JR東日本のダイヤ改正チラシに見る鉄道側の事情を、うがった見方で想定してみました
JR各社はホームページで案内をしているほか、主要駅にチラシを設置して広告しています。
チラシの趣旨は、一般の人に改正での話題周知を図り、列車利用を促進することです。
今回は、JR東日本の首都圏の駅構内で配布しているチラシについて取り上げます。
チラシの内容は鉄道ファンにとっては、すでに周知のものばかりでとくに目新しい情報があるわけではありません。
それでは話は終わってしまいますので、チラシを作る鉄道側の苦労を想像してみたいと思います。
いつものことですが、何の根拠もない筆者の勝手な想定内容ですのでご承知ください。
チラシ作成のポイントは全4頁の中に、いかに明るい話題を入れるかです。
今回の明るい話題は、上越新幹線の速度向上による時間短縮、高崎線・吾妻線特急のリニューアル車両置き換え、京葉線幕張豊砂駅開業、青梅線東京直通列車と五日市線立川直通列車の増強、中央線の午前中新宿到着列車の東京直通化などです。
明るい話題だけ掲載して、その反対の話題を省略しては会社の姿勢が問われます。
そのため明るくない話題(列車廃止、本数削減、編成両数削減、ワンマン運転、料金値上げ等)を、いかにさりげなく盛り込むかが作り手の戦略です。
しかしそれが前面に出過ぎるとダイヤ改正が悪い印象になります。
今回の場合、グリーン車と寝台車へのシーズン別料金の導入(閑散期には値下げになる「明るい」時もありますが)、JR・東武直通特急の本数減、「ホリデー快速おくたま」の区間短縮と「ホリデー快速あきがわ」の廃止などであり、最後に「ご利用状況に合わせて、輸送体系を見直します。」で本数削減等を匂わせています。
JR・東武直通特急の項で、「特急日光をご利用しやすい時刻に変更します」「特急日光1号の新宿発時刻を2時間程度繰り下げ、利便性を向上します」との説明があります。
これだけ見ると、新宿7時31分発列車が9時34分発になり、車両も「スペーシア」になってサービス向上との印象さえ持ちます。
実際には定期列車4往復が2往復へと半減しています。
本数半減の全体像は隠して、「日光1号」の利用しやすい時刻、利便性向上だけを前面に打ち出すのも鉄道側のテクニックでしょう。
上越新幹線の項では「全列車をE7系に統一します」の見出しで、「グランクラス(飲料・軽食なし)がご利用いただけるようになります」とあります。
そもそも、全列車グランクラス付きに変えながら飲料・軽食なしの体制は胸を張って言えることではないのですが、筆者が鉄道側の立場だったら、開き直って「グランクラスでの東京-新潟の旅はいかがでしょう」というような表記を提案したと思います。
最後に、今回の一番の話題は上越新幹線E7系275km/h運転による最大7分短縮です。
その意味でチラシ表紙がE7系の高速走行流し撮り写真だったら、より宣伝効果もあったかと感じました。