、京成、TXは通勤区間ゆえに設備要望の声はあまり聞こえません。

短絡的な言い方かもしれませんがJR東日本には何かと要望がしたくなり、対して私鉄には現状でよいとの寛大な?受け止め意識があるようにも感じられました。

 

★補足

横須賀線電車特定区間ですが、かつては東海道線と同じ線路を走っていた経緯もあり、東海道線と同じくグリーン車とトイレ付きの近郊形と通勤形の折衷型路線です。

(ただしE235系投入により普通車はロングシートだけになります。)

また、京葉線経由、東京-勝浦の長距離運用でロングシート、トイレ無しは例外的な事例です。

 

※写真は本文と無関係です。