平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

常磐線特急が羽田空港アクセス線に直通した時の利点と課題

常磐線特急が羽田空港に乗り入れる可能性、利点、課題を整理します

2031年度開業予定の羽田空港アクセス線に、常磐線特急の一部列車が乗り入れる見通しとの内容の記事を見かけました。

理由として、東北線宇都宮、高崎線高崎から羽田空港新駅(以下、「羽田空港」)へは東北・上越新幹線で東京駅から羽田空港への電車乗り換えで誘導するが、常磐線には新幹線が走っていないこと、東京-羽田空港への1時間4往復の配分は、常磐線特急、常磐線の特急以外(普通列車)、東北線高崎線で各1往復の可能性に触れています。

関係者からの話のようで説得力がありそうです。

 

具体的に東京、羽田空港の両駅の発車時刻でイメージすれば、00分発常磐特急、15分発東北線普通列車、30分発常磐線普通列車、45分発高崎線普通列車のようになります。

羽田空港-東京-大宮は普通列車30分間隔、羽田空港-東京-土浦は特急と普通列車一体で30分間隔と捉えられます。

大宮と土浦から見て、羽田空港へ30分間隔運転の点は2023年4月9日付けの拙「JR東日本羽田空港アクセス線 2031年度開業ダイヤを予測する」と同じですが、筆者の予測は常磐線側は普通列車2往復であり、特急ではなかった点が異なります。

 

◆東京-水戸の日中直通列車は特急のみという常磐線のダイヤ事情

常磐線特急の乗り入れ設定で納得できる点として、常磐線普通列車が日中、東京から土浦で折り返すダイヤ事情があります。

具体的には、下り列車は上野9時25分発から13時32分発までの約4時間、普通列車は土浦行きのみの設定となっています。

上り列車は、土浦10時50分発から16時10分発まで5時間20分、上野方面普通列車は土浦始発のみです。

その時間帯では石岡、水戸方面から羽田空港行きに乗るには、土浦乗り換えが伴います。

 

首都圏から見ると宇都宮、高崎、水戸は同距離、同主要都市のイメージがありますが、宇都宮、高崎からは羽田空港行き普通列車がある一方、水戸からは土浦乗り換えになって常磐線羽田空港直通列車イメージを低下させています。

アクセス線完成時に常磐線普通列車を土浦止まりでなく水戸まで設定すれば済むことですが、土浦以北でのグリーン車付き10両編成が日中は輸送力過剰の利用状況のため、土浦折り返しダイヤとなっていると想定されます。

水戸-羽田空港直通は特急「ときわ」という棲み分けと考えられます。

 

宇都宮、高崎から羽田空港へ急ぐ場合は、東北・上越新幹線で東京まで速達後、東京乗り換えとなります。

宇都宮・高崎-東京の新幹線所要時間は55分程度です。

一方の常磐線は、新幹線がないことは確かですが、東京-水戸は特急「ひたち」で約1時間15分程度です。

55分と75分の20分間という時間差、新幹線と在来線特急との列車の差を大きく見るか、小さく見るかによっても羽田空港アクセスの利便性評価は変わってきます。

20分差がさほど大きくは違わないと評価するならば、前記した「東北線宇都宮、高崎線高崎から羽田空港へは東北・上越新幹線で東京駅から羽田空港への電車乗り換えで誘導する」ことに加えて、「常磐線水戸から羽田空港へは特急「ひたち」で東京駅から羽田空港への電車乗り換えで誘導する」と言い換えることもできます。

新幹線という存在の大きさ、本数の多さ、輸送力の大きさは常磐線にはできません。

 

常磐線特急設定による東京-羽田空港乗車の課題点は

(1)特急料金が伴うこと 

常磐線特急の「ひたち」「ときわ」のどちらが羽田空港へとなれば、柏・土浦・石岡・友部の主要駅停車型「ときわ」と考えられます。

「ときわ」の羽田空港乗り入れで課題となるのは、東京-羽田空港でも特急料金が伴うことです。

田町-羽田空港のアクセス新線の整備区間は約12.4km、所要時間は東京-羽田空港間約18分とされています。

東京-田町の4.6kmを加えると約17.0kmです。

現在の特急料金を適用すると事前料金であっても約17.0kmに760円の追加負担を伴います。

JR九州日豊線宮崎空港線宮崎-宮崎空港の事例を見ると6.0km、約10分で、この区間に限り特急「ひゅうが」「にちりん」「にちりんシーガイア」に乗車券のみで乗車可能、特急料金不要としています。

JR東日本宮崎空港同様、東京-羽田空港に限り特急料金不要にすれば別ですが、特急料金は課すと想定します。

仮に東京-羽田空港だけ特急料金不要にすると、他の普通列車にせず特急の時間帯に合わせて乗るケースが多くなります。

事前料金であっても300円程度の額を設定すると思われますが400円、500円の設定も考えられます。

 

(2)普通列車乗車の場合、30分待つ時間帯が生じること

特急料金に負担感があれば、毎時残3往復の普通列車利用となります。

普通列車ダイヤは20分間隔とはならず、特急が毎時1往復を担う結果、00・15・45分発のようなダイヤになり、一部時間帯は30分間隔になります。

特急料金が伴っても00・15・30・45分発の15分間隔として受け入れられるかどうかになります。

首都圏では今後の中央線快速を含め、普通列車グリーン車は定着しており、東京-羽田空港の特急乗車も受け入れられるようにも思います。

 

(3)「ときわ」の輸送力

「ときわ」前提で定員600席です。

普通列車では列車形式、号車により座席数は異なりますが、1両単位での概算座席数は先頭車40席、中間車54席、グリーン車は90席です。

10両編成で550席以上、15両編成で800席以上となります。

満席での立席乗車は、特急では座席構造と編成両数から混雑しやすく、普通列車の方が有利です。

羽田空港発の「ときわ」に、東京までの利用者が多く着席すると、羽田空港から水戸方面への本来の列車主旨、水戸方面利用者への支障が出てきます。

「ときわ」であっても土浦まで5両の付属編成を増結した15両編成化、かつての「フレッシュひたち」で行なっていたE653系7両2組で上野-水戸・勝田間14両編成のような輸送力増強策も考える余地があります。

 

羽田空港アクセス線開業まではまだ時間があります。

今後の約8年までの間に常磐線等の利用状況が変化することも考えられます。

JR東日本には柔軟な対応をお願いしたいと思います。