平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

四国新幹線と他の新幹線建設との今後の着工優先度を考える

各地での新幹線建設優先の綱引きの中での四国新幹線の位置づけはどうか

北陸新幹線敦賀開業の2024年3月16日まで半年を切りました。

敦賀開業後の新幹線整備は北海道新幹線札幌開業に移りそうですが、すでに次の新幹線着工の綱引きは始まっています。

 

〇 北陸新幹線新大阪延伸

敦賀開業後の優先順位として、同新幹線の敦賀-小浜-京都-新大阪の声が高まるのは明白で、2046年度の開業を目指しています。

〇 西九州新幹線

西九州新幹線は、新鳥栖-武雄温泉で佐賀県との調整ができず長引いています。

最近では、9月22日の毎日新聞記事によると、「佐賀知事、西九州新幹線整備で空港ルート『一考に値する』」の見出しで、佐賀県知事「そうした着想で議論することは一考に値する意義深いものだ」と語ったとのことです。

佐賀駅経由でなく佐賀空港経由なら、佐賀県は西九州新幹線の建設に前向きに変わっていくのでしょうか。

佐賀空港経由による博多-武雄温泉の迂回、空港付近の地盤、飛行場付近の鉄道建設時の制約条件等、課題が見受けられますが、前に進んで行くでしょうか。

完成までにはまだ時間を要しそうです。

東九州新幹線

最近になって、大分県から東九州新幹線博多、久大線沿いルートの話題が新たに出てきました。

全国的には四国新幹線羽越新幹線の富山-新潟-秋田-新青森ルート、奥羽新幹線の福島-秋田ルート、山陰新幹線大阪-鳥取-松江ルート、北海道新幹線札幌―旭川延長などの話も入り混じり、錯綜しています。

今回は、その中で四国新幹線の近況を中心に考えます。

過去の四国新幹線記事等との一部重複がありますが、ご了承ください。

 

四国全体の鉄道の危機感と四国新幹線の救済

Yahoo!ニュース、南海放送の2023年9月30日付け記事で「松山-大阪間が1時間38分に!『四国新幹線』で未来はどう変わる?実現の先にある“光と影”」を拝見しました。

また、乗りものニュース、同年10月1日付けで「『四国新幹線』実現へ加速か!? 愛媛県JR西日本に直接要望へ 新大阪~松山『たった1時間半』」の記事もありました。

 

Yahoo!ニュース、南海放送の記事から一部を引用させていただきます。

(以下引用)

中村(※愛媛県)知事: 「収益事業たる新幹線が四国になければ、鉄道そのものが四国中から消え失せてしまうことも、将来あり得るんじゃないかと危惧をしている」

(以上引用)

この発言の背景には、四国全体の鉄道に対する存廃の危機感が感じ取れます。

四国の鉄道が生き続けていくには四国新幹線が不可欠との危機意識が伝わります。

 

同じ乗りものニュースの記事でもう一つ、2022年6月6日に、「『四国新幹線』は実現するか 全国の新幹線フィーバーから蚊帳の外 地元の危機感」があります。

ここから一部を引用させていただきます。

(以下引用)

四国の政財界からなる四国新幹線整備促進期成会は、地銀のシンクタンクが調査した「新幹線が都市を変える~新幹線と四国のまちづくり調査~」を公表、

(中略)

 背景には、北海道から九州までの4島で、四国だけ新幹線の整備計画が具体化しておらず、取り残されてしまうのではないか、という思いがあります。

(中略)

報告書では、「北陸新幹線北海道新幹線、西九州新幹線など整備新幹線の完成が見え始めた今、四国の新幹線を具体化できなければ、四国に新幹線が走ることはない。それは、未来永劫、四国が高速鉄道網から切り離された地域であり続けることであり、地域の未来が閉ざされることに他ならない」との強い危機感をにじませています。

 四国に新幹線は必要か、地元でも懐疑的な声があることは期成会も認識しているようです。しかし、JR四国は経営難に陥り、在来線の高速化も望めず、このままでは既存の鉄道の維持すら困難になる--そのような悪循環を断ち切る抜本的な解決策として、新幹線が必要だといいます。

このため、期成会は2つの基本計画を整備計画へ格上げすべく、国の調査を実現させることが第一歩だとしています。

(以上引用)

 

前記、愛媛県知事発言同様、四国の鉄道に対する危機意識が感じ取れる内容です。

 

岡山県の理解協力が得られるか

四国新幹線の熱意の中で、岡山県では四国新幹線に対し、政令指定都市が一つもなく、短い2~3両編成の特急が走る四国の状況に対し、岡山県が県内の宇野線瀬戸大橋線費用を負担する必要があるのかと疑問を投げかけています。

岡山県は岡山-瀬戸大橋約30kmに対し、約300億円の実質負担が伴い、負担に対する岡山県での恩恵が見出せないとの見解です。

岡山県の理解協力を得るには相応の時間を要しそうで、四国全体が一丸となって岡山県を説得することが求められます。

 

四国新幹線の3方向枝分かれルートで「二兎を追う者」にならないか

乗りものニュース、2022年6月6日記事の後段では、瀬戸大橋から高松・徳島方面、高知方面、松山方面の3方向へ枝分かれする、通称「3方向枝分かれルート」にも触れています。

この3方向枝分かれルートが、費用対効果として最も高いとの内容ですが、四国4県は真に3方向ルートでの整備を前提に考えているのでしょうか。

岡山から瀬戸大橋を渡って四国に入った新幹線は、現ルート同様、坂出-高松-徳島へ向かう高松経由の高徳線ルート、宇多津から高知への土讃線ルート、同じく松山への予讃線ルートの3つを同時に整備することに意義があるとの考えでしょうか。

国側から見てみれば、全国各地から新幹線建設要望がある中の一つとして四国新幹線自体がある位置づけの中、四国だけ3方向枝分かれルートで、3路線の同時整備を前提に話を進めることは、着工の優先度を得ることに際して逆効果にならないでしょうか。

岡山から瀬戸大橋までの岡山県側でさえ、政令指定都市等の話で四国への新幹線自体に疑問を投げかけ、特急の2~3両編成にも言及される中、四国内の3方向ルートは逆にそもそも四国新幹線の必要性かとの議論を一層深める印象を持ちます。

3方向ルートの同時整備があってこその四国新幹線なのかどうか。

二兎を追う者は一兎をも得ずにならないでしょうか。

まして三兎なら、なおさらです。

四国内は3ルートとも単線で整備すれば経費が削減できるということ以前の話と考えます。

また、並行在来線の話が保留されているのも気にかかります。

それらの結果、他の新幹線に整備優先順位が回ったら四国全体にとって元も子もなくなります。

とくに人口比較において、東九州新幹線大分県全体と大分市愛媛県全体と松山市とは、いずれも愛媛側が多いものの、数値はかなり接近しています。

少なくとも岡山-松山の予讃線ルートに集中させた方が、四国新幹線建設の話は前に進んでいくのではないでしょうか。

 

(※ 記載にあたり、下記の記事を参考にさせていただきました。

・ 毎日新聞、2023年9月22日付け「佐賀知事、西九州新幹線整備で空港ルート『一考に値する』」

・ Yahoo!ニュース、南海放送、同9月30日付け「松山-大阪間が1時間38分に!『四国新幹線』で未来はどう変わる?実現の先にある“光と影”」

・ 乗りものニュース、同10月1日付け「『四国新幹線』実現へ加速か!? 愛媛県JR西日本に直接要望へ 新大阪~松山『たった1時間半』」

・ 乗りものニュース、2022年6月6日付け「『四国新幹線』は実現するか 全国の新幹線フィーバーから蚊帳の外 地元の危機感」)

 

※写真は本文と無関係です。

北越急行のミニ新幹線化の意義を探る

北越急行ミニ新幹線化有効活用での実現を

タビリスの2023年9月30日記事、「『ほくほく線ミニ新幹線化』を考える。最高速度200km/hも夢じゃない?」を拝見しました。

ほくほく線ミニ新幹線化し上越・北陸両新幹線に接続する案」の発想は想定外で新鮮な驚きがありました。

新聞記事内容による4案それぞれのメリットとデメリット、課題の分析力は素晴らしいと思います。

今回は、この記事の一部を引用させていただきながら、自分の考え方を書いてみたいと思います。

 

その前に、拙ブログでは、2023年7月3日付けで「新潟-上越間のアクセス改善 長岡-上越妙高ミニ新幹線やトンネル整備の必要性とは?」で触れさせていただき、上越地方と新潟を結ぶ特急「しらゆき」は4両編成4往復の状況で、新幹線の必要性は疑問の旨を書かせていただきました。

その中で、上越市と同市周辺の主要駅の状況を再掲載させていただきます。

〇 高田駅:1,944人(2021年度統計年度による乗車人員で、降車人員は含まず。以下、同)
〇 直江津駅えちごトキめき鉄道1,153人、JR1,519人

〇 上越妙高駅えちごトキめき鉄道571人、JR995人

〇 新井駅:726人
〇 上越市の人口183,755人、77,429世帯(住民基本台帳人口。2023年6月1日現在)。直江津、高田、上越妙高駅が属する。
〇 妙高市人口29,981人、12,291世帯(同上)。新井駅が属する。

 

ここに今回、柏崎市の状況を以下に追加します。

〇 柏崎駅:1,186人(2021年の乗車人員。降車人員含まず)。

2022年度は1,336人。

〇 柏崎市の人口77,851人、34,697世帯(2023年8月31日現在の住民基本台帳人口)

 

タビリスの記事と私見

以下、太字はタビリスから一部、引用させていただいた部分です。

省略箇所がありますので、ご了承ください。

なお、「→」が私見です。

 

①長岡~上越妙高ミニ新幹線

貨物列車を走行可能とするため、複線のうち1線だけを改軌する形になるでしょう。直江津上越妙高間は単線なので、三線軌化します。

(中略)

直通新幹線は、上越妙高駅で方向転換する必要が生じます。また、上越妙高直江津間は単線区間なので、工事期間中は列車の運行ができず、3~4年間の運休が想定されます。信越線での貨物列車ダイヤへの影響も課題です。

→ 新幹線の意義を考えれば、新大阪から旧北陸線信越線の日本海沿いが本来の姿の考えます。

その基本線には沿っています。

また柏崎も経由します。

ただし、指摘のとおり上越妙高の方向転換、スイッチバックはマイナスとなります。

また、上越妙高-長岡は在来線速度止まりで、貨物列車の影響も指摘のとおりです。

この案は賛成しません。

 

②長岡~糸魚川ミニ新幹線

上越妙高駅での方向転換という問題が解決し、直通新幹線が新潟~金沢~新大阪間を方向転換することなく走れます。

ただ、ミニ新幹線化する区間が111.8kmと長くなります。ミニ新幹線の最高速度は130km/h程度なので、これだけ距離が長くなると、時間短縮効果は限られたものになります。

