JR東日本の一般形気動車で、キハ100系、110系、E120形の一部や最新型GV‐E400系はクロスシートが2列+1列(4席+2席)配置になっています。
片側を1列にした理由として、混雑が比較的少ない路線への投入であること、混雑時も通路幅が広いこと、閑散時は1列席が快適であることなどが考えられます。
しかしながら、従来の2列+2列と比べ着席定員が減った結果、ある程度の乗車人員になると座れない確率(立席率)が高くなってしまいました。
しかも編成両数、車両長とも短くなっており、その上での2列+1列の座席減の措置は、いくら利用者が減っているとはいえ、好ましいと思えません。
全線復旧した只見線列車など、2列+2列なら着席できたのに、2列+1列にしたために座れなくなった事例を見ると、鉄道が避けられる原因にならないとも限りません。
2列+2列にすると通路幅が狭くなり、混雑時に望ましくないならば、片側2列はそのまま残し、1列側はロングシート化した方がよいと考えます。
座席定員が増え、通路も広くとれます。
クロスシートの快適性の前に、座れる快適性が先決です。
2列席のクロスシートに座った側の人には、ロングシートの人からずっと見られているような印象を受けます。
クロスシートの向かい側席も同じクロスシート配置が望ましいですが、2列+1列の座席定員減の方向がよいとは思えません。
それを両立させる策としては2列+1列でなく、2列クロスシートとロングシートの組み合わせの方が望ましいと考えます。
GV‐E400系のJR北海道版であるH‐100系も同様です。
ロングシートで希望を言えば、3人~4人単位で簡易なものでもよいので、座席に肘掛けを設置してほしいことです。
混雑していない時のロングシートでは、体を横に寄せられると楽になるからです。
加えて、南阿蘇鉄道の最新気動車MT‐4000形のように、3人単位でステンレスパイプを設置すると、着席定員が守られるとともに、座席から立つ時や、立席時の安定にも役立ちます。
ローカル列車でロングシートが嫌われる背景には、車窓が楽しめない、駅弁が食べにくい等の事情もありますが、横に体を預けられないことも一因です。
肘掛け設置により、横に体を預けられない不満は解消します。
車窓が楽しめないといえば、先程の南阿蘇鉄道ではホームページでMT‐4000形気動車のロングシートに触れています。
「車窓から見える雄大な風景との調和」を内装デザインのコンセプトとしており、「ロングシートの車内は、着席時、視線正面に阿蘇の雄大な風景を臨む」との説明がされています。
阿蘇の雄大な風景を臨むならクロスシートというのがこれまでの考え方でした。
南阿蘇鉄道は観光鉄道ゆえ、クロスシートが自然とも思えるところ、あえてロングシートとし、そこから視線正面の風景を臨むという発想の転換をしました。
ロングシートで前に見える車窓を楽しむのも一つの見識であり、今後のローカル列車の座席配置のあり方に一石を投じた考え方です。
東北線、奥羽線、羽越線等で主流の701系ロングシート車など、今後の参考になりそうな思想ではないかと思います。
※写真は本文と無関係です。