東京から飛行機と新幹線との選別境界線はどの辺か?
JR6社では、片道600キロを超える区間を往復で同時購入すると往路、帰路ともに運賃を1割引きする往復割引乗車券を2026年3月から廃止します。
東京起点での片道600キロを超える駅は、山陽線垂水、山陰線福知山、阪和線関西空港、東北新幹線二戸、秋田新幹線大曲、上越新幹線・羽越線経由秋田以遠を往復すれば、往復割引の対象となっていますが、この割引が受けられなくなります。
飛行機よりも新幹線の選別に、JR往復割引乗車券の効力はあるか?
往復割引乗車券制度には、鉄道から飛行機への転移防止の趣旨もあったと思われますが、それが廃止となります。
明確なデータはありませんが、往復割引乗車券があるなら、それを活用して、往復飛行機でなく、往復新幹線にしようという人はいると思われます。
ただし、往復列車利用とはいえ、特急券には割引がないことが、列車誘発を今一つ弱くしている面はあるかと思います。
加えて、往復割引乗車券の前に手を加えられた、新幹線から在来線特急への乗り継ぎ特急料金割引廃止は、利用者側には痛いものがあります。
そうしてみると、往復割引乗車券の効力は片道600キロを超えた人に対する配慮であり、対飛行機と比較しての効力ではなさそうです。
飛行機を選ぶ理由と地域へのイメージ
以下は、飛行機と新幹線のどちらを選ぶかについて、筆者がこれまで複数の知人と会話した中での全般的な感想です。
概ね共通する点として北海道、九州、四国、山陰、山口県、紀州へは飛行機でした。
広島県、北陸、青森県までは新幹線でした。
また、全般的に新幹線乗車は3時間台まで、4時間台になると飛行機の出番の印象を受けました。
スーパー商品ではありませんが、3時間59分と4時間00分とでは与えるイメージが違うかとも感じました。
所要時間のほかに北海道、九州、四国への移動に対しての、固有のイメージを感じました。
東京から北海道、九州、四国は海を渡るということです。
そのため、東京からは飛行機が適当であり、列車では海を超える分、乗車時間が一層長すぎる、距離が遠すぎるイメージがあるようにも感じられました。
北海道へは、羽田空港-新千歳空港の50往復以上の飛行機ダイヤが圧巻です。
函館空港へは8往復で、新函館北斗駅経由の東北・北海道新幹線の方が便利であっても、北海道は遠い、北海道は飛行機というイメージがあるようです。
北海道新幹線札幌開業が陽の目を見た時、50往復の飛行機の便数はどう変わるでしょうか。
九州へは、在来線の関門トンネルの乗車時間が5分前後の近さではあります。
東京-博多所要約5時間00分、最短4時間45分は、山陽新幹線博多開業当時の最短6時間56分からすれば画期的な時間短縮ですが、新幹線直通とはいえ、本州ではない、九州となると遠い、飛行機というイメージはあるようです。
飛行機愛好の人には、福岡空港から博多まで5分の便利さも大きいものがあります。
四国への移動でも、本州ではないというイメージが先にあります。
東京-高松でみると、岡山まで約3時間15分、岡山-高松は瀬戸大橋線で約1時間、乗り継ぎ時間を含めて約4時間30分では遅すぎるでしょうか。
四国へは宇高連絡船、宇野-高松1時間のイメージも残っているでしょうか。
山陰へは、新幹線が通る山陽と比べて単線非電化のイメージから、飛行機が浮かびやすい地域です。
所要時間的には、東京-姫路-鳥取で約5時間、東京-岡山-米子で約5時間30分で、東京-博多並みの時間という見方をしてしまうと、なおさら飛行機に気が向きそうです。
往復割引乗車券廃止まで1年半は猶予期間?
往復割引乗車券の廃止は2025年3月ではなく、1年の猶予を持たせた2026年3月です。この1年半の猶予は、今後の廃止はさておき、利用者にとってはありがたい措置ですが、JRグループのどのような配慮によるものでしょうか。
1年半、時間をあげるから、2025年は十分列車に親しんでということでしょうか。
2025年3月実施では公表から実施までの期間が短く、反発が強まるからでしょうか。
いずれにしても、2025年の一年間に、600キロを超える地域への往復割引乗車券活用の旅を楽しみたいものです。