常磐緩行線のワンマン運転とホームドア整備、快速線の状況等をみる
JR東日本から、2024年11月6日付けで「首都圏主要線区でワンマン運転を実施します」とのニュースリリースがありました。
内容の一部を引用させていただきます。
(以下引用)
1. 首都圏主要線区でのワンマン運転実施計画
・2025年春から、常磐線(各駅停車)綾瀬駅~取手駅間(10両編成)、南武線 川崎駅~立川駅間(6両編成)でワンマン運転を実施します。
・2026年春から、横浜・根岸線 八王子駅~大船駅間(8両編成)でワンマン運転を実施します。
(東神奈川駅~大船駅間は、横浜線車両E233系8両編成のみワンマン運転)
・その後2030年頃までに、山手線、京浜東北・根岸線、中央・総武線(各駅停車)、埼京・川越線においても準備を進め、ワンマン運転を実施する予定です。
~中略~
④ 避難はしごの整備
万が一、列車の外に避難が必要になった場合に使用する避難はしごを、列車の最前部と最後部に整備します。必要によりお客さまご自身でご使用いただけるように設置しておりますが避難の際は、近隣の駅などから係員を派遣するなど安全に配慮した手配を行います(※常磐線(各駅停車)は、乗務員室内)
(以上引用)
以上のことから、2025年春からの常磐緩行線綾瀬-取手と、南武線川崎-立川でのワンマン運転が明らかになりました。
また、2026年春からは横浜線、そして2030年頃までに山手線、京浜東北・根岸線、中央・総武緩行線、埼京線、川越線でのワンマン運転計画が明確になってきました。
常磐線のホームドア整備状況
今回は常磐緩行線(各駅停車)、常磐快速線に絞って状況をみてみます。
ホームドアは以下の経過で整備、供用開始されました。
綾瀬: 2020年3月7日(※東京メトロ管轄)
亀有: 2024年2月9日
金町: 2024年2月1日
松戸: 2024年4月26日
北松戸:2021年10月12日
馬橋: 2021年7月4日
新松戸:2021年12月19日
北小金:2021年9月30日
南柏: 2021年10月28日
柏: 2021年12月9日
北柏: 2022年1月31日
我孫子:2024年6月7日
天王台:2023年12月14日
取手: 2024年1月9日
なお、東京メトロ千代田線綾瀬-代々木上原のホームドアは、2019年度に全駅整備されました。
ワンマン化によって、ホームドア開閉時間とともに、運転士の確認作業で、駅での停車時間、発車時間、所要時間は今よりも長くなる可能性はありそうですが、ホームドアによる安全優先ということで、理解するほかありません。
ホームドアにより人身事故が減らせることも確かです。
10両の長編成電車でのワンマン化は、東京メトロ副都心線等でも実績があります。
常磐緩行線綾瀬-取手では、ATO自動運転機能とホームドアとの相乗効果が、将来の無人運転など、さらなる変化をもたらしていくでしょうか。
また、乗り入れ先の千代田線・小田急線では今後、常磐緩行線ワンマン運転実施により何か変わっていくことはあるでしょうか。
常磐緩行線では、ワンマン化の準備としてすでに2021年3月からATO(自動列車運転装置)を使用開始しており、2025年春で4年経過となります。
将来、ATO活用によるさらなる変化があるかもしれません。
他の路線でも、電車内の乗務員室や駅などに様々な設備機能の設置が検討されています。
JR東日本での他の整備計画路線をはじめ、周辺の私鉄等では、今回の常磐緩行線と南武線でのワンマン化の成果が、どのような影響、変化をもたらすか注目されるところです。
常磐快速線のホームドアは設置見通しは?
