「くろしお」増便実証実験、利用促進取組に「南紀」新宮接続ダイヤ改善も重要と考えます
紀勢本線活性化促進協議会「新宮白浜区間部会」から、2025年8月21日付け、「紀勢本線新宮・白浜間の利用促進策について ~地域公共交通再構築調査事業を活用した特急「くろしお」号の増便実証実験を実施するとともに、利用促進策に取り組みます~ 」のリリースがありました。
和歌山県、沿線市町村、JR西日本和歌山支社、和歌山大学が協働して新宮~白浜間の利用促進に取り組む中で、2025年11月4日~2026年3月31日の期間中、通常は新大阪から白浜止まり、金曜・土曜・休日は新宮まで延長運転している特急「くろしお5号・30号」を平日の月曜~木曜も延長して、新大阪~新宮を毎日運転とする試みです。
筆者は紀勢線に乗車するなら、新大阪~新宮の「くろしお」と、新宮~名古屋のJR東海の特急「南紀」を含めて、新大阪~新宮~名古屋の紀勢線のほぼ全線乗車、紀伊半島外周列車車窓旅行をしたいとの思いを抱くタイプです。
かつて、天王寺~新宮~名古屋には、亀山経由、紀勢線全線を通過する特急「くろしお」が設定されていた時代もありましたが、1978年までの話です。
以下、現在の新大阪~新宮~名古屋の、新宮接続ダイヤの状況を見てみたいと思います。
◆新大阪発→新宮着、新宮発→名古屋着ダイヤ
7:34 →11:59「くろしお1号」
12:45 →16:12「南紀6号」
9:28 →13:52「くろしお5号」
14:01 →17:44「南紀82号」
14:49 →18:26「南紀84号」
◆名古屋発→新宮着、新宮発→新大阪着ダイヤ
8:02 →11:34「南紀1号」
11:27 →15:51「くろしお22号」
10:01 →13:37「南紀3号」
13:29 →17:53「くろしお26号」
15:04 →19:21「くろしお30号」
名古屋→新宮→新大阪は「南紀」新宮到着直前に「くろしお」発車ダイヤのまま
新宮を境に、JR西日本とJR東海に分割されて以降は、新宮での特急相互接続配慮のダイヤ設定意識も薄くなり、新宮接続が良いとは言えなくなりました。
現在の紀勢線ダイヤでその夢が果たせるかといえば唯一、新大阪→新宮→名古屋方向への「くろしお1号」→「南紀6号」定期列車1本の乗り継ぎだけです。
「くろしお5号」→「南紀82・84号」の乗り継ぎも良好ですが、「南紀82・84号」は臨時列車で運転日も少ないタイプであり、平素の旅行計画の土俵には乗りにくい乗り継ぎなのは惜しまれます。とくに「南紀82号」が定期列車になれば申し分なく、理想的な乗り継ぎが出来るようになります。
これも同促進協議会で重視してほしいポイントです。
一方、名古屋→新宮→新大阪方向は、「南紀」の新宮到着直前に「くろしお」が発車していく意地の悪い?ダイヤであり、紀勢線特急での紀伊半島外周意欲がなくなります。
このことは以前にも2024年8月10日付け、「紀勢線「南紀」「くろしお」は新宮相互接続ダイヤで乗車率向上を」で触れさせていただきましたが、残念ながら改善の兆しは感じられませんでした。
紀勢線全線乗車意欲を減退させる新宮乗継ダイヤ
名古屋→新宮の「南紀1・3号」が新宮到着の直前に「くろしお」が新大阪に向けて発車してしまうダイヤの改善にあたり、新宮での乗り継ぎ接続を良くすると、新宮や紀伊勝浦で降りてもらえなくなるから、今のダイヤでよいと考えているのでしょうか。
あるいは、あくまで白浜~新宮の利用増ばかりに焦点が行っているのでしょうか。
少なくとも筆者は、名古屋→新宮→新大阪での紀伊半島外周自体の意欲が薄れてしまい、紀勢線乗車自体を再考してしまいます。
「南紀1号」で名古屋8:02発→新宮11:34着後、新宮で下車し、「くろしお26号」で新宮13:29発→新大阪17:53着、または「くろしお30号」新宮15:04発→新大阪19:21に乗ればいいとはいえ、その前に「くろしお22号」で新宮11:27発→新大阪15:51着に7分差で乗り継げない不愉快さが先にあるため、紀勢線全線乗車計画に水を差してしまいます。
大阪~新宮往復だけでなく、大阪→新宮→名古屋→大阪の紀伊半島一周移動の発想を
紀勢本線活性化促進協議会「新宮白浜区間部会」、JR西日本は「くろしお5号・30号」の白浜~新宮利用増、新大阪~新宮の往復利用普及を主体に考えているのかもしれません。
しかしながら、新大阪→新宮へ行った後、新宮から新大阪に戻るパターン以外に、「南紀」で伊勢、名古屋方面へ行くケースも含めて考えてみてはいかがでしょうか。
それも紀勢線白浜〜新宮の利用促進に寄与するはずです。
紀勢線全線を迂回する車窓旅情価値
大阪〜名古屋は、東海道新幹線、近鉄特急、東海道線だけの牙城でなく、観光客の中には、たとえごく一部ではあっても、たまには紀勢線でという人は筆者以外にもいるのではないでしょうか。
紀勢線の随所に展開する明るく広大な海岸線には、わざわざ迂回していくだけの車窓価値があります。
JR東海とも共同で、紀勢線全線の旅、車窓の素晴らしさをPRしてもよいのではないでしょうか。
紀勢線の利用促進は、新大阪側からの新宮方面往復だけでなく、JR東海を含めた伊勢、名古屋方面へ「南紀」で向かうことも配慮した発想、白浜~新宮という一部区間だけでなく、紀勢線全体としての一部分と捉えての視点も望まれます。
今後の視野の拡大を期待します。

※ 写真は本文と無関係です。