非電化による気動車化、単行運転も選択肢では?
阿武隈急行の鉄道存続が伝えられています。
阿武隈急行は全線の交流電化による電車運転で尽力してきましたが、近年の利用低迷から電化設備、電車運用、電車の今後の置き換え等が課題となってきそうです。
これが直流電化であれば、JRや大手私鉄からの車両購入による転属も考えられたでしょうが、阿武隈急行は東北線乗り入れによる交流電化を選択しました。
その結果、他社での交流電車の走行路線や余剰車自体が少ない反動があり、今後の後継車両を見つけるのは容易ではなさそうです。
JR北海道の721系、JR東日本の701系、JR西日本521系(交直両用)、JR九州の811系、いずれも帯に短し襷に長しと感じます。
阿武隈急行主流の8100系をAB900系にして置き替えていくには、JR東日本のE721系購入が手っ取り早いですが、JR東日本は701系の老朽化事情も抱えているため、手放さないと思われます。
阿武隈急行がAB900系新製で置き換えしていくには、費用面等での課題、さらに電化設備保守の維持管理課題があります。
単行運転できない、JRの中古車もない交流電化の泣きどころ
阿武隈急行の後継電車を考える前に、電化設備を継続するかどうかの議論が必要と思われます。
参考となる事例として、西九州新幹線の武雄温泉-長崎開業に伴う、長崎線肥前浜-長崎間67.7キロの架線撤去があります。
阿武隈急行は全線54.9キロで、長崎線の架線撤去距離に近い距離数となっています。
福島発着列車は27往復、槻木発着は22往復、福島・宮城県境の兜-丸森間は17往復です。
長崎線諫早-長崎の、元の電化区間(市布経由)では、非電化区間の大村線直通列車を中心に30往復以上の気動車が走ります。
架線撤去で、単行運転可能な両運転台付きの気動車化が適当?
結論として、阿武隈急行は長崎線同様、架線撤去による気動車化を行ない、気動車はJR東日本GV‐E400系タイプで、両運転台車両が適当と考えます。
トイレはあるに越したことはありませんが、区間運転中心の運用車両はトイレを撤去してもやむを得ないと考えます。
架線撤去費と電化設備の維持管理費、電車と気動車の新製費、電車よりも削減できる気動車の保有車両数、それぞれの比較から、その結論に至ります。
これにより、交流電車では成し得なかった1両での単行運転も可能になります。
また、東北線仙台乗り入れについては便利ではありますが、保有車両数が多くなる要因となることから気動車化を機に線内、槻木折り返しはやむを得ないと考えます。
(※ 筆記にあたり、旅行総合研究所タビリス、2024年10月9日付け「阿武隈急行が存続へ。宮城県側で合意、沿線自治体の負担割合は変更へ」を参考にさせていただきました。)
※ 写真は本文と無関係です。