改軌する区間が延びれば工事費も高くなりますし、貨物列車ダイヤへの影響という問題も解決できません。また、上越市の中心駅の一つである高田駅も経由できません。

→ こちらも指摘のとおりで、付け加えることはありません。

スイッチバックしない点は①よりもよいのですが、柏崎市は通っても、高田側を通らないので、直江津乗り換えになり、①以上に調整は難しそうです。

 

信越線改良

新幹線と直通できません。また、時間短縮効果も限られます。新潟県内の移動だけをみれば意味がありますが、北陸三県や関西方面へのアクセスはほとんど改善されません。

→ 日本海側の縦貫新幹線の位置づけから外れるので、議論の土俵に乗らないように思います。

 

ほくほく線ミニ新幹線

(前略)

上越新幹線浦佐駅付近からほくほく線までと、ほくほく線から北陸新幹線上越妙高駅まで、それぞれ連絡線の新線を建設します。

実現すれば、新潟~長岡~浦佐十日町上越妙高~金沢方面とつながる「ほくほく新幹線」が誕生します。

(中略)

上越妙高虫川大杉間の連絡線は約20km。浦佐魚沼丘陵間の連絡線は約5kmです。

(中略)

新潟市金沢市、大阪方面の新幹線列車をスイッチバックなしで直通できます。将来的に経営難が予想されるほくほく線の救済策にもなります。信越線は複線電化で存続しますので、貨物列車への影響も生じません。

→ 実施するならこの④案と考えます。

大阪-新潟の短絡線で考えれば②の糸魚川経由ですが、時間短縮、速達効果に難があります。

北越急行の高速設備を有効に使う点に意義があります。

糸魚川経由と、北越急行経由での迂回の距離の差は47.4kmです。

このまま時速95km/h運転で細々と運転するのは折角の高速設備がもったいないことで、時速200km/h運転を目指した活用法は素晴らしいと思います。

 

話は逸れますが、北越急行経由の迂回については、近年の東九州新幹線大分の路線を、従来の小倉から短絡する本州側思想から、博多・久大線沿い経由にした事案を思い出します。

地図上で見れば小倉-大分の方が自然ですが、小倉-博多-久大線沿い-大分の方で地域側は考えている経路です。

大分からは博多との需要の方が大阪より勝る、大阪への新幹線は博多経由の迂回という割り切りと考えられます。

 

デメリットとしては、直江津駅高田駅柏崎駅といった拠点駅を経由しないことが挙げられます。なかでも、柏崎市のアクセス改善は検討委員会の目的の一つですが、ほくほく線ミニ新幹線化案では意味がありません。

新潟日報によりますと「信越線長岡・柏崎間に停車駅を減らすシャトル電車を設け、利便性を上げる」としていますが、救済策としては物足らないでしょう。

→ 直江津、高田、柏崎経由と北越急行経由との両立はできません。

新潟県内の移動を優先するなら①になりますが、新幹線の意義、関西・北陸・新潟の日本海縦貫線の新幹線、新幹線イコール遠距離の時間短縮という視点が必要と考えます。

日本海縦貫線の新幹線として直江津、高田の人は上越妙高駅北越急行新線経由で、柏崎は長岡へ特別快速設定で理解協力を求めたいところです。

 

ほくほく線三線軌にするのか、改軌してしまうのかは何とも言えませんが、保線や車両管理のしやすさを考えれば、改軌の可能性が高そうです。

となると、普通列車標準軌の車両が走ることになり、六日町~犀川間の折り返し運転となります。直江津駅への直通はなくなりますので、地元の利用者は不便になるでしょう。

あるいは、犀川虫川大杉間は現状のまま残し、トキ鉄に移管する可能性もあります。内部留保豊富な北越急行が「持参金」をトキ鉄に渡せば、トキ鉄への経営支援にもなります。

この場合は、虫川大杉直江津間に狭軌普通列車が走ります。一方、虫川大杉~六日町間は標準軌普通列車が走り、北越急行の管理となるでしょう。

いずれにしろ、工事期間中は運休となります。ただ、現状のほくほく線の輸送量ならば、バス代行は難しくありません。また、貨物列車への影響も生じません。

→ 指摘のとおり、北越急行は一旦、工事により運休、バス代行輸送し、直流電化を交流に、軌間標準軌に、普通電車は交流に、犀潟側についてはえちごトキめき鉄道に移管が望ましいと考えます。

 

全体総括

今回、長々と引用させていただきましたが、何も付け加えることがない、非の打ちどころのない、冷静沈着、客観的、将来を見据えた鉄道側と地域側の両面を中間的、公平に見た著者の視点に改めて敬意を表します。

今後の更なる活躍を期待します。

 

(※ 記載にあたり、タビリスの2023年9月30日記事、「『ほくほく線ミニ新幹線化』を考える。最高速度200km/hも夢じゃない?」を参考にさせていただきました。)

 

米原発着「しらさぎ」7往復の今後を考える

短距離特急に活路を見い出すなら米原から京都経由、奈良への一部列車延伸?

鉄道時刻表ニュース、2023年9月29日付け、「特急しらさぎ米原敦賀シャトル列車大量発生も15往復毎日運転をするのか JR西日本特急しらさぎダイヤ改正予測(2024年3月予定)」を拝見しました。

米原発着の「しらさぎ」について今後、運転日は少なくする可能性や2025年以降に本数減、廃止の可能性があることについて触れた内容です。

拙ブログでも何回か触れたことがありますが、今回はJR西日本JR東海の考え方を想定しながら、米原しらさぎ」の今後について考えてみたいと思います。

(以下、名古屋発着の「しらさぎ」は名古屋「しらさぎ」、米原発着の「しらさぎ」は米原しらさぎ」と表記します。)

 

米原しらさぎ」をまったく名古屋「しらさぎ」にしなかった背景

しらさぎ」が敦賀-金沢の運行をしなくなるのを機に、車両の余剰、有効活用も含めて、米原しらさぎ」は名古屋「しらさぎ」になるだろうというのが筆者の予測でした。

実際には現行のまま、米原しらさぎ」を名古屋に延伸することはありませんでした。

なぜ、米原しらさぎ」を1本たりとも名古屋「しらさぎ」にしなかったのかと言えば、JR西日本の所属車両であることとJR東海との関連ということになってくると考えます。

JR東海にとって名古屋「しらさぎ」をこれ以上多くすることは、車両使用料精算の関係上、行ないたくないということになるかと思います。

輸送量逼迫の東海道新幹線とはいえ、毎時1往復の「こだま」は新大阪発着から名古屋発着となり、名古屋-新大阪の「こだま」削減分は東京-新大阪「ひかり」の岐阜羽島米原停車で「こだま」の代役を担い、なおかつ東京-名古屋-米原敦賀の速達連絡の位置役も兼ねるという、とても賢明な列車ダイヤです。

名古屋からも東京からも敦賀へは、名古屋「しらさぎ」もありますが米原停車「ひかり」なら30分の時間節約ができること、さらに米原しらさぎ」の場合は同「ひかり」しか選択肢はないことで、「ひかり」に誘導させる方法を継続するという判断と考えられます。

 

名古屋-敦賀移動を利用者本位に考えた場合

JR東海の考え方はさておき、利用者の視点で見れば名古屋-敦賀の移動は、米原しらさぎ」の名古屋「しらさぎ」化により毎時1往復ダイヤにしてほしいということに帰結します。

その際の車両不足分があればJR東海373系383系で賄えばよいと思います。

それが同時に、JR東海にとってはJR西日本への車両精算の削減にもなります。

ただし逆にJR西日本JR東海車両の米原敦賀乗り入れに伴い、車両精算が発生します。

JR西日本JR東海の経営状況の相違もあり、JR西日本としてはJR東海への車両精算はしたくない、むしろ余剰の681系・683系で名古屋延長は賄えるという考えと考えられます。

その結果、利害は一致せず、JR東海にとっては名古屋-米原で新幹線に乗ってもらう方がよいことと併せ、現状ダイヤ踏襲になったと思われます。

すなわち名古屋「しらさぎ」の増発がないのは、利用者利便性向上の前に、2社間の営業上の利害の結果と考えます。

 

北陸線普通列車近江塩津30分待ちは「しらさぎ」誘導策?

日中の米原敦賀普通列車で移動するには近江塩津乗り換えが伴い、なおかつ「しらさぎ」誘導施策で近江塩津乗り換えで約30分待つのは意図的とするのは、鉄道時刻表ニュース記事での指摘のとおりと感じます。

普通列車を便利にすると米原しらさぎ」の利用者が減ることへの懸念は頭の奥にあると思われます。

その懸念があるなら、名古屋「しらさぎ」に変更して、名古屋からの利便性を向上すればよいと思いますが、車両使用料や東海道新幹線誘導の絡みで、それも行なっていないため近江塩津接続時間が長いままという面は否定できないと思います。

 

今後の米原しらさぎ」週3日運転化や廃止もあるかどうか

また、鉄道時刻表ニュース記事の中では、米原しらさぎ」7往復の今後について、週3日の曜日運転化や、今の運転日のさらなる削減や減便、廃止についても触れています。

いずれにしても列車の乗車率状況次第ですが、普通列車での近江塩津接続の長時間も加味すると米原しらさぎ」であっても、6両編成を4両または3両に減車してでも設定は続くかと思われます。

 

米原しらさぎ」の活路を見出すには京都延伸、さらに奈良志向があるか

中央線に385系が投入され、383系余剰の時点でJR東海383系を名古屋「しらさぎ」増発の対価も兼ねて投入するかどうかですが、683系に余剰がある以上、現状踏襲が続きそうに思います。

ただし、そうなるとJR西日本にとっては米原しらさぎ」の発展性がありません。

米原敦賀の新幹線接続だけでは短距離のため、まず米原から京都へ延伸し、京都からは奈良へ直通、あるいは「はるか」と合体して関西空港への直通に活路を見い出すかとも思われますが、どうでしょうか。

 

サンダーバード」がすでに敦賀-京都で速達していますが、奈良へ向かうとすれば「サンダーバード」ではできず、米原しらさぎ」が適材です。

また、奈良以外で、大阪経由で関西空港へ足を延ばすなら「サンダーバード」があります。

奈良は米原しらさぎ」で、関西空港は「サンダーバード」で棲み分けということを行なうかどうかも今後、着目していきたいと思います。

 

(※ 記載にあたり、鉄道時刻表ニュース、2023年9月29日付け、「特急しらさぎ米原敦賀シャトル列車大量発生も15往復毎日運転をするのか JR西日本特急しらさぎダイヤ改正予測(2024年3月予定)」を参考にさせていただきました。)

 

常磐線の上野東京ラインが品川止まりの背景を考える

高崎線宇都宮線と異なる常磐線特有の事情と状況を推測

なぜ!? 常磐線からの上野東京ラインだけ『品川止まり』 直通したら便利そうもできないワケ」を拝見しました。

常磐線上野東京ライン直通列車が品川以遠へ直通しない理由を探求した内容です。

その中から一部を引用させていただきます。

(以下引用) 

