平行普通列車

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東海道新幹線N700S 自動座席転回装置非搭載車両の設計制約とは何か?

2026年度新製車から自動座席転回装置設置の中、5両だけ非搭載の理由について

JR東海は、2024年6月14日付けで「東海道新幹線 N700Sの追加投入について」ニュースリリースしました。

2026年度から2028年度にかけ4編成、7編成、6編成と、3か年で計17編成の投入によりN700Sは計76編成になること、異常時対応能力の強化、環境負荷の低減、一部編成に地上設備の検測装置を搭載し、新幹線電気軌道総合試験車ドクターイエロー)の代替、自動座席転回機能などが謳われています。
今回は、自動座席転回装置による整備作業の省力化について、見てみたいと思います。

 

最新車両でも自動座席転回機能がない号車がある事情

リリースの「整備作業の省力化、自動座席転回装置の搭載」の項において、「車両整備の際に客室の座席を自動で転回させる装置を、一部の号車に搭載します。これにより、車内整備作業を省力化します。」の説明があり、そのあと「※車両設計上の制約により、グリーン車と3、6号車を除く」と添えられています。 

 

自動座席転回装置を搭載する一部の号車とは、1・2・4・5・7、11~16号車の計11両で、1編成あたりの自動座席転回装置搭載率は69%の比率です。

グリーン車の8~10号車と、普通車の3・6号車の計5両(1編成上の比率31%)は、車両設計上の制約により自動座席転回装置を搭載せず、現状同様の作業員による手作業での回転が続くことになるようです。

 

グリーン車と3・6号車には自動座席転回機能がない「車両設計上の制約」とは?

今後、東海道新幹線における車両整備員の人材確保の面においても、自動座席転回装置の搭載による整備作業の効率化、省力化は重要な意義を持つと思われます。

その中で今後、2026年度以降のN700S新製車において、車両設計上の制約ということで16両編成のうち3割にあたる5両については、今後とも手作業での座席回転が続くのは不可思議にも思います。

3・6号車の普通車は、他の11両の普通車と何が違うのでしょうか。

WikipediaN700系、N700S系の号車情報等を見た限りではわかりませんでした。

とくに6号車の746形式のM’車は、14号車の746形式のM’車とまったく同じように思います。

同じ746形式のM’車で、6号車と14号車では「車両設計上の制約」の違いとは何でしょうか。

 

釈迦に説法ではありますが、JR東海が今後新製のN700S、16両編成の全号車に自動座席転回装置を設置した方がよいことは最初からわかっているはずです。

それがわかっている中で「車両設計上の制約」をせざるを得ないのは、はたしてどのような事情によるものでしょうか。

普通車の場合、3・6号車だけ「車両設計上の制約」を課すだけの役目とか、他の11両の普通車と違う装備があるから(または、無いから)でしょうか。

また、グリーン車が3両とも同装置を設置しない「車両設計上の制約」は、グリーン車特有の座席構造やとくに入念な車内整備の必要性によるものでしょうか。

 

それとも「車両設計上の制約」とは、その一定の制約を課さないと座席定員が減となる影響につながるからか、あるいは運行上、安全上、保守管理上の視点でしょうか。

自動座席転回装置非搭載の5両で計87列、385席(85+100+68+64+68席)相当です。

何の事情もわかっていない筆者にはいろいろ勝手な想像が働きます。

 

自動座席転回装置の設置による作業効率化と人材確保の有効性

いずれにしても、将来にわたる作業員の安定確保も考慮すれば、「車両設計上の制約」事情問題の解決に向け、今後のN700S新製時は全車両の自動座席転回装置の装備に向けて善処した方が、限られた短時間の折り返し作業の迅速性や効率化に寄与すると思いますが、いかがでしょうか。