特別快速2往復は普通列車化を
常磐線の特別快速(以下、「特快」)は、2005年のつくばエクスプレスの開業と同年に設定され、料金不要の時速130km/h運転列車として日中の上野-土浦間に設定されました。
当初、上野-取手間は日暮里、松戸、柏のみの停車で、取手-土浦間は各駅停車でした。
日中の取手-土浦では、普通列車が3往復のほかに1往復の特快が加わった形で、毎時計4往復となっていました。
しかし普通列車3往復のうち1往復は、上野-取手間で後続の特快に抜かれるダイヤでした。
そのため、土浦側から上野への移動では、特快の前の普通列車には乗らず、特快を選ぶ結果を招き、土浦側から上野方面への行き来では実質的に3往復しかない結果を招きました。
2022年以降、特快は2往復だけ残っています。
今回は常磐線の特快の今後について考えてみたいと思います。
なお、土浦側の普通列車も上野-取手間では快速となっていますが、ここでは普通列車として記載しますのでご了承ください。
特別快速の意義
前記しましたが、常磐線の特快を2往復残しているのは、つくばエクスプレスに対する速達性、対抗意識と思われます。
常磐線の上野-土浦の速達は特急「ときわ」が通常です。
つくばエクスプレスには別料金が必要な列車はありません。
「ときわ」は特急料金が伴うため、料金不要の速達列車があることのアピールと思われます。
現在の特快と前後の普通列車のダイヤ
【下り】
種別 上野発→土浦着
普通列車 14:52→15:59
特快 15:11→16:08
普通列車 15:13→16:24
普通列車 15:51→16:59
特快 16:11→17:08
普通列車 16:13→17:24
【上り】
種別 土浦発→上野着
普通列車 8:42→9:49
特快 9:00→9:57
普通列車 9:09→10:16(土曜・休日は10:21)
普通列車 9:44→11:02
特快 10:00→10:58
普通列車 10:13→11:21
現在の、特快直前の普通列車
現在の特快2往復のダイヤを見ると、下りの普通列車は特快に追い抜かれることがなくなりました。
このダイヤなら取手-土浦の普通列車は実質的に4本あると言うことはできます。
上りの普通列車は、1本は特快に追い抜かれず上野に着きますが、土浦9時44分発普通列車は、10時00分発の特快に以前と同様、北千住で追い抜かれます。
具体的には、土浦9時44分発上野行きは、同10時00分発特快に北千住で追い抜かれます。
したがって10時前後の時間帯だけは、取手-土浦の普通列車は実質的に3本のままということになります。
特快の今後の3つの選択肢
日中の常磐線下り列車は、上野発で見ると取手(一部は成田線で成田)までの快速と、普通列車土浦行きとが20分間隔運転のダイヤで、上野-我孫子間は10分間隔となっています。
上野-取手(我孫子)相互間のダイヤは、特急通過待ちがあると発車の時分がずれますが、分かりやすいダイヤと言えます。
特快運転の時間帯は、取手-土浦の普通列車20分間隔の中に特快が割り込んだ形のダイヤとなります。
今後の特快の方向性については、以下のようなことが考えられます。
① つくばエクスプレスの競合を意識し、特快2往復を継続する方法。
ただし、土浦10時00分発列車で、先行する普通列車の北千住追い抜きダイヤを見直し、土浦発時刻を繰り下げて、先行列車を抜かない並行ダイヤとする。
② 特快といっても三河島、南千住、我孫子、天王台の4駅のみの通過であり、取手-土浦では通過駅がないことから、普通列車化して残存する方法。
③ 取手-土浦の普通列車は毎時3往復が適当ということで、つくばエクスプレスの競合は考えず、単に特快を廃止する方法。
土浦側の普通列車が日中、毎時3往復から4往復にできない事情
理想を言えば、日中の上野-土浦の普通列車は15両編成を10両編成に減車し、その分を毎時3往復20分間隔から、毎時4往復15分間隔にするのが望ましく思います。
しかしながら、二つの課題があります。
一つは、上野発着の快速ダイヤが、上野-取手(成田)と、上野-土浦との交互設定で上野-取手(我孫子)では10分間隔ダイヤにしていることです。
上野-土浦の列車を15分間隔にすると、上野-取手で10分間隔ダイヤが組めなくなります。
常磐緩行線も10両編成10分間隔6往復の状況で、快速が15両編成7~8往復では輸送力過大になります。
二つ目として、上野東京ラインの混雑状況からは、品川乗り入れの中距離列車10両編成よりも15両編成の方が望ましいことが挙げられます。
土浦側の普通列車増発は、20分間隔の次は10分間隔ということになり、そうなると上野-取手の快速車両の用途がなくなります。
現状、土浦側の10分間隔は輸送力過剰です。
結局、土浦側は毎時3往復、20分間隔ということに帰結します。
常磐線特快の今後の方向性とは
筆者は前記私案の②が望ましいと考えます。
土浦側の発着時間を現状の時刻のままとして、特快をそのまま全区間普通列車化するのが望ましいと考えます。
三河島、南千住、我孫子、天王台の、電車特定区間内での4駅の通過だけではあまり意味がないと思われます。
1日当たりの乗車人員が比較的少ない藤代(2022年度1日5,027人)、ひたち野うしく(同5,824人)、荒川沖(同6,542人)も追加で通過することが考えられますが、これまで停車してきた以上、現実には通過は困難と思われます。
前記ダイヤを改変すると以下のようになります。
【下り】
種別 上野発→土浦着
普通列車 14:52→15:59
特快→普通列車 15:06→16:17頃
普通列車 15:13→16:24
普通列車 15:51→16:59
特快→普通列車 16:06→17:17頃
普通列車 16:13→17:24
【上り】
種別 土浦発→上野着
普通列車 8:42→9:49
特快 9:00→10:07頃
普通列車 9:09→10:16(土曜・休日は10:21)
普通列車 9:44→10:58頃
特快 10:00→11:07頃
普通列車 10:13→11:21
とくに上り、土浦9時44分発列車が、北千住での特快待ち受けをしないことによる運転時間短縮、前後列車との並行ダイヤ化が望ましいと考えます。
少なくとも、特快があるから常磐線にしよう、特快がないからつくばエクスプレスにしようというほど、常磐線の特快誘発効果はないと思われます。