 なお常磐線にはE531系のほか、直流専用のE231系が品川~取手・成田(成田線直通)間で運行されています。こちらの車両であれば、性能的には東海道本線E231系とほぼ同じ。東海道本線E231系取手駅まで乗り入れる代わりに常磐線E231系東海道本線に乗り入れれば、E531系の新造よりは安くつくかもしれません。

 しかし常磐線E231系はトイレもグリーン車もない通勤形で、遠距離の運用を想定していません。そして特に、ダイヤが乱れた際に車両の融通が難しくなるという懸念が出てきます。

 たとえばE531系が小田原方面まで直通したと仮定します。ダイヤが乱れたとき、東海道本線宇都宮線高崎線の車両であれば、形式が同一なので、柔軟に行先の変更が可能です。しかしE531系がそこに加わると、運転整理の際に「取手以北へ直通できる車両か否か」という判断が必要となり、ダイヤの柔軟性が損なわれます。

 そのため常磐線の電車は、車両の新造を極力しないで済む範囲で旅客の利便性を向上させ、かつ折り返しができる設備を持つ駅ということで、乗り入れを品川駅までとしているのです。

(以上引用)

 

常磐線上野東京ラインが品川止まりとなっている様々な状況

 

【一日の平均通過人員(2022年度路線別利用状況)】(単位:人。以下、同)

〇 常磐線日暮里-取手:288,593

  取手-土浦:71,461

  土浦-勝田:36,045

〇 高崎線大宮-熊谷:161,405

  熊谷-高崎:38,613

〇 東北線東京-大宮:514,206(※京浜東北線埼京線を含む)

  大宮-古河:128,345

  古河-宇都宮:44,369

 

【主な駅の一日の乗車人員(2022年度)】

〇 常磐線取手-水戸

  水戸:25,161

  土浦:13,343

  牛久:10,322

  龍ケ崎市:9,837

  荒川沖:6,542

  ひたち野うしく:5,824

  赤塚:5,450

  藤代:5,027

  神立:4,667

  石岡:4,563

高崎線宮原-高崎

    上尾:36,335

    高崎:27,299

    熊谷:25,318

    桶川:22,149

    宮原:20,558

    鴻巣:16,725

    北本:15,588

    北上尾:13,734

    籠原:12,395

    深谷:8,537

    本庄:8,058

    北鴻巣:6,309

    行田:5,404

東北線土呂-宇都宮

    宇都宮:31,241

    東大宮30,234

    久喜:30,225

    白岡:11,104

    古河:10,812

    栗橋:10,451

    東鷺宮:8,118

    新白岡:6,050

    雀宮:4,089

    石橋:4,059

〇(参考)新幹線駅の一日平均乗車人員

    大宮:25,514

    高崎:11,271

    宇都宮:10,344

    小山:3,575

    熊谷:3,246

    本庄早稲田:1,726

 

以上の数値を見ると、常磐線の上位駅の合計と、高崎線東北線の上位駅合計とでは明らかな差がありました。

 

【主要都市の人口と世帯数(2023年8月31日または9月1日現在の住民基本台帳人口。水戸市のみ常住人口】)

〇 水戸市:268,280人、125,898世帯

〇 土浦市:141,418人、69,840世帯

〇 高崎市:368,233人、171,472世帯

〇 熊谷市:192,502人、89,804世帯

〇 宇都宮市:516,078人、244,234世帯

〇 古河市:140,717人、64,559世帯

 

県庁所在地の人口でも差が見られました。

 

【線路配置状況】

〇 常磐線北千住-取手の複々線に対し、赤羽(上野)-大宮は東北線湘南新宿ライン京浜東北線埼京線の計4複線があること。

さらに、上野からの東北新幹線を加えれば5複線の線路配置であることで、差は顕著です。

 

【列車ダイヤ、列車編成の比較(東京から水戸と高崎、宇都宮を同位置で見た場合)】

〇 品川発の常磐線普通列車は、9時09分発から13時17分発までは土浦止まりであり、土浦から水戸方面へはグリーン車のない5両付属編成であること。

品川発の東海道線からの高崎線東北線普通列車の場合は、直通の高崎行きが毎時2本、宇都宮行きが毎時1本はグリーン車付き列車で設定されていること。

〇 大宮以北において、上野東京ラインの列車のほかに、湘南新宿ラインの列車が加わり、大宮-高崎、大宮-宇都宮は毎時3往復のグリーン車付き列車設定であること。

〇 上野-水戸間の輸送は毎時2往復の特急が中心だが、上野-高崎、上野-宇都宮は新幹線により、常磐線特急を上回る輸送定員であること。

 

以上のことから、グリーン車付き基本10両編成でさえも常磐線土浦以北では輸送力過剰の状況で、高崎線熊谷-高崎、東北線小山-宇都宮では見られない現象です。

また、日中の常磐線柏以北では15両編成は既に輸送力過剰になっています。

極論で言えば、付属5両編成については交直流電車でなく直流電車化し、我孫子・取手切り離しでもよいようにさえ見受けられます。

 

【車両運用】

〇 常磐線の交直流電車を直流区間の小田原側まで直通させることは、交流設備が活かせない意味で望ましくないこと。

〇 常磐線快速、上野-取手の普通車のみのE231系を、仮に東海道線グリーン車付き列車で取手まで乗り入れさせても、常磐線内のグリーン車利用が見込めないこと。

〇 仮に、高崎線東北線列車の一部を品川折り返しにして、常磐線東海道直通と入れ替えても、横浜-大宮と横浜-取手の利用に大きな差があること。

 

【線路配置】

〇 上野東京ライン常磐線下り列車は通常、上野駅手前、御徒町付近で高崎線東北線列車と平面交差しているため、ダイヤ制約上、常磐線直通列車を現状以上には増やしたくないこと。

 

羽田空港新線関係】

〇 羽田空港新線開通後の列車ダイヤは未定であるが、開業後、品川止まりの常磐線列車を羽田空港発着に変更した場合、東海道線への影響は新橋-品川だけの列車削減で済むこと。

 

【過去の常磐線普通列車の話】

〇 上野発の常磐線普通列車は夕方から夜を中心に宴会列車とも言われ、列車内で酒を酌み交わす光景が見られました。

夏場は座席確保のため、冷房のない時代の窓開けを利用して荷物を座席に投げ込んで席を確保しようとしたり、窓から列車内に身を入れて直接乗り込む現象もありました。

必ずしも常磐線だけではないと思いますが、東海道線では見られない光景で、東海道側ではあまりきれいな電車と思われていない印象の人もいたようです。

東海道線常磐線の直通には、電化設備の相違だけでない、過去を引きずるイメージが残っているのでしょうか。

 

以上ですが、いずれも推測の域を出ませんのでご承知ください。

最後に、常磐線列車の上野東京ライン直通品川行きの行き先表示器には「東海道線直通」と表示されます。

東海道線直通と言っても上野以南、品川までの3駅、6.8kmの距離ですが、「東京直通」でなく、東海道線直通と表現しているのは、遠方の東海道線地区への含みを持たせた常磐線沿線への配慮とも感じられました。

 

なぜ!? 常磐線からの上野東京ラインだけ『品川止まり』 直通したら便利そうもできないワケ」を参考にさせていただきました。)

 

 

秋の乗り放題パス 北海道新幹線オプション券は新青森-新函館北斗乗車に拡大を

函館→木古内奥津軽いまべつ津軽二股蟹田→青森でほぼ1日を消費する上り列車乗り継ぎ

JRグループでは毎年、10 月 14 日の「鉄道の日」に合わせ、普通列車の旅を満喫する趣旨で「秋の乗り放題パス」と、本州と北海道をつなぐ「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」を発売しています。

今回は、「秋の乗り放題パス」の「北海道新幹線オプション券」について考えてみました。

 

2023年の設定期間

2023年の設定期間は10月7日(土)から22日(日)の16日間の中での連続3日間ですが、16日以内の範囲では、秋の青春18きっぷ版としてはいかにも短い感じがします。

その16日間の中での連続3日間、複数人数不可、第三セクター路線不可、1日当たりの単価は青春18きっぷより高い設定で、果たしてこの切符の売れ行き、利用促進度はどの程度だろうかと気にかかります。

 

津軽線北海道新幹線道南いさりび鉄道の相互接続は配慮されているか

本体の「秋の乗り放題パス」以上に売れ行きで気にかかるのは「北海道新幹線オプション券」の方です。

北海道新幹線奥津軽いまべつ木古内と、道南いさりび鉄道木古内五稜郭間を片道乗車できる内容ですが、実際に乗るとなるとどうかを見てみます。

 

なお、奥津軽いまべつに行くには、津軽線津軽二股で乗り継ぐのが通常ですが、津軽線は2022年8月3日以降の大雨により、蟹田津軽二股を含めて終着の三厩まで不通の状態です。

代行バスデマンド型乗合タクシー「わんタク」で振替輸送をしていますが、大平-津軽二股の被害が大きく復旧の見込みが立たない状況です。

 

実際の列車乗り継ぎ時間

奥津軽いまべつ木古内の両駅移動は7往復の列車の中から乗ることになります。

奥津軽いまべつ木古内停車の新函館北斗行きの発車時刻は、6:48、8:12、10:07、14:15、17:01、18:58、20:58の7本です。

また、木古内奥津軽いまべつ停車の新青森方面行きの発車時刻は、6:52、9:48、13:01、15:01、18:53、20:56、22:10の7本です。

これを基準に計画を立てます。

 

◆ 青森→函館

① 青森6:16発→津軽線蟹田6:58着、7:07発→代行バス津軽二股7:37頃着、奥津軽いまべつ8:12発→北海道新幹線木古内8:46着、9:13発→道南いさりび鉄道→函館10:13着

② 青森8:14発→蟹田8:50着、9:00発→津軽二股9:30頃着、奥津軽いまべつ10:07発→木古内10:41着、11:16発→函館12:21着

③ 青森15:31発→蟹田16:08着、16:20発→津軽二股16:50頃着、奥津軽いまべつ17:01発→木古内17:35着、19:16発→函館20:16着

 

◆ 函館→青森

函館10:34発→木古内11:37着、13:01発→奥津軽いまべつ13:35着→津軽二股15:20発→蟹田15:55着、16:25発→青森17:13着

 

津軽線代行バス道南いさりび鉄道のいずれも、相互に接続時間を考慮したダイヤまで組む余裕、配慮はない状況と感じます。

 

北海道&東日本パス」と「(同)北海道線特急オプション券」

話は逸れますが、JR東日本JR北海道では毎年、春、夏、冬に「北海道&東日本パス」を発売しており、その際「北海道&東日本パス北海道線特急オプション券」も同時に発売します。

このオプション券は、北海道新幹線新青森新函館北斗に乗車できるほか、北海道内の特急普通車自由席が乗り放題の点が特徴です。

秋の乗り放題パス」の、奥津軽いまべつ木古内の新幹線乗車と比べ、列車計画の立てやすさは比較にならないほど拡大します。

 

