「あめつち~木次線~」は出雲横田~備後落合の利用普及にはつながらなかった
旅行総合研究所タビリス、2025年8月8日付け、「木次線、輸送密度23の衝撃。『奥出雲おろち号』終了で利用者激減」を拝読しました。
木次線の輸送密度で、宍道~出雲横田は2023年度255人から2024年度212人へと減っていますが、出雲横田~備後落合間では2023年度72人から2024年度23人への大幅減等に触れた、いつもながら丁寧で分かりやすく、参考になる内容です。
今回は、「あめつち」と出雲横田~備後落合について、みてみたいと思います。
「奥出雲おろち」利用者が「あめつち~木次線~」に移行しなかった状況をみる
木次線といえば、鉄道ファンには出雲坂根駅のスイッチバック設備と延命の水で有名なところです。
その出雲坂根を含む、出雲横田~備後落合の2024年度輸送密度が23人まで減った背景については、タビリスでも指摘されておられるとおり、「地元住民がほとんど利用していないこと」や、「奥出雲おろち」から「あめつち~木次線~」(以下、「あめつち」)への変化、相違などもありました。
今一度、「奥出雲おろち」と「あめつち」の違いをみてみたいと思います。
「奥出雲おろち」の編成は木次線専用列車でしたが、「あめつち」編成は鳥取~出雲市、鳥取~城崎温泉など、山陰線相互間の輸送の方が主体であり、木次線への入線は主体とまではいえません。
そのため、「あめつち」の運転日は「奥出雲おろち」に比べて大きく減少しました。
「奥出雲おろち」は備後落合まで運転していたので、木次線全線を楽しむのに最適な列車でしたが、「あめつち」は出雲横田止まりとなりました。
「奥出雲おろち」は普通車全車指定席でしたが、「あめつち」は全車グリーン車指定席となり、青春18きっぷでは利用できなくなりました。
「あめつち」の全車グリーン車指定席では敷居が高すぎ、気軽には乗れなくなりました。
「奥出雲おろち」の機関車牽引の客車列車、トロッコ列車の方が、「あめつち」の気動車よりも旅情があるという点も、機関車・客車列車ファンには人気要素でした。
「あめつち」出雲横田までの設定の背景
「あめつち」での出雲横田から備後落合側への延長設定は、急勾配の関係で無理という事情もあったようです。
かといって、「あめつち」を急勾配に強い列車にするには、山陰線運用が主体の列車ゆえ、木次線備後落合側の急勾配のためだけに、強力化するわけにもいきませんでした。
下り「あめつち」では、終点の出雲横田で接続する備後落合行き列車は設定しませんでした。
備後落合側から乗車後、出雲横田で「あめつち」に接続する列車の設定も同様でした。
「あめつち」乗車と木次線全線乗車を果たす場合
下り「あめつち」で木次線全線に乗ろうとするならば、「あめつち」に米子8:17発→宍道9:30発→木次10:18発→出雲横田11:20着後、1時間40分ほど出雲横田で昼食休憩等をして、出雲横田13:07発備後落合行き普通列車に乗れば、備後落合までの木次線全線に乗ることはできます。
しかしながら、「奥出雲おろち」時代からの利用者にとっては、出雲横田止まりでなく備後落合までの直通設定をしてほしかった思いがあり、さらに全車グリーン車でなく、普通車を連結してほしいところでした。
「あめつち」への主体的な乗車動機がなければ、宍道11:11発の定期普通列車備後落合行きで、出雲横田ではとくに下車せず、備後落合までの木次線全線乗車を果たす方を選択する方が自然と思われます。
上り、備後落合→宍道も同様です。
備後落合9:20発、普通列車宍道行き普通列車に乗車し、出雲横田10:27着後、出雲横田駅周辺で約1時間30分観光し、12:00発「あめつち」で米子に向かうことはできます。
しかし、備後落合発の普通列車が宍道行きであるゆえに、出雲横田で途中下車したいという積極動機や「あめつち」への乗車目的がなければ、そのまま宍道へ向かうことも十分想定されます。
木次線の出雲横田~備後落合の利用者数は、元々厳しい数字ではありますが、少なくとも2023年度まで運転された「奥出雲おろち」の利用数を維持するには、「あめつち」よりも、また宍道~備後落合の木次線全線直通の定期普通列車よりも、普通車で構成した備後落合直通の観光列車が必要だったということになりそうです。
それが出雲横田止まりで全車グリーン車で、運転日も少ない「あめつち」と「奥出雲おろち」との差になったと言えるでしょうか。
出雲横田~備後落合の利用者数は元々少ないのだから「奥出雲おろち」であっても焼け石に水と言っては、話は終わってしまいます。
少なくとも「奥出雲おろち」の木次線貢献度は評価してもよいのではないでしょうか。
「あめつち」の出雲横田止まりに伴い、木次線沿線の一部では、備後落合まで全線運転列車よりも、出雲横田止まりの方が沿線で途中下車する分、望ましいとか、木次、出雲横田など主要駅で一定時間、長く停車するダイヤをといった意見もあるようですが、正確な情報ではなく、風の便りの域を出ません。
今回の23人という輸送密度により、出雲横田~備後落合の将来を危惧せざるを得ませんが、「奥出雲おろち」のダイヤと運転区間の復活で、JR東日本五能線「リゾートしらかみ」のような、普通車編成の観光気動車投入は無理かなぁと、隣の芝生の青さを描いてしまいました。
ない物ねだりをしても仕方ないので、1日3往復であっても、木次線全線直通定期普通列車で出雲坂根の名所、名水を中心味わいながら、奥出雲おろちループ道路を遠方に眺めながらも今一度、木次線備後落合側の旅をしてみたいものです。
※ 筆記にあたり、旅行総合研究所タビリス、2025年8月8日付け、「木次線、輸送密度23の衝撃。『奥出雲おろち号』終了で利用者激減」から一部を引用及び参考にさせていただきました。

※ 写真は本文と無関係です。