平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

奈良への旅行計画の時 京都乗換で億劫がらせる京都の魔力

新幹線京都到着後すぐ観光の京都、列車乗換の奈良のイメージ差

鉄道各社のキャンペーンのフレーズの中でJR東海の「そうだ 京都、行こう」ほど秀逸なフレーズはないでしょう。

「どこへ行こうか?」「どこかいい所、ないかなあ?」と考える時、「そうだ 京都、行こう」が浮かんできます。

隣の奈良県から「うまし うるわし 奈良」「いざいざ奈良」も浮かびますが、「そうだ 京都、行こう」の方に気が向き、足が向きがちです。

ここで奈良への列車移動について東京、名古屋、岡山側の3方向から比較してみます。

 

◆東京から奈良へ

奈良へは、東海道・山陽新幹線京都経由が通常です。

京都を経由せざるを得ないため、奈良は億劫、奈良まで行かなくても京都を見ようという思考が働きます。

奈良の観光計画を戸惑わせる一つの要因です。

 

◆名古屋から奈良へ

近鉄特急が浮かびますが、近鉄名古屋から大阪難波直通はあっても京都直通はありません。

京都直通がないので、大和西大寺から分岐する近鉄奈良直通もありません。

名古屋-大阪はビジネス需要があるため近鉄名古屋大阪難波に特急の設定意義はあるが、名古屋-京都・奈良は新幹線と張り合うのをやめたダイヤとなっています。

近鉄名古屋近鉄奈良は鶴橋での1回乗り換えか、大和八木と大和西大寺の2回乗り換えのいずれかの選択になります。

鶴橋経由は、乗り換えが1回だけなのはよいのですが、鶴橋は大阪から7.7kmの距離であり、大阪に行ってから逆戻りのイメージがあります。

大和八木と大和西大寺のコースは、2回乗り換えが億劫です。

所要1時間30分前後の「のぞみ」京都経由でどうぞ、京都-奈良派近鉄京都線のご利用をという印象があります。

近鉄は名古屋-京都、名古屋-奈良への直通特急設定に意義は見出していないと考えられます。

 

〇JR関西線は?

名古屋-奈良は133.9km、2,310円で最短距離であり、安価ですが、亀山と加茂の2回乗り換えがあり、亀山-加茂の1時間間隔の運転本数、この区間だけで1時間20分程度かかる乗車時間、1~2両の短編成の状況から、青春18きっぷ使用時以外は計画の土俵にさえなりにくいコースで、もったいない気がします。

 

2006年まで走っていた急行「かすが」は名古屋-奈良を最短2時間08分で結んでいました。

現在は普通列車で2時間50分程度であり、近鉄特急鶴橋経由の約2時間40分と時間的な遜色はありませんが、名古屋-亀山がJR東海、亀山-奈良がJR西日本と2社に分かれた結果、名古屋-奈良の輸送改善意欲は減退しました。

JR東海は亀山から名古屋側、JR西日本は加茂から奈良側が関心事で、亀山-加茂は取り残されました。

1980年に整備された草津線全線電化(柘植電化)の波及で、柘植-亀山、加茂-柘植も電化を期待し、名古屋-柘植-奈良・京都の直通列車を願いましたが逆の結果になりました。

高山-大阪の特急「ひだ」がJR東海のHC85系に変わってもJR西日本との協調で存続しているのとは対照的です。

以前の急行「かすが」JR東海キハ75でしたが、HC85系の観光列車版による名古屋-奈良-おおさか東線-新大阪-大阪の設定を願いたいものです。

 

◆岡山側-奈良

東海道・山陽新幹線での京都を経由せず新大阪乗り換えが短距離ですが、時間短縮度、乗り換え容易さ等から京都経由も見られます。

ここでも京都に一瞬、後ろ髪を引かれます。

新大阪-奈良をJR利用の場合、通常は大阪まで一駅だけ乗り、関西線の大和路快速へと2回の乗り換えです。

2019年からおおさか東線久宝寺経由でも奈良に行けるようになりましたが、新大阪-奈良の直通列車は1日4往復で、通常は久宝寺乗り換えが基本です。

臨時特急「まほろば」は新大阪-奈良間ノンストップですが所要時間は快速と同等で、運転速度も遅すぎます。

おおさか東線経由の大阪-新大阪-奈良の直通快速充実が望まれますが、JR西日本は特急「まほろば」で充足させようとしている印象があります。

近鉄大阪難波近鉄奈良-京都の特急設定に倣っているのでしょうか。

 

◆「列車なら」

「うまし うるわし 奈良」「いざいざ奈良」(JR東海)、「いまなら。キャンペーン2023」(奈良県コンベンションセンター)、「歩く・なら」(奈良県)、「わたしは、奈良派」(近鉄)、「地域で鉄道を盛り上げよう!大和鉄道まつり2023」(全国鉄道まつり実行委員会。8月5~6日開催)など、奈良へのキャンペーン、キャッチフレーズは豊富です。

新幹線京都経由はやむを得ないにせよ、京都に着いたらさっさとJR奈良線近鉄京都線に乗り換えて奈良に向かってくれればよいことです。

京都までは新幹線、京都から奈良へは鉄道でという意味では、奈良県JR東海JR西日本近鉄に対して「いざいざ奈良」「わたしは、奈良派」「歩く・なら」とは別に、「列車なら」のような一体協調宣伝を呼び掛けてもよいのではないでしょうか。

奈良は奈良としての、他の観光地では得られない個性に誇りと自信を持って進んでほしいと願います。