秋の乗り放題パス」の「(同)北海道新幹線オプション券」を新青森新函館北斗乗車で

同じ「北海道新幹線オプション券」でも、「秋の乗り放題パス」と「北海道&東日本パス」とでは、使い勝手がまったく異なります。

秋の乗り放題パス」の、奥津軽いまべつ木古内の新幹線乗車では、青森-津軽二股木古内五稜郭を含めて、もともと青森-函館に相応の移動時間を要します。

 

北海道&東日本パス」の場合、新青森新函館北斗乗車なので、青森-新青森新函館北斗-函館の乗り継ぎを含めても2時間程度で効率的です。

しかも、奥津軽いまべつ木古内の両駅への停車、通過の有無も無関係なのが強みです。

新青森新函館北斗の新幹線乗車により、奥津軽いまべつ木古内と比較し、半日以上の時間短縮ができます。

先程の、函館10:34発→青森17:13着の上り乗り継ぎの場合、新幹線の時間ではどうなるか見てみます。

 

◆ 新函館北斗新青森を新幹線の場合

函館15:44発→新函館北斗16:06着、16:20発→新青森17:22着、17:38発→青森17:44着

通常乗り継ぎの所要6時間39分に対し、2時間00分になります。

 

割引切符は元々、与えられた条件の中で計画するものであり、不満なら使わないか、自分で運賃・料金を負担して乗る性格のものではありますが、函館→青森で上りの時間帯が実質1コースのみしかないことは再考の余地があると感じます。

秋の乗り放題パス」と「北海道&東日本パス」の各北海道新幹線オプション価格の中間程度(4,000円台)で、「秋の乗り放題パス」に新青森新函館北斗乗車の「北海道新幹線オプション券」を検討されてはいかがでしょうか。

 

北陸新幹線 「サンダーバード」「しらさぎ」から敦賀での「つるぎ」4タイプを予測する

サンダーバード」「しらさぎ」は、敦賀でどのタイプの「つるぎ」と接続して金沢、富山を結ぶか?

昨日の拙「北陸新幹線で大阪-福井わずか3分短縮 在来線敦賀-福井の快速増発効果を考える」の続編です。

今回は、北陸新幹線敦賀開業後の大阪→敦賀の「サンダーバード」25往復が、敦賀で4種類ある「つるぎ」のどのタイプに接続するかを予測してみました。

また、名古屋・米原敦賀の「しらさぎ」も想定してみました。

毎回のことですが、予測内容には何の根拠もありませんので、予めご了承ください。

 

「つるぎ」の4つのタイプを整理する

「つるぎ」は敦賀を基準として下記4タイプに分けられ、「サンダーバード」と同じ計25往復です。

25往復のすべての「サンダーバード」が敦賀で金沢方面の「つるぎ」に接続します。

① 敦賀-富山の速達型で福井、金沢、新高岡のみ停車の5往復

② 敦賀-金沢の速達型で福井のみ停車の4往復

③ 敦賀-金沢の各駅停車型3往復

④ 敦賀-富山の各駅停車型13往復

 

サンダーバード編】

大阪→敦賀の「サンダーバード」は①~④のどのタイプの「つるぎ」に接続するか?

サンダーバード」については、現在の大阪→金沢の全列車が同じダイヤのまま大阪→敦賀での運転に切り替わる前提のものです。

毎日運転ではない大阪10時12分発「サンダーバード15号」、15時12分発「29号」、19時12分発「43号」の3列車を、定期列車22往復と合わせると25往復になります。

以下、この3列車は定期列車格上げ前提としています。

また現在、敦賀を通過する列車は、敦賀到着時間を他列車所要時間に合わせて推定時間で記載しています。

 

◆① 敦賀-富山の速達型5往復で、福井、金沢、新高岡のみ停車の「つるぎ」に接続する「サンダーバード

現在、停車駅のもっとも少ないタイプの5列車で、1号以外は敦賀を通過しています。

・「1号」大阪6:30→敦賀7:57(以下、大阪→敦賀の時刻のみ表記します)

・「9号」  8:42→  9:59

・「21号」12:12→13:29

・「37号」17:42→18:59

・「43号」19:12→20:29

◆② 敦賀-金沢の速達型4往復で、福井のみ停車

①の5列車の時間帯の間の中で、速達列車同士の設定時間がある程度均等になることと、朝夕の混雑列車を想定したものです。

・「5号」 7:40→  9:01

・「17号」10:42→12:01

・「27号」14:42→16:01

・「33号」16:42→17:59

◆③ 敦賀-金沢の各駅停車型3往復

富山まで行くには時間が遅くなる列車です。

・「45号」19:27→20:48

・「47号」20:07→21:32

・「49号」20:54→22:14

◆④ 敦賀-富山の各駅停車型13往復

上記以外の「サンダーバード」13本です。(号数と時間は省略します。)

 

現在の定期運転の「かがやき」のように、「つるぎ」の速達列車も朝夕と夜に時間を集中させるか、終日の中で運転時間を均等に保つかによって、速達「つるぎ」の設定時間は変わってきます。

上記予測時刻は、現在の「サンダーバード」の停車駅の少ない列車の状況を勘案して予測しました。

 

しらさぎ編】

しらさぎ」は「サンダーバード」と異なり、停車駅が少ない速達列車はありません。

長浜と松任の2駅への停車の有無以外に、列車単位での大きな所要時間や停車駅の差異もないのが特徴です。

敦賀では「しらさぎ」到着後、10分以内で大阪からの「サンダーバード」が到着するダイヤ構成となっています。

そのため、「しらさぎ」は数分後の「サンダーバード」到着を待って、同じ「つるぎ」への乗車になると思われます。

しらさぎ」から速達「つるぎ」への接続は、現ダイヤでの速達「サンダーバード」と時間帯が合致した列車のみになると考えます。

 

◆① 福井、金沢、新高岡のみ停車の「つるぎ」に接続する「サンダーバード

現「サンダーバード」の速達列車が「つるぎ」速達列車に接続という前提においては、「しらさぎ」と現「サンダーバード」速達列車との敦賀到着時刻は一致しません。

そのため、下記2列車だけが速達型「つるぎ」接続と予測します。

・「しらさぎ7号」名古屋11:48→敦賀13:25

・「(同)61号」 米原 19:56→敦賀20:24

 

しらさぎ」は各駅停車型「つるぎ」接続が中心と想定

上記列車以外は、各駅停車型「つるぎ」への接続です。

名古屋19時48分発、敦賀21時24分着の「しらさぎ15号」は、上記③の各停「つるぎ」の金沢行き、他の「しらさぎ」は前記、速達接続の7号、61号を除いて④の各停「つるぎ」富山行きと考えます。

 

各駅停車型「つるぎ」は速達型よりも停車駅は4駅多く、15分程度の時間差があります。

一方で、現「しらさぎ」は、一部の「サンダーバード」のような敦賀通過、福井のみ停車する列車はありません。

全列車が武生、芦原温泉加賀温泉、小松に停車しています。

このことから案外、「しらさぎ」は速達「つるぎ」でない各駅停車型への接続でも受け入れられるのではないかとも思われます。

 

※ 昨日の記事についての補足

昨日の記事は、大阪-福井の区間だけに特定して速達を視点として見た際に、「サンダーバード」25往復のうち、敦賀で速達「つるぎ」「かがやき」(越前たけふ通過型)に接続する本数としては16往復が上限であるという話です。

その際、残9往復の「サンダーバード」は越前たけふ停車タイプの「つるぎ」接続となり、それによって北陸新幹線での大阪-福井の所要時間は現在の最速直通列車よりも逆に1分遅くなることを主眼とした内容です。

今回の内容は、25往復の「サンダーバード」が敦賀到着後、同じ全25往復の「つるぎ」の、4タイプのうちのどれに接続するかを予測したものです。

 

北陸新幹線で大阪-福井わずか3分短縮 在来線敦賀-福井の快速増発効果を考える

大阪-福井の3分短縮なら敦賀-福井所要40分の快速効果

北陸新幹線敦賀開業後、大阪-福井の時間短縮が現在と比べて3分ということが話題になっています。

3分ということから、様々な形容詞を付けて「わずか3分」「たった3分」「3分にとどまる」などと表現、評価されているようです。

 

大阪側からの最短所要時間及び短縮効果時間として、大阪-富山2時間35分(29分短縮)、大阪-金沢2時間9分 (22分短縮)、大阪-福井1時間44分(3分短縮)とのことです。

今回は、新幹線乗り継ぎで3分短縮の大阪-福井について考えてみたいと思います。

 

敦賀での新幹線乗り換え標準時分は?

敦賀での新幹線乗り換え時間はまだ不定ですが、敦賀での乗り換え時間を計算してみたいと思います。

東京からの北陸新幹線最速達列車での所要時間は、東京-福井2時間51分、東京-敦賀3時間8分です。

この最速達列車が福井で1分停車と仮定すると福井-敦賀は所要16分となります。

 

一方、敦賀停車の特急「サンダーバード」では、現在の最速列車は同33号の1時間17分です。

この1時間17分と福井-敦賀16分を合計すると、列車乗車時間としては1時間33分となります。

大阪-福井1時間44分(3分短縮)の案内時間から差し引くと、敦賀での「新幹線との乗り換え標準時分」は11分とみられます。

 

整理すると、大阪発-「サンダーバード」1時間17分-敦賀着-乗換11分-敦賀発-「つるぎ」「かがやき」16分-福井着、計1時間44分です。

一部では10分または8分との情報もあり、実際に敦賀での「新幹線との乗り換え標準時分」を何分とするかはJR西日本の公表を待つことになります。

 

大阪-福井の所要時間短縮と運賃・料金とのバランスは

現在の大阪-福井の最速列車は「サンダーバード37号」の所要1時間47分です。

この37号と、新幹線乗り継ぎ1時間44分との時間差が3分ということになります。

37号は敦賀を通過しており、大阪-金沢間は新大阪、京都、福井の3駅だけの停車です。

それが今後の大阪-福井は敦賀停車(敦賀止まり)に変わり、大阪から1時間17分乗車、乗り換え11分、新幹線で敦賀から16分に変わります。

 

運賃・料金は、現在の福井直通「サンダーバード」指定席で6,140円、今後は新幹線指定席と合わせ7,290円へと1,150円増となります。

時間的には3分短縮の対価が指定席の場合で1,150円となります。

 

越前たけふ停車の新幹線乗継は3分短縮が1分増に?

