平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

新京成8800形と8900形の今後 長く走り続けるのはどちらか?

通常なら8800形の後継車8900形の方が長く走るのが自然ですが、果たして?

昨日の「新京成80046新製車の営業運転日と80000形の投入計画を予測する」の関連編です。

2023年は8900形デビュー30周年ということで、記念乗車券発売のほか、8918編成にステッカー式のヘッドマーク掲示するなどして、8900形を盛り上げているところです。

誕生したのは1993年で、8800形誕生よりも10年後であり、それだけ8800形よりも新しく、役目を終える順序を考えれば8800形の後に8900形と考えるのが順当ですが、果たしてそのようになるでしょうか。

今回は、8800形とその後継の8900形とを比較しながら、どちらがより長く走り続けるかを項目別に探ってみたいと思います。

 

8800形と8900形比較で、有利な方の形式

〇 製造両数の多さ:8800形

8800形は1986年から1991年までの6年間で8連12編成、計96両製造され、2006年から2014年の9年にかけて6連16編成に組み替えられました。

8900形は1993年から1996年の間に8連3編成、計24両製造で、2014年に6連3編成に組み替えられましたが、本来なら6連4編成の所、中間の付随車、計6両は廃車されました。

全盛期の96両対24両、16編成対3編成の差は決定的で、鉄道側にとっても8800形の方が扱いやすい、信頼性が高いと言えそうです。

 

〇 1編成の電動車の割合:8800形

8800形は3M3T、8900形は4M2Tで、8800形の方が電動車のM車割合が編成の半分で理想的です。

なお、新京成N800形、80000形は京成仕様との関連で4M2Tの方向となっています。

その点でも8800形の3Mは経済的な編成です。

 

〇 車体の経済性:8900形

軽量オールステンレス車体の8900形です。

車体の腐食がないのは強みです。

8800形の先行きの心配と言えば、一番は鋼製車体による車体の腐食です。

 

〇 機器の最新性、維持管理:8800形(リニューアル編成)

8800形は全16編成のうち半数の8編成をリニューアル化し、フルSicインバータを採用しました。

8900形は元8000形のインバータ素子を流用改造しています。

8900形の床下機器の多さを見た後で、8800形リニューアル車、フルSicインバータの床下機器を見ると大きな差があります。

車体の軽量化では8900形でも、機器の軽量化による車体全体の重量ではリニューアル編成の8800形となります。

 

〇 乗降ドア:8800形

8800形は通常の一般形ドア、8900形はワイドドアです。

皮肉にも8900形登場時にはワイドドアの需要は薄れてきていて、その乗降時間短縮効果が発揮されたとは言えませんでした。

8両編成を必要としなくなった現在ではなおさらです。

 

〇 座席配置:8800形

8800形の座席寸法は旧8000形と同じですが、中間の10人掛けを1人分減らした9人掛けとしたのは賢明で、ゆったり着席できます。

8900形は8人掛けで、8800形より1人減員の割には狭苦しいのは、ワイドドアの採用による結果でした。

ただし車端4人掛けの横幅は、8900形は余裕がありますが、8800形は狭すぎます。

また、先頭車の車椅子部分は元の9人掛けを6人掛けにしましたが、6人では狭苦しく、5人掛けの方が望ましかったと感じます。

車両全体としては中央部9人掛け席の方が座席比率が高いことから、8800形となります。

 

〇 京成乗り入れ:8800形

8800形は京成に沢山乗り入れますが、8900形は京成乗り入れ装備がありません。

N800形全5編成と8800形のうち12編成が京成に乗り入れる中、8900形が3編成だけの点や、ワイドドアの特殊性等を考慮したとも考えられます。

8900形の屋根上に残る誘導無線の台座の跡が物悲しく映ります。

 

〇 運転台ノッチの方式:8900形

8800形の両数が多いため、8800のツーハンドルが乗務員にも歓迎されているかのようにも感じますが、その後の流れでN800形、80000形はT型ワンハンドルであり、今後はワンハンドルが主体となるのは確実です。

結果論としてはワンハンドルの8900形の方が先見の明となりました。

 

〇 車椅子スペース:8800形

8800形の車椅子スペースは、先頭車の乗務員室寄り、9人掛け座席を6人掛けにして、スペースを確保しました。

8900形は当初から乗務員室背後の、助士席側に設けました。

面積から見ると8800形の方が広くなっています。

 

〇 乗降ドア上の車内案内LED表示器:8900形

8800形は左右ドアの片側だけの設置です。

8900形は左右両方に設置されています。

かつての8900形には時刻表示などの情報もありました。

 

〇 冷房容量:8900形

8800形は集約分散式10,500kval/h3基で31,500kval/h。

8900形は同じく集約分散式18,000kval/h2基で36,000kval/hで、8900形の方が容量が勝ります。

 

〇 窓の開閉:8900形

8900形は大きな窓のすべてが開けられて、横幅面積も十分あります。

8800形は当初は全部の窓開閉が可能でしたがその後、連続する3枚窓のうち中央の窓だけ開閉可能のままとし、乗降ドア寄りは固定化しました。

1両全体の片側方向で見ると、8枚の窓のうち、車端の各1枚と中央部の各2枚、計4枚だけの開閉で、半分は開けられなくしました。

合理化策として分からなくはありませんが、中央部3枚窓は左右の2枚を開閉式、中央部を固定式にする方が望ましかったと感じます。

 

〇 連結面のドア:8900形

8800形の連結面のドアは、4号車の松戸側、1か所のみです。

8連を6連化する際に、各編成の余剰2両を集めて6連化した通称B編成の連結面ドアは同4号車の京成津田沼側ですが、編成に1カ所の点は同じです。

また、ドアの形状は両開き、観音開き型です、

8900形は各車両の両脇にあり、一般的な片側開きで扱いやすく、冬の防風面でも勝っています。

 

〇 座席肘掛け:8800形(リニューアル編成)

これも世の流れで、ドア付近の立客と防風策を兼ねた8800形リニューアル編成の形状が勝ります。

8900形はJR東日本、当時の国鉄時代の205系と同じ形状ですが、新京成でもこの仕切り方式は定着しませんでした。

 

〇 ラインデリアの配置:8800形

各車両、同じ6基の配置ですが、8800形は間隔がほぼ均等です。

8900形は2台の冷房装置の配置上、ラインデリアが車端に偏っている配置です。

 

〇 側面行き先表示器:8900形

8800形は小型であり、8900形の方が大きく見やすいです。

 

結論:8800形リニューアル編成の方が8900形よりも長く走り続ける

以上を総合すると、8800形リニューアル編成、フルSicインバータの8編成の数が、8900形3編成に勝り、維持管理面で床下機器が少ない同編成は有利であり、京成乗り入れの運用点でも同様です。

通年の運用状況を見ても8900形は積極的に活躍しているとは見えず、8800形が主流です。

 

8800形のリニューアルが9編成で完了しましたが、その次の策として8900形もリニューアルするかと言えば、行なわないと考えられます。

仮にリニューアル化しても京成乗り入れはしないと思われ、理由の一つとしてワイドドアも弱みです。

8800形、N800形に加えて京成乗り入れを果たすなら8900形でなく80000形の方です。

 

現在、8928編成が検査中ですが、検査終了後、8918・8938と合わせた全3編成が線内運用でフル活用に変わるかどうかが見ものです。

とはいえ、床下機器を比較すれば8900形3編成がいかに頑張っても8800形リニューアル8編成(8815編成を除いた数)は越えられないと考えます。