臨海地下鉄で羽田空港アクセス線臨海部ルートの着工は?
東京都が11月25日に、東京-有明・東京ビックサイトの地下鉄新線(以下、「臨海地下鉄」と表記します。)の事業計画案を公表しました。
東京都区内の地下鉄の新線や延伸の話題や建設要望は、以前から各地に数多くありますが、その中で臨海地下鉄が発表されたことは想定外でした。
今回の臨海地下鉄の事業公表には、人口急増の臨海エリアの利便性向上、新たな街づくりの構想等が背景にあると思われます。
公表された臨海地下鉄の路線構想を整理すると以下のようになります。
・途中駅は新銀座、新築地、勝どき、晴海、豊洲市場(駅名は7駅すべて仮称)
・着工は2030年頃、開業は2040年代前半を目標
・建設費約5,000億円、開業後30年以内の黒字化を目標
・運営主体は第三セクターの活用等で調整
・東京駅の位置はJR東京駅の北東部
・つくばエクスプレスの東京延伸による接続も検討
・臨海部でJR東日本が計画する羽田空港アクセス線との接続を考慮
臨海地下鉄コースの一部はゆりかもめと重なっており、ゆりかもめを東京に延ばした方が早いのではないかとも思えますが、ゆりかもめの遊覧的、輸送量の少なさ等、様々な状況から話題にはなりませんでした。
さて、上記項目の中で、つくばエクスプレスについては、当初から東京駅を基点とした構想の路線ではありました。
秋葉原-東京の建設には相当の経費と工期が必要ですが、今回の公表には東京駅で臨海地下鉄と接続し、さらには臨海地下鉄に乗り入れる可能性も含まれているのでしょうか。
次に、JR東日本の羽田空港アクセス線との接続について触れたいと思います。
羽田空港アクセス線には三つのルートがあります。
1.東山手ルート
羽田空港から田町付近で東海道線に合流後、上野東京ライン経由で東北、高崎、常磐線に直通するルートです。
田町駅の山手線引込線スペースを活用し、山手線外回り線、京浜東北線南行、東海道線上り線を、それぞれ山手線内回り線側にずらしていきます。
その後、現在の上り東海道線の位置で、羽田側の地下から地上に出て東海道上下線と合流する形です。
この合流箇所付近だけは単線であり、ダイヤ作成は苦心しますが、逆に言えば山手線引込スペースの空間がなければ東山手ルートは実現困難の可能性もあり、幸運だったとも言えるでしょう。
2029年度開業を目指しています。
2.西山手ルート
東京臨海高速鉄道りんかい線の大井町付近で合流し、埼京線に直通するルートです。
新宿から中央線直通も可能です。
開業時期はまだ明らかではありません。
3.臨海部ルート
りんかい線八潮車両基地から回送線を使い、りんかい線に合流するルートで、新木場から京葉線に乗り入れます。
りんかい線の回送線を複線化して使用するため、JR東日本の意向次第では東山手ルートよりも早く、又は同時期に完成できそうな感じがします。
そのため運賃収受の問題と、JR東日本のりんかい線買収意向との絡みがあり、東京都との調整が必要です。
前向きな解決を期待したいところです。
最後に、いささか副産物的な話ですが、臨海部ルートには貨物列車の活用も期待されます。
現在、東海道線から越谷貨物ターミナルや京葉線蘇我への貨物列車は武蔵野南線、武蔵野線を経由するため、大きく迂回しています。
これが臨海部ルートによって東京貨物ターミナル経由に変更すれば、越谷貨物ターミナルや蘇我まで短絡できるのも臨海部ルートの隠れた利点ではないでしょうか。