ここでいう「3分短縮」とは、北陸新幹線敦賀-福井で、途中の越前たけふ駅を通過する新幹線列車を前提とした時間と考えられます。

北陸新幹線で越前たけふ駅を通過する「かがやき」は7往復、「つるぎ」は9往復、計16往復です。

大阪-敦賀の「サンダーバード」は25往復です。

そのため、全列車での相互接続があったとすると9往復は越前たけふ停車の列車乗り継ぎになります。

 

北陸新幹線は通常1駅停車で4分間、所要時間が延びます。

敦賀-福井は越前たけふ通過型列車で16分、停車型で20分と考えられます。

大阪-福井での3分短縮が、越前たけふ停車型では4分増となって相殺すると1分の増加になってきます。

 

鉄道側の所要時間短縮案内は、今回の敦賀-福井に限らず、1本でも最速列車があればその時間で案内するのが通常です。

そこに「最速〇分」と、最速の文字を併記する場合もあります。

 

ハピラインふくいの敦賀-福井の快速設定

大阪-福井で見る限りは3分短縮、敦賀での乗り換え、料金負担増を総合すると、北陸新幹線のメリットはほとんどなく、むしろマイナス面の方が表面化してきます。

そうなると敦賀-福井の在来線を受け継ぐハピラインふくいはどうかということになってきます。

在来線の敦賀-福井は54km、最速50分、福井までは11駅、駅間距離平均4.9km、電車は2両または4両編成です。

 

以下、2023年6月14日付け、中日新聞「ハピライン快速5市町に停車 福井-敦賀40分の見込」の記事から一部を引用させていただきます。
(以下引用)
来春の北陸新幹線金沢−敦賀間開業後、JR北陸線の県内区間の運営を引き継ぐ第三セクター「ハピラインふくい」の利用促進協議会が十三日、福井市の県国際交流会館であった。同社は福井−敦賀間で朝夕に運行する快速列車を、沿線の五市町で各一駅ずつに停車させる方針を示した。 
 同社によると、快速列車は通勤・通学の利用などを見込み、朝と夕に各四本ずつ運行する。停車駅は「福井」「鯖江」「武生」「敦賀」の四駅に加え、南越前町については「南条」または「今庄」のどちらか一駅で検討している。
 福井−敦賀間では現在、特急の他、各駅停車の普通列車しか運行されていない。快速を導入した場合の所要時間は、普通列車に比べて十分ほど短い四十分になると見込んでいる。
(以上引用)

 

特急退避がなくなるので、敦賀-福井は快速で40分、各駅停車で50分と予測されます。

快速の本数は情報を整理すると、朝夕に各2往復のようです。

この本数ですと、新幹線から快速の乗り継ぎは特定時間に限られそうです。

 

敦賀-福井の快速設定で大阪・名古屋-福井の需要を取り込む可能性

快速の所要40分、終着駅を含めて途中4駅停車、2両または4両編成での着席率、ハピラインふくいの新運賃等を総合しての、新幹線1,150円との差額比較判断になってきます。

大阪、名古屋から福井へ、敦賀-福井の快速が便利な印象を持たれれば同区間での需要は喚起できるのではないかと考えます。

ハピラインふくいには、敦賀-福井での快速設定による大阪・名古屋からの乗り継ぎ利用促進効果を期待します。

 

(※記載にあたり、中日新聞、2023年6月14日の「ハピライン快速5市町に停車 福井-敦賀40分の見込」を参考にさせていただきました。)

 

平行普通列車ブログ2年目を迎えてのお礼

アクセスにこの場を借りて感謝します

2022年9月24日に拙「平行普通列車」を始めてから1年を経過しました。

これまでの365回、多くの皆様にアクセスしていただき、改めてお礼申しあげます。

ありがとうございます。

今回は一年を振り返っての雑感を中心に書かせていただきました。

 

お前は何をしている時が一番楽しいのか?と自問の結果

何も取り柄がない中で、自分の残り時間も考えながら「お前は何をしている時が一番楽しいのか?」と自問してみると、一番は鉄道、二番は鉄道についてあれこれ考え、鉄道についての想いや感想、意見提案等を書くことでした。

元来、理屈っぽい性分で、単純に趣味を楽しめばよいものを、こうしたらもっと良くなるのではと、鉄道に限らず考える習性がありました。

投稿魔、理屈屋、屁理屈屋、分析屋、考える人などとも言われますが、不平不満屋とまではまだ言われていません。

新聞、雑誌への投稿や、書いたものを印刷して人に配って読んでもらうような時代ではなくなったので、ブログの世界に飛び込んでみました。

常磐線いわき駅の旧駅名、平(たいら)がもっとも好きな駅で、列車の行き先でもあったのでこれをブログ名にしました。

皆様からは「へいこう普通列車」と呼ばれ、一部の人からは「平行」を「閉口」と評され、「毎日暇なんだね」とも言われますが別に否定せず続けます。

 

鉄道ジャーナル誌「タブレット」で趣味の方向性が定まる

かなり過去の話ですが当時、月刊雑誌「鉄道ジャーナル」の読者投稿欄「タブレット」というコーナーがあって、「タブレット」の中に「読者論壇」が設けられていました。

インターネット定着とともに現在、「タブレット」コーナーはなくなったものの、当時は指定文字数を守りながら原稿用紙に書き、封書で投函していました。

ボツになったものも多くありますが、掲載誌を見るのが楽しみでありました。

また、同雑誌の企画で当時の編集部の方々との旅行ツアーがあり、T氏・M氏・K氏との対話はまだ新鮮な記憶に残っています。

これらが現在の鉄道趣味、鉄道に対する物の見方、考え方を形づくりました。

 

鉄道雑誌には「鉄道ピクトリアル」「鉄道ファン」「鉄道ダイヤ情報」誌等もあります。

同じ車両を扱うにも外観的視点の「ファン」「ダイヤ情報」誌と、深く掘り下げる「ピクトリアル」誌との好対照さで鉄道趣味が一層深められます。

 

ブログの自己分析

鉄道コム、鉄道会社のリリース・サイト、他の人の鉄道ブログ、ジャーナリストの方々の読み物を参考にさせていただきながら書き綴ることがほとんどですが、一年の内容を振り返ってみると自分の傾向が見えてきました。

① 鉄道会社への意見、感想、要望、提言

② 鉄道の今後についての勝手予測

③ フリー切符での鉄道全路線乗車計画

④ 旅行会社ツアーの意見、要望

⑤ 駅名の回文、川柳、キャッチコピー等の言葉遊び

⑥ 自己満足型のこだわりの楽しみ方

⑦ その他、世間話し的な雑話など

以上のような傾向に分けられます。

 

アクセスに感謝、投稿後の素早い既読の方々に感謝

皆様のアクセスに支えられ、そのお陰もあって、ずっと書き続けてくることができました。

当初は夜に書いて、夜にはてなブログ宛に送信していました。

夜に書いたまま送信すると頭が熱くなったままで冷静さを失う傾向があるため、最近は多少は冷静になった翌朝を目途に送信させていただいています。

送信後、鉄道コムのブログコーナーに拾われて掲載されるかどうかは運次第で、3~4回に1回は鉄道コムに、はじかれる結果となっています。

それでも2022年9月24日から2023年9月23日まで一年間の総アクセス数87,514件、一日平均240件、この1か月の平均351件には感謝のほかありません。

送信後、日々すぐに読んでくださる方がいるのもありがたいことで、励みになります。

この場を借りてお礼いたします。

 

文面には誤字脱字、主語と述語の関係、現在の流行り言葉、話し言葉はないか、品のない表現をしていないか等を確認しているつもりですが、校正の甘さは否めず、反省の繰り返しです。

写真については行動範囲が狭いことや撮影力不足により、本文との無関係写真がありますが、何もないよりはいいかと勝手に貼付するケースがあります。

ご容赦ください。

 

余談ですが、書くことが進まない日も時にはあります。

筆者の場合、いささか過去の曲ですが、頭の中でソルティー・シュガーの「走れコウタロー」で元気を出し、チューリップの「心の旅」で筆が進み、翌日朝、かぐや姫の「神田川」で冷静さを取り戻す流れがあります。

音楽の不思議なバックアップ力(りょく)と思います。

 

2年目に向けて

鉄道界の出来事についてただ書き綴るにとどまらず、また一方的に批判するのでなく、前向き、建設的な考えを心掛け、明日の鉄道にお役に立てれば嬉しいと思っています。

沈着冷静、主観的でなく客観的に、他の人への理解がしやすいようにと心がけるものの、年齢の割にはまだまだ偏った見方や、熱くなりすぎて反省することも多々ありました。

利用者側としてだけでなく鉄道側の事情も考慮しつつ、いずれも中間的な立場、視点で物を見るバランスも案外重要です。

これが一方だけに偏ると、その反対側の人、中間の人の視点から遠ざかります。

読んでくださる方とのやり取り、コメント欄も考えるものの、一日一回掲載したいことや、他の人のブログを拝見する中、本来のコメント設置主旨と異なる批判、苦情、誹謗中傷等も散見されます。

本来の使い方をする人とのバランス等の見定めもあり、今しばらく様子を見守りたいと思います。

 

今後とも鉄道界のお役に立てればと勝手に思いながら、時には自己満足で楽しみながら続けていきたいと思っています。

末永くよろしくお願いします。

 

新幹線と在来線特急列車との乗継割引廃止に思うこと

本来の趣旨と異なる裏ワザ・逆手乗継方法で分かれる鉄道ファン行動も過去の話へ

JR4社(東海・西日本・東日本・北海道)から、2023年9月22日付けで、連名でなく各社から、新幹線と在来線特急列車の乗継割引を終了する旨のニュースリリースがありました。

JR東海JR西日本は廃止時期を2024 年3月 16 日(土)乗車分よりと表記、JR東日本JR北海道は詳細な時期(日程)は決まり次第としています。

JR九州九州新幹線、西九州新幹線は当初から乗継割引の対象外でした。

 

JR4社リリースに見る乗継割引廃止理由の微妙な差異

乗継割引廃止の理由について、JR4社にそれぞれの考え方が感じられます。

関係部分について一部分を引用させていただきます。

(以下引用)

JR東海

東海道新幹線のご乗車に際しては、約半数のお客さまに、新幹線の会員制ネット予約&チケットレス乗車サービス「EXサービス」をご利用いただくなど、ネット予約へのニーズが高まってきています。
こうしたお客さまのご利用状況の変化を踏まえ、東海道新幹線と在来線特急列車とを乗り継ぐケースにおいて、新幹線は「EXサービス」、そして在来線特急列車もネット予約してご乗車いただけるよう、来春、EX会員が新幹線以外の旅先でのコンテンツ等を予約いただける「EX旅先予約」にて、在来線特急列車のおトクな商品をご用意する予定です。
これに伴いまして、新幹線と在来線特急列車とを乗り継いだ場合に適用される「乗継割引」を来春、廃止します。」

JR西日本

「コロナ禍後のお客さまのご利用状況の変化やデジタル化の進展等の社会変容を踏まえ、乗継割引を終了いたします。」

JR東日本

「新幹線ネットワークの拡大や、インターネット販売等の拡充による販売環境の変化により、お客さまのご利用方法が変化しています。新幹線と在来線特急列車を乗り継いだ場合に在来線特急料金等が半額となる「乗継割引」についても、ご利用するお客さまが減少していることを踏まえ、このたび取扱いを終了します。」

