ジパング俱楽部存続の場合の「のぞみ」割引除外を見直す余地ありとの提案です
昨日の拙「往復割引だけではない 国鉄時代からの制度や切符は最終的に廃止方向へ?」の関連編です。
今回は、ジパング俱楽部での東海道・山陽新幹線乗り継ぎを考えてみました。
昨日の記事では、ジパング俱楽部も今後は何らかの見直しまたは廃止もあり得るのではないかと勝手予測した内容でした。
今回は、ジパング俱楽部が当面存続するならばという前提での、改善要望の内容です。
その点、予めご了承ください。
ジパング俱楽部は、65歳以上を対象とするJR運賃・料金の割引制度です。
年会費は3,840円、年間20回までのJR列車利用の際、運賃・料金が30%引(入会初年の1回目~3回目のみ20%引)となります。
東海道区間の「のぞみ」は臨時列車を含めて毎時最大12往復ですが、ジパング俱楽部では「のぞみ」は自由席を含めて一切、割引がされません。
山陽・九州新幹線「みずほ」も同様です。
そのため、ジパング俱楽部での東海道新幹線は「ひかり」になりますが、「ひかり」は毎時2往復のみの運転であり、普通車指定席は8両のみのため、指定券確保は本数の多い「のぞみ」以上に苦労することがあります。
8両編成で指定席は4.5両の山陽・九州新幹線「さくら」も同様です。
ジパング俱楽部で、東海道新幹線から山陽新幹線岡山以西にまたがる利用の場合、新大阪や新神戸、岡山での「ひかり」「さくら」乗り継ぎが必要になります。
下り「ひかり」→「さくら」の乗り継ぎダイヤをみる
現在の「ひかり」から「さくら」への乗り継ぎダイヤをみてみます。
東京毎時03分発の岡山「ひかり」は、約4時間で岡山に到着します。
その約8分後に、鹿児島中央行き「さくら」が到着します。
接続待ち時間としては良好です。
岡山は同一ホームのため、乗り換えはあっても階段がない点では楽です。
「さくら」2&2席の快適な指定席に乗るなら、始発の新大阪で乗り換えた方が気分はよく、「のぞみ」の通過待ちもないので望ましいですが唯一、新大阪の乗り換えホームが異なるのが欠点です。
同一ホーム乗換と「さくら」2&2指定席を両立させるには、新神戸で乗り換えることです。
新神戸乗換は同一ホームであり、「さくら」の快適な指定席に岡山よりも長い時間、着席できます。
東京-博多の「ひかり」「さくら」乗り継ぎ所要時間は5時間56分です。
なお、東京毎時33分発の新大阪「ひかり」は、新大阪到着の4分~7分前に「さくら」が発車してしまうため、山陽接続の対象外列車です。
上り「さくら」→「ひかり」の乗り継ぎダイヤをみる
上りの「さくら」→「ひかり」乗り継ぎの場合は、岡山での同一ホーム乗り換えの楽な点を重視すると、岡山で約23分待ちの接続になりますが、この岡山「ひかり」は新大阪までの山陽区間で「のぞみ」に抜かれ、東京到着が遅くなります。
そのため、新大阪まで「さくら」に乗車し、新大阪始発の「ひかり」に19分待ちで乗り継ぐ方が、岡山での「ひかり」乗り継ぎよりも東京に30分速く到着できます。
ただし、新大阪での階段、エスカレーター乗り換えが伴います。
博多-東京の「さくら」「ひかり」乗り継ぎ所要時間は5時間49分です。
毎時最大12往復の「のぞみ」をジパングで割引しないのは、もはや不自然では?
JR東海はこれまで、各種の割引切符について「のぞみ」には乗車できない方針としてきました。
「レール&レンタカーきっぷ」もジパング俱楽部同様、「のぞみ」には乗れません。
かつての「フルムーン夫婦グリーンパス」「ナイスミディパス」も「のぞみ」は乗車不可でした。
1992年に登場した300系「のぞみ」の「特別な車両」のイメージを今でも固辞しているように感じます。
しかしながら、毎時最大12往復になった現在の「のぞみ」は、1992年の300系時代の数往復とは役割が異なります。
「のぞみ」は料金上乗せはあるものの、特別な列車というよりも、東海道新幹線の主流、中心的な存在です。
ジパング俱楽部のほか、レール&レンタカーきっぷも含め、主流の「のぞみ」に乗せず、毎時2往復たらずの「ひかり」に誘導するのはもはや不自然であり、無理があります。
料金の上乗せはあっても、ジパング俱楽部で割引されるJR東日本の東北新幹線「はやぶさ」の姿勢に合わせてもよいのではないでしょうか。
高齢者旅行応援のジパング俱楽部の姿勢はあるか?
65歳以上対象のジパング俱楽部ですが、高齢者になると人によって体力が年々異なってきます。
乗り換えや階段が平気な人もいる反面、エスカレーター、エレベーターが不可欠な人は着実に増えていきます。
東京から岡山以西へは「ひかり」「さくら」で強制的に乗り継ぎさせるJR東海の姿勢は、高齢者が元気に列車旅に出る気持ちを逆なでしているようにも感じられ、見直す余地があるのではないでしょうか。
それとも、それ以前にJRグループ全体として、国鉄時代からの引継ぎ商品であるジパング俱楽部の存在そのものが見直されるでしょうか。
今後の動向を見守りたいと思います。