青春18きっぷがなくても普通列車で旅行に出かける人は、はたしてどれくらいいるでしょうか?
2024年夏の青春18きっぷ(以下、「青春18」)の発売公表が遅かったため、発売をやめるのではないか、廃止されるのではないかとの憶測が飛び交いました。
一部からは発売停止(中止)、廃止を断定したブログ等も見られ、発売公表の後になっても、今後は見直しや廃止があっても不思議ではないと、自説が間違っていないことを暗に主張し続けるものも見受けられました。
この2024年夏、7月20日以降、青春18で待望の夏休み旅行ができるわけですが、あるブログで、普通列車が好きだったら青春18がなくても通常の運賃でも乗りに行くという趣旨の文面を見かけました。
青春18がなくても、正規の運賃で乗ってくれるならJR側にとってもありがたい話ですが、仮に今回、青春18の発売がなかったとしてもはたして普通列車旅行に出かけるでしょうか。
また、普通列車での旅行回数はどうでしょうか。
これに関するデータがないため、交流範囲の狭い筆者ではありますが、狭いなりに過去に語り合ってきた人たちとのやりとりを思い起こしながら想像してみました。
〇 自分一人だけで青春18を5回分使う人は
青春18の購入は5回乗車となるため、年齢的には全般に若い人が中心で、年齢が高くなるほど、青春18での鈍行旅行から新幹線・特急へと志向が変わっていくように見受けました。
首都圏で青春18を使う際は、距離が長いほどグリーン車の傾向が見られます。
収入は若い時より多い半面、体力は減ってくる、仕事の立場や責任の関係で休める日は限られる、自身の自由時間が減ってくる年代ゆえでしょうか。
仮に青春18がない場合、1人で5回出かける(または5日間連続乗車等)という条件がなくなるので、通常の普通乗車券等で出かける出費増はあっても、5回も出かける必要がなくなり、かえって気軽になれるという声を多く聞きました。
ただしその際、出かける回数は多くても3回程度だろう、と。
また、青春18に代わって普通乗車券を使う分、片道だけ新幹線や特急乗車も利用できる柔軟性ができる、という人もいました。
東京-大阪で、青春18があるなら在来線普通列車で行くが、ないなら東京-名古屋は新幹線、名古屋からは転換クロスシートで高速運転の新快速という人や、名古屋からは近鉄という声も聞きました。
東京-大阪の普通列車旅も青春18があってこそのものという感じをもちました。
青春18がなくても普通乗車券で行くかどうか、青春18が発売していない時期でも鈍行移動するかとなると、通常運賃8,910円と青春18の2,410円とを比較することになります。
さらに、一日分を移動で消費すること、移動時間の長さから、見えない出費も多くなることなど、マイナス面を考える傾向が見られました。
高齢になると青春18という名称で使うことへの気恥ずかしさ、抵抗感もありましたが、今では青春18が社会的にも定着しているため、割り切って使える点ではよかったと思います。
〇 グループ旅行として青春18を使う人は
安さ優先で青春18を選んでおり、青春18が発売されないならば、普通列車利用にこだわらず、新幹線や特急を利用するとの考えが多いように感じました。
また、JR東日本の「週末パス」や「休日おでかけパス」など、他のフリー切符情報を見てから、そのフリー切符の範囲内で行き先を決めるという話もありました。
「北海道&東日本パス」のような、一人で連続7日間は対象外です。
1枚の切符で複数人が同時使用可能というのが、青春18の吸引力であることを感じました。
クルマ好きな人がグループ内にいた場合
クルマの好きな人が仲間の中にいると、青春18がなければクルマになりやすい傾向を感じました。
ただし、運転する人だけは飲酒ができないので、全員で飲酒したいとの理由から、通常の切符であっても列車利用とする人や、全員が仮眠しながら移動できる点でも列車という、鉄道の隠れた利点を指摘する人もいました。
〇 家族旅行として青春18を使う人
青春18があるなら、たまには家族で日帰り鉄道旅行をしてみようかというケースです。
家族旅行の場合、青春18がなかったら普通列車どころか鉄道自体を使わず、クルマに変更するケースが多いように受け止めました。
こどもは半額であっても通常の乗車券では負担が増えるので論外、まして新幹線や特急では料金負担も増えるのでなおさらというところです。
ただし、青春18は大人・こども同額なので、首都圏の範囲内で、こども半額の「休日おでかけパス」を使うという人もいました。
新幹線に乗りたいというこどもの声を受け、東北新幹線大宮-小山または上越新幹線大宮-熊谷で高速体感をさせると喜ぶ、と。
その際、帰路を新幹線にするのが秘訣で、往路で新幹線に乗ると、帰りも新幹線に乗りたいと叫ぶため、楽しみは最後に残しておく方がよい、とも。
青春18がなかったら・・・東京発のフリー切符の発売状況を見る
いずれもJR東日本管内が前提です。
東京で、JR東海・JR西日本のエリアまで通用するフリー切符はありません。
1人の使用で7日間連続11,330円です。
青春18の5回分12,050円より安価であり、5日間までであっても連続乗車なら青春18より単価は下がります。
〇 休日おでかけパス
土曜・休日と、7月20日~8月31日の毎日を対象に、東京から小田原、大月、寄居、神保原、本庄早稲田、足利、自治医大、土浦、成田空港、成東、茂原、君津、上総亀山までがフリー区間で、有効期間は当日限り、2,720円(Suicaを使った「のんびりホリデーSuicaパス」は2,670円)です。
この範囲であれば、青春18の1枚当たりとの差は310円です。
りんかい線、東京モノレール、特急券別払いで新幹線も乗れます。
青春18での5回分旅行まではしない人、東京から足利、上総亀山の往復ならば安価な切符といえます。
〇 週末パス
土曜・休日の連続2日間限定で、東京から東と西はJR東日本エリアの伊東・南小谷・直江津まで、北は酒田・湯沢・くりこま高原・女川までがエリアで、運賃分のみ8,880円、こども2,600円です。
特急券別払いで新幹線・特急も乗れます。
8月10日~19日は乗車対象日でないので、ご注意ください。
新潟、仙台方面で1泊とすれば運賃は1日あたり4,440円となります。
片道を新幹線や特急乗車とするならば、別に乗車券も購入する必要がある青春18よりも運賃相当分は週末パスの方が得をするという見方もできます。
ひとまず2024年夏の青春18が発売されますので、一人で5回分の普通列車旅行計画を立てるか、仮に3回の普通列車旅行であっても、東京から三島・甲府・水戸であれば、計3日間を日帰り往復すれば元は取れるという発想で楽しみたいと思います。