JR北海道

「お客様のご利用状況や、弊社を取り巻く経営環境の変化を踏まえ、北海道新幹線と在来線特急列車との乗り継ぎ割引を廃止いたします。」

(以上引用)

 

こうして見ると、JR東海所有の東海道新幹線の乗継割引のケースが多いことが感じとれます。

 

乗継割引の本来の趣旨

乗継割引は本来の趣旨でいえば、新幹線開通前までは直通列車で設定していたところが、新幹線開通によって乗り継ぎが必要になったことに対するフォローの意味合いがありました。

東海道・山陽新幹線でいえば、京都では高槻・園部方面へ、新大阪では神戸方面へ、岡山では広島・米子方面への乗り継ぎを主とするものです。 

ただ、当時の国鉄としては乗り継ぎ路線を特定するとことは、現場が混乱する懸念があったと思われます。

 

一例として、東海道新幹線の名古屋での中央線乗り継ぎでいえば、大阪方面から中央線直通列車は新幹線開通前、開通後とも設定があったので、乗継割引は理解できます。

反面、静岡方面から名古屋経由中央線への直通列車はありません。

これを厳粛に、名古屋での乗継割引は岐阜、大阪方面からの乗り継ぎに限るというのは混乱をきたすので行ないませんでした。

 

本来の趣旨と異なる乗継割引

世の中いろいろな人がいるもので、乗継割引制度の裏技、逆手の方法として乗継割引を使う方法がありました。

〇 京都発九州行き寝台特急に乗る際、京都-新大阪を新幹線特定特急券で購入し、新大阪から特急料金を半額にした寝台列車に乗り継ぐケース

〇 東京-熱海の往路を新幹線、帰路の同じコースを在来線特急にしてそれを乗継割引にするケース

〇 新幹線からその日のうちの在来線特急乗り継ぎの際、在来線特急を自由席特急券にして有効期間2日間を拡大解釈し、翌日に乗り継ぐケース

〇 新幹線特急券だけ払い戻すケース

これらは不正や不正でなくとも本来の趣旨と異なり、望ましくないケースが見受けられました。

 

乗継割引の拡大解釈が人との分かれ道になったことも

制度の拡大解釈であっても合法と割り切る人もいますし、実際にはそこまで出来ないとして、頭の中では浮かんでも実践まではしない人もいます。

同じ鉄道ファンでも価値観の違いにより、そこで付き合い方の分かれ道になることもありました。

 

乗継割引は残念ではあり、移動経費が増える要因になることも事実ですが、廃止は時代の流れと受け止めたいと思います。

 

鉄道界は今後の運転士不足による列車本数削減にどう向き合うか

バスだけでなく鉄道も乗務員確保困難により列車削減に?

デイリー新潮、2023年9月19日付け「各地で相次ぐ運転士不足… 減便を発表した『福井鉄道』の特殊な事情」を拝見しました。

長崎県長崎電気軌道高知県とさでん交通福井県福井鉄道など、地方都市の鉄道事業者が相次いで減便を発表したことに触れた内容です。

以下、一部を引用させていただきます。

(以下引用)

 「このほど減便することを発表したのは、運転士が不足していることが理由です。福井鉄道では正常通りのダイヤで運行するには、運転士が28名いなければなりません。ところが、現在は21名で7名も不足しています。昨年度末から運転士が不足している状態で、これまでは運転士の資格を有する別部署の社員に応援を頼んでいました。しかし、それも限界に達し、やむなく減便することを決めたのです」と説明するのは、福井鉄道鉄道事業本部の担当者だ。

福井鉄道と同様に、長崎電気軌道とさでん交通も運転士不足という問題に直面し、減便という苦渋の決断を下した。

(中略)

「運転士の賃金が低いことは鉄道業界全体で問題視されており、弊社は運転士確保の観点から賃金を含め処遇改善に取り組んでいます。それでも、すぐに運転士を確保できるわけではありません。運転士不足から減便することを決めましたが、通常のダイヤに戻す予定は現時点ではメドが立っていません」(同)

(以上引用)

 

本文の最後に「早晩、運転士不足は全国へと波及することは間違いない」「鉄道業界は、この難局を乗り越えることができるのか?」と書かれていますが、全般的に著者ご指摘のとおりと思います。

ここに何も付け加えることもありませんが今回は、この示唆に富んだ記事を読みながら今後、全国の鉄道路線はどうなっていくのだろうかを思い浮かべてみました。

 

ワンマン化後の次の施策は

人手不足の対応としてはまずワンマン運転で、各地のローカル線等で実施してきているところです。

首都圏では東京メトロ副都心線や東急など、10両の長編成通勤電車でもワンマン運転を行なっています。

JR東日本の首都圏では、ホームドア設置と合わせ山手線、京浜東北線常磐緩行線などで準備を進めています。

次々に走る長編成列車がすべてワンマン化することは、全国の他の路線への影響も大きいものがあると考えられます。

青梅線では2023年3月から立川-青梅と青梅-奥多摩とで分け、直通運転を廃止し、奥多摩側をワンマン化しました。

JR東日本東京メトロ、東急等の事例はいずれも、列車乗務員は削減しながらも列車本数自体は現状を維持する前提のものです。

 

冒頭の記事では、今後の運転士確保自体の深刻さから、それが列車本数削減につながる危機感を指摘されています。

列車の利用状況とは別に、運転士確保ができない以上、運転本数を削減するしかないのでしょうか。

列車運用、乗務員運用の見直し、終着駅での折り返し時間、途中駅停車時間を短くして一日全体の本数自体は同じとすることまでが限度でしょうか。

 

早朝、深夜を中心とする、始発列車の繰り下げ、最終列車の繰り上げも乗務員効率化の一つの要素です。

ただし一日の運転本数全体では本数削減になり、一部の利用者が影響を受けます。

ラッシュ時等、利用の多い時間帯を中心とする本数削減は、列車内混雑に拍車をかける反面、乗務員を最も多く必要とする時間帯です。

究極は無人運転できれば解決しますがゆりかもめ、日暮里舎人ライナーのような、駅、車両、本数、利用者の集中度等の条件の整ったケースに限られ、無人運転の拡大は通常鉄道路線では困難と思われます。

 

どうしても乗務員確保ができず列車本数を削減するならば、車両増結はできないかということになってきます。

簡単に言えばローカル区間で言えば1両の列車を2両化することです。

輸送規模の大きいJR東日本首都圏で言えば、中距離列車の基本編成10両編成を、付属編成を含めた15両化です。

一部の駅でのホーム有効長が短いために列車編成全体の増結ができないとすれば、短いホームの駅でははみ出した車両分のドアカットを行ない、増結する方法です。

 

ある大手私鉄路線の例でいえば、6両編成の5両化が近々行なわれようとしています。

利用者減によるものですが将来的に最悪、乗務員確保ができなくなったならば、机上計算上ですが、急行列車設定の見直しで毎時2人分の削減はできます。

また、普通列車5両10分間隔を6両編成継続によって12分間隔化し、急行廃止と合わせて毎時片道延べ3人分の乗務員減をすることはできます。

ただし10分間隔が12分間隔、15分間隔になることによる不便さ、利用減との影響に兼ね合いがあります。

しかし乗務員が確保できない、ワンマン化以上のことはできないならば、そうしたことも考慮しなければならなくなってきます。

 

運転士(乗務員)確保困難による列車本数削減にあたっては、鉄道側の現状と自助努力状況、自助努力での限度、本数減選択による何らかのフォロー等の情報開示が求められていくと思われます。

(※記載にあたり、デイリー新潮、2023年9月19日付け「各地で相次ぐ運転士不足… 減便を発表した『福井鉄道』の特殊な事情」を参考にさせていただきました。)

185系「谷川岳もぐら・ループ」 湯檜曽-越後湯沢は各駅に停車して上越国境に親しみを

谷川岳上越国境を満喫する列車としての提案です

昨日の「首都圏185系臨時列車 武蔵野南線と新清水トンネルで高速走行運転の見せ場を」の続編です。

今回は、「谷川岳もぐら」「谷川岳ループ」(以下、「谷川岳もぐら・ループ」)の利用促進の話です。

 

谷川岳もぐら・ループ」は当初から臨時列車の設定で、「リゾートやまどり」編成による全車指定席の普通列車でした。

「リゾートやまどり」は2&1席の普通車で、山形・秋田新幹線の2&2席グリーン車も顔負けの破格サービス列車でした。

その後、E257系への置き換えと同時に特急化され、現在は185系で運用されています。

185系は限られた編成数に対し、他の路線での運用が多いことと通算走行距離数の関係からか、「谷川岳もぐら・ループ」の運転日は以前より少なくなっています。

 

JR東日本の2023年秋の臨時列車案内において、「谷川岳もぐら・ループ」は以下のように案内されています。

(以下引用)

谷川岳の絶景や、日本一のモグラ駅『土合駅』を見に行くことができる臨時列車です。

秋の山々に囲まれ心豊かな時をお過ごしいただけます。」

(以上引用)

 

谷川岳の絶景、上越国境等、上越線水上-越後湯沢には見どころが豊富にあります。

残念ながら列車の利用と比例せず、水上-越後中里の普通列車は平日5往復、土曜・休日6往復にとどまります。

その中で、「谷川岳もぐら・ループ」により大宮から越後湯沢まで直通で便利に乗れる意味では価値のある列車です。

谷川岳もぐら・ループ」は185系の話題性の方に視線が集まりますが、水上-越後湯沢の車窓もPRする価値があります。

「秋の山々に囲まれ心豊かな時を」「谷川岳もぐら・ループ」で過ごすべく、その方策を順不同で列記したいと思います。

 

谷川岳もぐら・ループ共通】

〇 「谷川岳もぐら・ループ」は特急列車ではあるが高速運転、所要時間短縮が目的の特急とは異なり、見どころ区間では徐行や停車を行なって列車乗車そのものを味わい、楽しむ行楽(観光)特急を兼ねる位置づけとする。

〇 185系乗車自体を目的に乗る人を想定し、185系の車内には季節単位で185系による臨時列車に充当する案内広告を掲示する。

〇 185系の車内に「谷川岳もぐら・ループ」の単独広告を掲示する。

〇 上越線湯檜曽、土合のほかに土樽、越後中里、岩原スキー場前の3駅にも上下列車の一部停車により上越線の車窓、途中下車を体感する。

改札口の位置を考慮し土樽、岩原スキー場前は上り「谷川岳ループ」の5分程度停車とする。

 

谷川岳もぐら】(湯檜曽→越後湯沢)

〇 新清水トンネルの中間地点に、列車交換設備を設置するための空間があることを、徐行運転とともに車内放送で案内。

〇 土合駅停車を除き、土合駅前後の新清水トンネル内での185系の時速90km/h前後での高速運転を体感。(※昨日の拙ブログで記載)

