平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

東武線両毛地域から羽田空港アクセス線直通の可能性を考える

乗り入れ本数制限のある羽田空港より品川を目指す方が実現性は高い

先般、羽田空港アクセス線(以下、「アクセス線」)新設に関連して、東武伊勢崎線、両毛エリアから東北線羽田空港アクセス線経由で羽田空港直通構想の記事を見かけました。

東京駅での東海道・山陽新幹線接続も兼ねており、構想自体は夢のある内容です。

夢は良いとして実現性はどうか、検証してみたいと思います。

 

現在の新宿発着特急「日光」「きぬがわ」(以下、「東武特急」)の利用は多いとは言えず、2往復に削減された状況の中で、これを東京、羽田空港発着にすることで利用率が向上するかどうかです。

利用率が伸びないのは新宿側への発着だからであり、東京で新幹線接続なら利用状況は違っていたでしょうか。

当初、東京発着の場合、東武浅草に接近しているから効果は弱まるが、新宿なら浅草から離れる分、利用が見込める計算もあったと思われます。

結果的には新宿、池袋、大宮発着を合わせても、東武側の期待ほどは伸びなかったようでした。

東京での新幹線接続は一定の効果が見込めそうではありますが本数、1編成の輸送力とも少ないので利用者増に限りがあります。

 

次に、羽田空港乗り入れについて。

アクセス線が毎時4往復上限の中で東武特急が入り込む余地があるのでしょうか。

4月9日付け拙「JR東日本羽田空港アクセス線 2031年度開業ダイヤを予測する」でも触れましたが、毎時4往復の内訳は普通列車前提で高崎線宇都宮線各1往復、常磐線2往復かと思っています。

この予想が外れていたとしても、東武特急が入り込む余地を作るなら高崎線宇都宮線常磐線で各1往復、残1往復が特急のパターンかと考えられます。

そして毎時1往復が特急の考えなら、東武特急以外に常磐線「ひたち」「ときわ」、高崎線草津・四万」「あかぎ」も可能性が出てきます。

そして毎時運転の「ときわ」が羽田への主流と考えられます。

 

ただし、その前に特急の羽田空港乗り入れにあたり、東京から羽田空港への利用者をどう取り込むのでしょうか。

JR九州宮崎空港線宮崎-宮崎空港と同様、東京-羽田空港を乗車券だけで乗れる措置をJR東日本が行なうことは考えられません。

JR東日本は従来までの特急編成使用の快速列車を、サービス過剰と言わんばかりに次々に特急化していることにも、特急編成には特急料金の姿勢が明確になっています。

従って50キロまでの事前特急料金760円か、特例で500円または希望的観測で300円、いずれかの料金設定と思われます。

 

「ときわ」は10両編成なので輸送力はありますが、東武特急は6両、「草津・四万」「あかぎ」は5両で、東京発着のアクセス線利用者を運びきれません。

「ときわ」でも特急車両ですから、かつての全車2階建て215系のように混雑、混乱、遅延を招く懸念があります。

草津・四万」「あかぎ」は羽田空港-高崎で10両編成は組めるとしても、東武直通特急の両数増は困難です。

結局、特急の羽田乗り入れは東京からの空港客を取り込めず、東京-羽田は毎時3往復の普通列車利用となって乗車の機会を減らすことになります。

ゆえに東武特急が東京直通を果たすなら羽田直通の夢は夢として、常磐線同様に品川発着が現実的と考えます。

 

両毛地区の夢、東武の夢を壊すなと言われそうですが、夢への批判でなく、実現の可能性がある視点での提案です。