常磐緩行線のホームドア整備に比べ、快速線上野-取手のホームドアは未整備です。
常磐快速線の今後についてJR東日本、2022年4月5日付け「バリアフリー設備の整備を促進します~ホームドアは整備を拡大・加速~」のニュースリリースから一部を引用させていただきます。
(以下引用)
JR 東日本では、国および地方自治体のご協力のもと、エリア全体でバリアフリーに関するハード・ソフト両面の取り組みを進めてきました。
今後は、特に早期整備が求められるホームドアについて、東京圏在来線主要路線の線区単位の330 駅 758 番線へ整備拡大することに加え、これまでの計画より1年前倒し 2031 年度末頃までの整備を目指します。
(以上引用)
以上のことから、首都圏330駅758番線について、2031年度末頃までの整備を目指していることがわかります。
この330駅758番線の中に、常磐緩行線の13駅、28番線と、常磐快速線の10駅、26番線が含まれます。
◆ 常磐緩行線:13駅、28番線の内訳
参考までに、常磐緩行線13駅・28番線と、常磐快速線の10駅・26番線の内訳は下記のとおりです。
◆ 常磐緩行線:13駅、28番線の内訳
亀有・金町、北松戸~北柏、天王台・取手の計11駅は各2番線相当。
松戸・我孫子の2駅は各3番線相当。
以上で計13駅、28番線となります。
実際の松戸駅ホームは4~6番線、同じく我孫子駅ホームは6~8番線が該当します。
◆ 常磐快速線:10駅、26番線の内訳
上野・日暮里・三河島・南千住・柏・天王台の5駅は各3番線相当。
北千住・松戸の2駅は各3番線相当。
我孫子・取手の2駅は各4番線相当。
以上で計10駅、26番線となります。
実際のホーム番線では、上野は11・12番線、松戸は1~3番線、我孫子は1・2・4・5番線、3~6番線が該当します。
常磐快速線上野-取手も2031年度末までの整備を目指すが、実際には?
上記の意味では、常磐快速線上野-取手も2031年度末までの整備を目指すことはわかります。
ただし、常磐快速線だけでなく、高尾までの中央快速線、千葉までの総武快速線、平塚までの東海道線、逗子までの横須賀線、大宮までの東北線、蘇我までの京葉線、府中本町-西船橋の武蔵野線、拝島までの青梅線など、多くの路線も整備計画の中に含まれており、これらを全部2031年度末までに完成させるのは難しいと考えられます。
ホームドア整備の優先順位としては各駅停車の電車のみが走る路線が優先で、快速線や中距離電車の線については、ワンマン化や、車両設備、特急列車停車時のドア位置等との関連もあり、整備が後回しになっている状況があります。
常磐快速線を含めての整備時期については、山手線、京浜東北・根岸線、中央・総武緩行線、埼京・川越線の整備見通しが立ってからの話になると思われます。
避難はしごの整備で不可思議なこと
「万が一、列車の外に避難が必要になった場合に使用する避難はしごを、列車の最前部と最後部に整備します。
~中略~
(※常磐線(各駅停車)は、乗務員室内)」とありますが、車掌がいなくなった最後部の乗務員室には、どのようにして入るのでしょうか。
最寄り駅や運転士が最後部の乗務員室に来るまで待つのでしょうか。
他の路線でも見かけますが、最後部の乗務員室内にある消火器の設置案内や、非常時の使い方も同様です。
天王台・取手駅に見るホームドアの矛盾
以前にも書かせていただきましたが、常磐緩行線我孫子-取手の運転本数は平日のみ、朝の通勤時13往復、夕方から夜にかけてが11往復のみです。
8時台後半から17時台まで、この区間に緩行線電車は走りません。
また、土曜・休日は本数ゼロで、まったく走りません。
年末年始や3連休の日などは、3日以上電車が通過しない状況になります。
反面、電車が多く発着する快速線にはホームドアが未整備の矛盾を抱えています。
緩行線電車を日中、取手まで延ばすのはよくても、取手までの快速を成田行きまたは我孫子止まりにすることは地域の理解が得られないため、天王台と取手の緩行線ホームドア、エスカレーター、エレベーターは平日のみの24往復のためだけに、快速線の発着電車の多さを横目に日中の仮眠が今後とも続くのでしょうか。
常磐快速線のホームドア整備の動きについては、今後とも状況を見守りたいと思います。
(※ 筆記にあたり、JR東日本ニュースリリース、2024年11月6日付け「首都圏主要線区でワンマン運転を実施します」、同2022年4月5日付け「バリアフリー設備の整備を促進します~ホームドアは整備を拡大・加速~」、及び常磐線各駅のWikipediaから一部を引用及び参考にさせていただきました。)