〇 土樽-越後中里の毛渡沢橋梁では、下り線から見える上り線側の円柱型の石積み橋脚を徐行運転により案内。

〇 土樽-越後中里-土樽では、上り側松川ループ線が走っていることを、徐行運転により体感、放送案内。

〇 越後中里駅は、改札口が下り側にあることから、追加停車して5分程度の下車、駅前周辺体験。

〇 越後中里-岩原スキー場前の大カーブの車窓、線路配置の体感。

 

谷川岳ループ】(越後湯沢→湯檜曽

〇 岩原スキー場前駅土樽駅は、上り線側に改札口がある構造から、上り列車で追加停車し、5分程度の下車体感。

〇 越後中里駅では、上り線からのスキー場や、スキーでの休憩所として国鉄時代からおかれている長編成の旧型客車を見やすい位置で見るため5分程度停車。

〇 越後中里-土樽では、松川ループ線の徐行体感。

下り線と並行した逆向きの走行位置で、その旨を放送案内。

下り線における、上り線の逆向き走行位置の案内も同様。

〇 土樽-越後中里の毛渡沢橋梁では、下り線側のコンクリート橋脚を、同じく徐行運転により案内。

〇 土樽-土合の清水トンネル内の中間に、かつての列車交換用の茂倉信号場があり、1984年11月1日廃止後も車窓右手にそのスペースが残っていること、保線車両が置かれていることを、徐行運転により案内。

〇 土樽では小説「雪国」の舞台だったことの紹介。

〇 土合駅では駅構内喫茶や再度の下り線ホーム往復を想定し、30分停車。

〇 土合駅では30分停車により、地下ホームから地上ホームへの往復を案内。

〇 旧湯檜曽駅の跡地の案内。

架線柱の幅が広くなっていて、地平からの階段も現存し、作業用通路となっていることを案内。

〇 湯檜曽ループ手前から、現在の湯檜曽駅の眺望。

湯檜曽ループの徐行体感。

〇 湯檜曽駅から山上の線路眺望。

 

すでに実施済みのものや、状況が変わっているものもあるかと思われますが、その際はご了承ください。

(※記載にあたり、Wikipediaを参考にさせていただきました。)

 

※写真は本文と無関係です。

首都圏185系臨時列車 武蔵野南線と新清水トンネルで高速走行運転の見せ場を

185系の余生を楽しむ一環として高速運転の体感の再現を期待

今回は、首都圏臨時列車の一部を担う185系電車についての話です。

首都圏の臨時列車はE257系が主流を占め、その次にE653系がありますが、それに加えて、2021 年3月に定期運行を終了した 185 系電車の運用も目立ちます。

JR東日本の「2023年秋の臨時列車の運転について」の中で、「より多くの方に楽しんでいただくため、臨時列車を運転します。当時の趣ある雰囲気が旅の思い出を彩ります。」と185系を案内しています。

185系設定の列車を見てみると、「きらきら足利イルミ」(吉川美南-足利)、「185」(横浜-伊東)、「谷川岳もぐら」「谷川岳ループ」(大宮-越後湯沢)、「鹿沼亜紀まつり」(新宿-鹿沼)、「蔵の街川越」(海浜幕張-川越)などがあります。

とくに「185」は電車形式そのものを列車名にしたアイデアが画期的で、ファンの人気ぶりとJR東日本185系PRの意気込みが感じられます。

2023年8月時点で6両編成2組、計12両が車籍を有しています。

 

185系が登場した1981年当時は、関西で新快速用117系が注目されていた時代でした。

関西では料金不要の新快速なのに対して関東は特急扱いで、普通列車運用も兼ねることで不評をだったこともありました。

 

185系の人気は去っていく車両への哀愁、郷愁からでしょうか。

近年の画一化されたJR車両からは得られない国鉄型車両の個性ゆえと感じます。

鋼製車体、車体側面に3本の帯を斜めに配した斬新さ、開けられる窓、抵抗制御機や空気圧縮機を交えた走りぶりと走行音、肉声案内放送、前面展望可能な先頭車など、185系全盛時代は当たり前だったことが、消えていく前の思い出として、いささか大げさな表現ではありますがより美しく、感動的に映ってきます。

 

武蔵野南線上越線清水トンネルでの高速走行を味わう列車企画を

185系が臨時列車としてまだ乗れることは良いとして、残念なのは臨時列車ゆえに運転速度が低いことです。

東海道、高崎、東北、武蔵野、中央、常磐線等、最少でも10分間隔の定期列車の合間を縫って、各駅を通過しながら走る以上、低速運転はやむを得ません。

以上を踏まえた上での希望として185系に対し、かつての全盛期の東海道高崎線定期列車で見られた高速走行を体感してみたい、高速運転時のモーター音が聞きたいという欲求があります。

しかしいずれも定期普通列車が多い中での臨時列車では、なかなか満たすことができません。

その本数の多い首都圏各路線の中で、高速運転が可能な路線として、武蔵野線の貨物専用区間、通称武蔵野南線の府中本町-新鶴見が考えられます。

武蔵野南線は定期旅客列車がなく、府中本町-新鶴見はほとんどトンネルで、途中に梶ヶ谷貨物ターミナル駅があるのみです。

貨物列車が多いとはいえ常時10分間隔で運転しているわけではなく、20分の運転間隔が開く時間帯で185系臨時列車の高速運転列車を設定してはどうかと考えます。

次の高速運転候補としては上越線湯檜曽-土樽の下り線、新清水トンネル13.5kmがあります。

 

2021年に引退した車両なので、高速運転をすることはかえって車両寿命を縮め、好ましくない、むしろ低速で走って寿命を長くした方がいいとの考えもあると思います。

少しでも長くその姿を見たい気持ちからすれば理解できます。

最高速度110km/hを求めるのではなく、時速80~95km/hの範囲で願いが叶えばと思います。

 

常磐線・千代田線の西日暮里乗換割高運賃問題を考える(その2)

常磐線複々線化と千代田線相互乗入開始の1971年当時の状況を振り返ります

2023年9月18日付け、拙「常磐線・千代田線の西日暮里乗換割高運賃問題を考える」の続編です。

今回は、1971年の常磐線の綾瀬-我孫子複々線完成、千代田線相互乗り入れ開始当時の状況を振り返ってみました。

 

1971年4月20日常磐線綾瀬-我孫子複々線化、千代田線乗り入れ時の状況

常磐線は、1971年の複々線開業前までは、上野-取手の国電区間JR東日本になってからはE電区間)では各駅停車運転でした。

土浦、水戸方面の中距離列車が事実上、上野-取手の快速列車的な役目を果たしていて、上野-取手の停車駅は日暮里、松戸、我孫子に絞られていました。

特急、急行列車、貨物列車も多く、とくに急行「ときわ」は全国一の列車本数がありました。

 

首都圏通勤五方面作戦の中の常磐線

当時、首都圏では輸送力増強に追われており、鉄道を複々線化する首都圏通勤五方面作戦が立てられました。

五方面とは、①東海道線東京- 小田原、②中央線中野-三鷹、③東北線赤羽-大宮、④総武線東京-千葉、⑤常磐線綾瀬-取手、でした。

 

各路線の概要は以下のような内容でした。

東海道線東京- 小田原

東京-大船で横須賀線と線路を分離することと、鶴見(貨物列車は新鶴見)付近から小田原までの貨物線の分離の2つがありました。

②中央線中野-三鷹

将来的には中野-立川を目指すものの、とりあえず御茶ノ水-中野の複々線三鷹まで延伸することを主眼としました。

三鷹-立川の複々線は進まず、その結果、平日の快速は中野-三鷹が各駅停車となっていて、複々線化による立川-東京の輸送力増強は果たせず、とくに速達の意味では特快だけが複々線を活かした形となっています。

東北線赤羽-大宮

京浜東北線東北線高崎線の中距離列車を分離する複々線化で、貨物線は元々、独立していて複々線になっており、これを3複線にするものでした。

総武線東京-千葉

錦糸町-千葉の複々線化と、東京-錦糸町の新線建設でした。

東京駅は地下ホームで、地上ホームまで距離があるものの、秋葉原乗り換えから東京に直通するのは画期的でした。

東京直通前までは、房総の急行列車は両国発着で、東京駅から見ると秋葉原と両国の2回の乗り換えでした。

また、総武線快速横須賀線直通により品川、横浜にも行ける便利さもあり、快速通過駅の錦糸町乗り換えの億劫さはさほど表面化しませんでした。

 

首都圏通勤五方面作戦で常磐線複々線区間は上野-取手でなく綾瀬-取手であること

常磐線綾瀬-取手は、複々線区間が上野-取手でない点が着目点です。

上野-綾瀬については、千代田線が根津・湯島から綾瀬までを肩代わりし、加えて霞ヶ関までの直通運転により、大手町と二重橋駅が東京駅の代役を担いました。

 

北綾瀬の千代田線車両基地の関係で、本来は常磐緩行線である北千住-綾瀬の建設を営団地下鉄が担ったことは、五方面作戦で膨大な資金が必要な国鉄にとって、救いの意味もありました。

その際、千代田線乗り入れによる運賃の割高はまだ表面化していませんでした。

 

常磐快速電車を10両から8両へと2両減車した国鉄の思想

複々線化後、上野発着列車が全部快速の種別に変わりました。

途中通過駅がある本来の快速の趣旨としては北千住-我孫子ですが、上野発着の快速電車は従来の10両から8両へと2両減車しました。

常磐線の首都圏通勤は千代田区直通の千代田線に移行し、上野止まりの快速利用は少ないだろうとの見通しだったためと想定されます。

線路が倍増したとはいえ、輸送力増強による複々線でありながら2両の減車は不可思議でもありました。

中距離電車同様、日中は8両であっても、ラッシュ時はむしろ4両増結して12両編成化すればまだ理解されたところを、逆に終日の2両減車の措置は妙でした。

複々線開業当初は柏を通過していたため、松戸-取手の快速は全般的に空いていたのは確かですが、松戸-上野は2両減で一層混雑してしまいました。

三河島のホームが狭く、日暮里側のホーム延伸が困難だったことも理由にありそうですが、それなら10両編成で継続するとか、12両編成なら三河島では日暮里側の2扉を開閉しないような措置はできなかったかと思われました。

 

1971年4月20日複々線化後の変化

松戸、我孫子、取手の3駅から日暮里、上野方面に行く場合は、快速設定により速達されて便利になりました。

反面、他の快速通過駅では上野直通が皆無になったので苦情が出ました。

 

同じ快速通過駅であっても、北松戸-南柏の場合は松戸での乗り換えを伴うものの、松戸-北千住は快速で早く行ける分、苦情は大きくは表面化しませんでした。

金町-綾瀬も快速通過駅ですが、綾瀬については千代田線直通起点駅であり、千代田線利用でも、北千住乗り換え三河島経由でも割増運賃が発生しなかった分、快速通過は同じく表面化しませんでした。

 

問題は金町と亀有でした。

上野に行くには、北千住で快速への乗り換えが必要となり、地下鉄運賃の別計算、割高問題が、地下ホームから地上ホームへの乗り換えと合わせて表面化していきました。

 

