Merkmal(メルクマール)、2024年8月3日付け、「小湊・いすみ鉄道「上総中野駅」で数時間ゆったりできる心の余裕が、今の日本に必要だ!」を拝読しました。
記事の一部を引用させていただきます。
(以下引用)
いきなりだが、あなたは、小湊鉄道(五井駅~上総中野駅。39.1km)といすみ鉄道(上総中野駅~大原駅。26.8km)の接続駅である上総中野駅(千葉県大多喜町)で、何もしない2時間を楽しめるだろうか。
~中略~
慌ただしい日常から離れ、半日から1日程度のマイクロバケーションをとることは、自分と向き合う時間であり、仕事と生活のバランスを考え直し、より生産的で充実した人生を送るための大切な一歩になるかもしれない。だからこそ、一度は上総中野駅で何もしない時間を過ごしていただきたい。
率直にいうと、今の日本に必要なのは、上総中野駅で余裕を持って楽しめる人が増えることなのだ。
(以上引用)
上総中野駅で実際に3時間佇めるでしょうか?
「一度は上総中野駅で何もしない時間を過ごしていただきたい」「今の日本に必要なのは、上総中野駅で余裕を持って楽しめる人が増えることなのだ」という、時には何もしない時間も有意義という趣旨自体はわかります。
記事の中ではその具体例として、「駅のベンチに座り、行き交う人々を眺める」「読書を楽しむ」「駅周辺を散歩する」「想像力を働かせる」「本当に何もしない」などを挙げています。
さて、実際に小湊鉄道といすみ鉄道の接点、上総中野駅で一列車をやり過ごして約3時間佇むことはできるでしょうか。
小湊鉄道からいすみ鉄道への上総中野での乗り継ぎを、何もしないで過ごすことに意義を見出し、駅の観察、読書、周辺の散歩どで過ごせるかといえば、筆者には自信はありません。
筆者はこれまで2回ほど上総中野駅で、列車乗り継ぎの合間の時間で上総中野駅付近を観察したことはありますが、とくにこの2024年夏の陽気で同駅での3時間をつなぐのは退いてしまいます。
小湊鉄道の各駅はどこもローカル味があり、途中下車の価値は十分ですが、3時間何もしないで佇めるかは別で筆者には自信がありません。
駅で何もしないことの価値という視点ならば、全国至る所にもありますが、実際に行動を起こすとなると二の足を踏んでしまいます。
記事の趣旨とは異なりますが、一般的な視点では、実際に行動を起こすには駅自体に一定の景色や演出のある駅ならば食指は動くと思います。
では、記事の趣旨自体はわかるならば、どこの駅なら3時間を過ごせるでしょうか。
姨捨駅ホームからの善光寺平の眺望、雄大さは全国でも一番です。
同駅ホームから眺める善光寺平ならば3時間でも飽きることがありません。
さらにスイッチバックの線路配置、同じ普通列車が前後していく演出が3時間の長い時間でも楽しみを倍加させてくれます。
姨捨駅停車の普通列車は毎時約1往復で設定されており、3時間の佇まいには適当な列車間隔です。
姨捨駅を通過するものの、特急「しなの」が毎時1往復行き来するのも、3時間経過に花を添えます。
青春18きっぷで東京から姨捨駅3時間佇む日帰り往復はできるか?
東京から姨捨に出掛けるなら、土曜・休日は東京6時01分発、平日は5時54分発で高尾へ、高尾からは7時07分発普通列車甲府行きで甲府乗り換え後、松本に11時16分着です。
松本11時30分発長野行きで姨捨に12時20分に到着します。
姨捨12時20分着の時点ですぐ下車してもよいのですがこの場合、乗車列車でのスイッチバック進行の体験はできません。
また、最高地点の姨捨駅から長野方面に下っていく車窓の見どころも味わいたいところです。
そこで、姨捨12時20分着で下車せず、終着の長野12時49分まで列車に乗り、長野13時10分発松本行きで折り返して姨捨で下車することをお薦めします。
このコースならば、姨捨駅で往復計2回のスイッチバック乗車体験もできます。
姨捨駅は13時43分着です。
姨捨駅での3時間は「姨捨駅のベンチに座り、行き交う列車を眺める」ことで十分過ごせると思います。
列車の来ないときは善光寺平眺望、そこに毎時1往復の普通列車が停車してスイッチバックしていき、特急の通過を見ているうちに時間は経過していきます。
姨捨駅では読書は不要であり、「本当に何もしない」で善光寺平の眺望だけでも十分過ごせます。
姨捨下車後、約3時間を経過した16時38分発甲府行き普通列車で、甲府、大月での普通列車乗り継ぎで東京22時41分(土曜・休日は22時31分)着です。
そんな過ごし方では「本当に何もしない」価値がないということで、話は戻ってしまいますが、頭の中での理解と実際の行動とは別と感じます。
姨捨以外の駅で3時間過ごせる駅は?
全国的に思い浮かぶ駅として、順不同ですが大井川鉄道奥大井湖上、山陰線餘部、釧網線北浜、室蘭線北舟岡、五能線驫木、信越線青海川、鶴見線海芝浦、予讃線下灘、大村線千綿、島原鉄道大三東など、ほかにも紀勢線和深・湯川などの駅が思い浮かんできます。
また、木次線出雲坂根は、スイッチバックと延命水があり、展望性とは別の意味で時が過ごせます。
姨捨駅に次ぐ展望の優れた駅として、列車本数を無関係とした、何もない時間を過ごすという意味では大井川鉄道奥大井湖上駅、次いで出雲坂根駅、適当な列車の行き来を含めた場合は山陰線餘部駅を推薦したいと思います。
一度は駅で何もしない時間を過ごす、余裕を持って楽しめる人が増えるという当該記事からはズレた内容ではありますが、駅で過ごすこと自体を楽しめるという視点で書かせていただきました。
(※ 筆記にあたり、Merkmal、2024年8月3日付け、「小湊・いすみ鉄道「上総中野駅」で数時間ゆったりできる心の余裕が、今の日本に必要だ!」を一部引用及び参考にさせていただきました。)
(※ 写真は本文と無関係です。)