りんかい線運賃未収防止のため新木場止まりでは臨海部ルートの本領効果に限度がある
旅行総合研究所タビリス、2024年7月25日付け「JR羽田空港アクセス線、気になる疑問点。新駅、運賃、ダイヤはどうなる?」を拝読しました。
JR東日本の羽田空港アクセス線が、東山手ルートと同時に臨海部ルートの開業を目指すことまでは想定しませんでしたが、羽田空港から新木場への短絡・速達ルートができることは喜ばしいことです。
記事の一部を引用させていただきます。
(以下引用)
開業目標を2031年度に設定したということは、りんかい線を運営する東京臨海高速鉄道との調整が済んで、東山手ルートとの同時開業にメドが立ったということでしょう。
~中略~
羽田空港~東京間は18分、羽田空港~新木場間は20分が見込まれています。羽田空港~東京テレポート(お台場)間なら、13分程度でしょう。
東京駅方面は、上野東京ラインに乗り入れて、大宮方面に直通します。新木場方面は京葉線に直通せず、新木場止まりになる見通しです。
~中略~
(※りんかい線の運賃収受の)もう一つの方法として、羽田空港発着の運賃の一部を、東京臨海高速鉄道に一定ルールで分配する案です。これが実現できれば、たとえば新木場以東の千葉方面への乗り入れも検討できそうです。
(以上引用)
りんかい線の運賃取りこぼしを防ぐには、羽田空港からの電車が新木場で折り返す方法がもっとも確実です。
しかしながら、東山手ルートが羽田空港から東京を経由して高崎線・東北線・常磐線に直通する長距離運転に対し、同時に開業する臨海部ルートが新木場止まりではあまりに対照的であり、距離が短すぎます。
羽田空港から新木場直通ルート開拓自体は歓迎されますが、利用者は新木場の先で合流する京葉線接続の線路を横目で見ているだけの光景が続くのでしょうか。
新木場から京葉線への線路がつながっているのですから、観光面で舞浜へ、ビジネス面で海浜幕張へ直通してこそ臨海部ルートの羽田空港アクセス価値が高まると考えます。
せっかくの臨海部ルートでも、羽田空港から舞浜・海浜幕張方面へはすべて新木場乗り換えでは、東山手ルートで東京駅まで直通後、京葉線に乗り換えることとイメージ的にはあまり変わらなくなります。
臨海部ルート新木場からの京葉線直通はぜひとも果たしほしいところです。
羽田空港から臨海部ルートでの京葉線直通列車ダイヤを想定してみます。
列車ダイヤのイメージとして、蘇我方面の快速と、武蔵野線東京方面列車の一部を羽田空港側に振り替えて、毎時00分発・30分発は快速蘇我行き、15分発・45分発は新木場-市川塩浜-西船橋経由の武蔵野線府中本町行きとするのが望ましいと考えます。
武蔵野線内での10分間隔ダイヤと一致しない点については、新木場・舞浜・新浦安などで停車時間を調整すればよいと思います。
りんかい線の運賃取りこぼし防止については、記事にあるとおり「羽田空港発着の運賃の一部を、東京臨海高速鉄道に一定ルールで分配する」ことが望ましい姿です。
東武伊勢崎線(スカイツリーライン)では、北千住から渋谷へ、押上駅経由で東京メトロ半蔵門線直通電車に乗車の際、押上経由を申告せず、東京メトロ日比谷線経由で行ったことにしての、北千住-押上の東武側の運賃未収があります。
これについては、一定のルールで東京メトロから東武へ分配等を行なっていると思われます。
臨海部ルートでのりんかい線経由、京葉線直通の場合も、東武線北千住-押上と運賃確保上の環境は同じです。
すなわち、ICカード乗車において、りんかい線経由での正規運賃聴衆は困難であり、羽田空港から東京駅経由での舞浜・海浜幕張方面への運賃となることは必然で、JR東日本からりんかい線に一定ルールでの分配合意が望まれます。
参考までにこの逆の事例として、東京メトロ東西線経由で中野から津田沼へ平日の直通電車で移動すると、JR総武線経由で高く計算されてしまう不合理なケースもあります。
この総武線経由で計算する強引な考え方を仮に臨海部ルートにも当てはめたら、混乱しかねません。
新木場止まりにすれば運賃未収問題は起きないということで元に戻ってしまっては、臨海部ルートの有効性、機能は半分までしか発揮できないと考えます。
りんかい線は元々、京葉線と同様、東京を経由しない東京外環状線、貨物列車のルートとして建設されました。
臨海部ルートが、東京貨物ターミナル付近で貨物線とも接続すれば、山手線の外側を取り巻く外周ルートが完成します。
東海道線の貨物線から臨海部ルート、新木場を経て蘇我や越谷貨物ターミナル方面に短絡、速達できるようになります。
旅客運賃のりんかい線分配が明確になってからの話であり、またりんかい線の貨物列車走行自体の有効性、トンネル内での安全性、本数等の議論も要しますが、検討には値すると考えます。
JR東日本と東京臨海高速鉄道には、利用者本位の利便性のある柔軟なダイヤと運賃設定を望みたいと思います。
(※ 筆記にあたり、旅行総合研究所タビリス、2024年7月25日付け「JR羽田空港アクセス線、気になる疑問点。新駅、運賃、ダイヤはどうなる?」から一部を引用及び参考にさせていただきました。)