千代田線6000系の話題

当時の営団地下鉄常磐線直通前までは東西線と同じ5000系でしたが、常磐線直通を機に6000系を投入しました。

5000系車両とは一線を画す、前面デザインの斬新さが話題になりました。

サイリスタチョッパ制御というシステムの斬新さも同酔いでした。

対して国鉄は従来型の103系のまま、地下鉄版で新製投入しましたが、従来からの抵抗制御のままでした。

6000系103系には車両内外の印象に大差があり、103系が来たなら乗らず、次の6000系を待つ人もいました。

地下鉄内では抵抗器の発熱で蒸し熱かったものの、当時の地下鉄線内は千代田線に限らず車両冷房は不可、トンネル内冷房までということに疑問を抱かない時代でもありました。

 

割高運賃は問題視せず、千代田線経由なら西日暮里乗換で東京方面にも行けるという考え方

金町、亀有から千代田線経由、西日暮里乗換で上野、東京方面に行くことの割高運賃については、臭いものには蓋ではありませんが、国鉄はあまり前面には出さなかったように思います。

西日暮里経由の場合、運賃が異なること、〇〇円という必要最小限の案内だった印象があります。

そのため、西日暮里経由でも同じ運賃で行けると誤解するケースが多くあり、西日暮里での混乱、乗り換えトラブルがマスコミでも話題になっていきました。

国鉄と地下鉄、今のJR東日本東京メトロは違う会社だから運賃の別計算は当然だろう、そのことは認識されているだろう、直通する便利さは運賃負担増に勝るだろうとの考えが鉄道側に残っていると感じます。

前回の筆者の綾瀬停車など、複々線建設当時にさかのぼっての次元での提示であり、もはや今現在の議論としての土俵にも乗りません。

 

現在では千代田線西日暮里-北千住間を経由して、その前後でJR東日本路線に乗車の場合(JR東日本の指定駅が前提)は、出場するJR東日本の駅の自動改札機でJR運賃を100円割り引いています。

これが千代田線西日暮里乗換割高に対する、鉄道側の運賃配慮措置となっています。

 

現在では、金町・亀有に快速を停めよということよりも、この2駅から千代田線西日暮里経由でも三河島経由と同じJR線経由の運賃計算にすべしということに論点が移っているように感じられます。

同じJR線経由の運賃計算にすることが利用者にとって望ましいことではありますが、現状では上記の100円引きまでの対応です。

 

理解はするが納得はしないというの現象は世の中には多くありますが、そもそも理解さえもされないところにこの問題の難しさを感じます。

今回の運賃問題判決により、今後どのような動きがあるか注視していきたいと思います。

 

東武野田線の、ある踏切 歩道スペースがコンクリート塀で狭くなり車接触の危険性

踏切用の機器が歩道部分にはみ出たことによるものですが、将来は移設を

今回は、東武野田線(アーバンパークライン)新鎌ケ谷-六実にある踏切の話です。

その踏切を渡る道路は上下各1車線の車道があり、その両脇に歩道がある構造です。

歩道面積は、片側は一応のスペースがありますが、もう片方は歩行車用に線を引いただけの狭いスペースです。

歩道のうち、片側が一応のスペースがある方を歩いていると、踏切に差し掛かり、そこを渡ろうとすると、コンクリート塀に遮られ、車道にはみ出して歩くざるを得ず、危険を伴っています。

また、車の運転者側から見た場合ですが、コンクリート塀側の歩道を見ながら踏切を渡る際、歩行者がそこに差し掛かっていると、状況によっては踏切内でブレーキをかけざるを得ない時もあり、一挙に横断することができません。

踏切内でブレーキをかけることも危険なことです。

 

踏切の通行量は

東武野田線柏-船橋は日中、普通列車6往復、急行2往復で計8往復、これに急行2往復が加わり、毎時8往復のダイヤとなっています。

朝のラッシュ時は、普通列車が10往復になります。

踏切の通行量は、車は終日多いですが、日中の歩行者は比較的少ない状況ではあります。

 

出っ張り部分は踏切用の機器

この車道側への出っ張り部分は、踏切用の機器によるもので、踏切脇にこれを設置する余裕のスペースが確保できなかったため、歩道側にはみ出した形状になっています。

このコンクリート塀は前々からのもので、車道にはみ出した形状のまま現在に至っています。

最近はコンクリート塀のペンキ塗り直しが行われ、出っ張っていることで間接的に歩行者と車の運転者に注意を伝えています。

 

東武の複線化と新鎌ケ谷駅開設

現在、車の通行量はかなり多く、車の切れ目も少ない状況ですが、踏切設置当初は道路面積が狭く、また東武野田線の単線時代は問題がなかったのでした。

東武野田線新鎌ケ谷-六実の複線化は、1989年11月28日の、当時は新鎌ケ谷信号場として開設、部分複線化され、1999年11月28日に新鎌ケ谷信号場が駅になって、北総、新京成との接続が図られました。

なお、北総の新鎌ヶ駅は1991年3月31日、同じく新京成は1992年7月8日の開業でした。

 

余談ですが、東武新鎌ケ谷駅の開設が遅れたのは、同線の柏-船橋においては東京を志向していないため、従来まで船橋または柏から総武線常磐線での東京通勤経路により定期収入があったものが、北総で新鎌ケ谷、新京成で松戸、新津田沼経由の切り替えによる収入減の懸念とも言われていました。

 

なお、北総と新京成は新鎌「ヶ」谷、鎌「ヶ」谷大仏ですが、東武は以前から鎌「ケ」谷駅だったことから、新鎌「ケ」谷になっています。

鎌ケ谷市の市名は「ヶ」でなく「ケ」の方です。

 

将来的には東武踏切信号機器移設によるコンクリート塀撤去を

歩行者が少ないとはいえ、まったくいないわけではなく、付近には中学校もあります。

歩行者にとっては、今の形状のままでは危険です。

踏切内の歩道を渡り終わる時、車道に入り込む危険があります。

踏切用の機器の移設が難しいゆえに現状のままになっているのかもしれませんが、望ましい配置ではなく、将来的には線路内にスペースを生み出しての移設、歩道面積の通常スペース確保等が必要と感じます。

東武には今後の検討課題にして、将来的には改善していただくよう望みます。

 

常磐線・千代田線の西日暮里乗換割高運賃問題を考える

常磐線快速が綾瀬に停車すれば不満は減っていたか?

JR東日本常磐線東京メトロ千代田線の相互乗り入れで運賃が割高になるのは不当として、払い過ぎた運賃の賠償を求めた訴訟の判決が2023年9月15日、東京地裁であり、原告の請求は棄却されました。

今回は、この問題について考えてみました。

 

常磐線複々線化と千代田線

1971年4月20日に、常磐線北千住(綾瀬)-我孫子複々線化され、上野発着列車は快速線経由となり、北千住-我孫子の快速停車駅は松戸、柏だけとなりました。

複々線開業後、1972年10月1日までの約1年半の間は、快速は柏も通過していました。)

各駅停車(常磐緩行線)は、我孫子から北千住(管理上は綾瀬)を経由して、現在は代々木上原から小田急線にも直通しています。

 

現在の運賃状況は

亀有からの乗車を例として、以下の状況です。

〇 亀有-JR常磐緩行線-北千住-JR常磐快速線-日暮里:178円

〇 亀有-北千住-東京メトロ千代田線-西日暮里-JR山手線-日暮里:391円

〇 亀有-北千住-JR常磐快速線-日暮里-JR山手線-田端:230円

〇 亀有-北千住-千代田線-西日暮里-JR山手線-田端:391円

 

区間別購入の場合】

〇 亀有-北千住:JR常磐線167円

〇 北千住-西日暮里:東京メトロ千代田線178円

〇 西日暮里-日暮里:JR山手線146円

〇 西日暮里-田端:同146円

 

綾瀬に快速が停車していれば不満は減っていた?

この運賃問題は、千代田線西日暮里経由の運賃が、常磐線と千代田線とで別計算のため高くなることが第一で、第二に北千住駅のホームが、千代田線は地下2階、常磐快速線は地上の構造で、乗り換えに手間がかかったことにありました。

西日暮里乗り換えの場合、運賃が別計算で高くなることは鉄道側に不利なためか、PRは不足していたような記憶があります。

北千住の千代田線ホームが地下なのも不満の要因でした。

同じ地下鉄でも日比谷線や、後から出来たつくばエクスプレスは地上駅なのが皮肉です。

千代田線北千住ホームが常磐快速線と横並びしていれば、総武線錦糸町と似たイメージとなり、不満は減っていたように思います。

それができないならば快速を綾瀬にも停車させることが一番でした。

1971年当時の綾瀬駅前周辺は、現在と違って閑散としており、快速を停車させることは考えられませんでした。

綾瀬停車により、複々線による所要時間短縮時間も延ばしたくなかったと思われます。

綾瀬駅付近の当時の状況から見ると、快速ホームの設置スペースは十分あったように感じ、綾瀬駅で快速と緩行線・千代田線ホームが隣り合っていれば、北千住-日暮里の快速利用はもっとあったと思われます。

西日暮里乗り換えの方が秋葉原、東京、品川方面移動には乗り換えが1回で済むことでの利点はあります。

仮に、綾瀬に快速停車をしても上野止まりの列車運行ゆえに千代田線西日暮里経由の優位性は変わりません。

ただし、運賃負担が伴うことも変わりません。

快速が綾瀬を通過するたびに、快速ホームがあればと夢想することがあります。

 

千代田線がストライキで止まっていた時の綾瀬-北千住の移動方法

千代田線がストライキで運休していた、かなり過去の話ですが、綾瀬から北千住の移動は、緩行線でいったん松戸に行き、快速線で先程停車していた金町、亀有、綾瀬を通過して北千住に行っていた、逆戻り迂回ルートでした。

綾瀬から緩行線電車がそのまま常磐快速線に渡り線で直通できるか、または綾瀬に快速が停車していれば、この千代田線スト、松戸戻り現象は起きませんでした。

 

総武線複々線の場合

1972年7月15日に、東京-錦糸町の快速新線と、錦糸町津田沼複々線が開業しました。

1980年10月1日から、横須賀線総武快速線相互直通運転が開始されました。

1981年10月1日から、津田沼-千葉が複々線化されました。

 

総武線の快速通過駅では、錦糸町で別ホームに乗り換えますが、地上駅でホームが隣り合っていたことと、東京-錦糸町も同じ国鉄運賃だったこともあり、常磐線北千住のような問題は起きませんでした。

北千住と千代田線の地上・地下ホーム離れと、JRから東京メトロ(当時は営団地下鉄)という別の運賃体系による混乱、不満とは対照的でした。

 

(※記載にあたり、時事ドットコムニュース、2023年9月15日付け「『割高運賃は不当』訴え認めず JR常磐線とメトロ乗り入れ―東京地裁」を参考にさせていただきました。)