平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

立山黒部アルペンきっぷ 中央線・高山線・北陸新幹線糸魚川ルートのどれを選ぶか?

名古屋発と大阪発を対象に高山線と新幹線敦賀経由、中央線と糸魚川経由とを比較してみました

立山黒部アルペンルートは、電車、ケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバス、電気バス、高原橋、路線バスなど、様々な乗り物を乗り継いで移動するため、切符類を一括した「立山黒部アルペンきっぷ」(以下、「アルペンきっぷ」)は便利な存在です。

立山黒部アルペンきっぷは、JR東海JR西日本から毎年発売されており、2024年は北陸新幹線敦賀開業により列車条件、価格等が一部変更されました。

 

JR東海の管内では静岡、浜松、名古屋市内、岐阜の4駅から、「ひだコース(高山線・中央線経由タイプ)」で発売されていますが、名古屋市内発については「しらさぎコース(北陸新幹線・中央線経由タイプ)」もあります。

また、JR西日本の管内では京都・大阪・神戸の各市内と、姫路、岡山、広島の計6駅から、「北陸新幹線・中央線経由タイプ」と「北陸新幹線往復タイプ」があります。

今回はこれらについて、総合的にどちらが使いやすいかを見てみました。

 

◆ 名古屋発の、「ひだコース(高山線・中央線経由タイプ)」と「しらさぎコース(北陸新幹線・中央線経由タイプ)」について

片道分が、中央線名古屋-松本-信濃大町経由なのはどちらも共通です。

「ひだコース」は片道を高山線全線で行くコースで21,180円、「しらさぎコース」は米原敦賀経由、北陸新幹線で富山のコースで25,470円で、その差は4,290円です。

 

「ひだコース」は、名古屋-富山の特急「ひだ」直通は便利ですが4往復に限られます。

しらさぎコース」は、敦賀-富山を北陸新幹線で速達する分、「ひだコース」とは価格差をつけています。

しらさぎコース」は、名古屋発着の特急「しらさぎ」が対象で、米原止まりの「しらさぎ」に乗り継ぐため、名古屋-米原東海道新幹線で移動することはできません。

名古屋「しらさぎ」は8往復、米原止まり「しらさぎ」は7往復で、「アルペンきっぷ」利用では後者の7往復は役に立ちません。

それでも名古屋「しらさぎ」8往復は、富山「ひだ」4往復よりも本数は2倍ありますが、はたして列車移動時間は名古屋「しらさぎ」がどれほど速いでしょうか。

一例として、名古屋8時43分発「ひだ3号」は富山に直通で12時32分着で、所要3時間49分です。

これに近い時間の名古屋8時51分発「しらさぎ3号」は、敦賀10時27分着後、10時58分発「はくたか562号」乗り換えで富山11時57分着、所要3時間06分です。

しらさぎ」の方が43分早いですが、敦賀乗り換えがあります。

富山への「ひだ」は2両編成で、うち1両は自由席であり、指定席は1両のため、着席保証の確率は厳しくなります。

しらさぎ」の普通車指定席は5両、同じく「はくたか」は6両、「つるぎ」は8両あり、着席率では「しらさぎコース」になります。

約40分の所要時間差と指定席確保率の有利性、敦賀乗り換えの不利との総合判断で「しらさぎコース」にするか、それが4,290円の差額に見合うかどうかです。

ただし、「ひだ8号」、富山9時54分発、名古屋14時04分着、所要4時間14分と比べ、「つるぎ17号」富山9時39分発は敦賀で「しらさぎ6号」乗り継ぎ、名古屋12時48分着、所要2時間54分のように、1時間20分もの差がつくケースもあります。

平均的には1時間ほど「しらさぎコース」が早いと言えます。

 

両コースとも、中央線名古屋-松本の「しなの」において指定席3両、自由席2両の点は同じです。

 

【結論】

指定席確保を前提に、「ひだコース」をお薦めします。

ただし、「ひだ」の指定席満席時は「しらさぎコース」を推薦します。

「ひだコース」を薦めるのは名古屋-富山直通の利点からです。

しらさぎコース」は、米原止まりの「しらさぎ」7往復に対し、新幹線名古屋-米原乗車が不可の点と、敦賀乗り換えの点が、「ひだ」との4,290円差に見合わないと考えるためです。

「ひだ」の4往復のみの設定は「しらさぎ」に対して不利ではありますが、名古屋-高山の区間では6両編成、高山までは普通車指定席3両、自由席2両の状況です。

つまり、名古屋-富山が満席でも、名古屋-高山は着席の確率は高まるということです。

名古屋-高山は所要約2時間強、高山-富山は約1時間30分で、指定席満席時の自由席着席は運次第ですが座れない時、同区間90分の乗車時間は長く、途中駅での乗降による着席の機会も期待できません。

従って「ひだ」指定席の満席時は、指定席確保率の高い「しらさぎコース」をお薦めします。

北陸新幹線はくたか」「つるぎ」が満席で座席確保できないとしても福井、金沢で空席ができる可能性が高くなります。

しらさぎ」指定席5両、新幹線「つるぎ」の同8両の座席数は、「ひだ」の1両、定員50名前後と比べて大きな差があります。

 

◆ 大阪発の、「北陸新幹線・中央線経由タイプ」と「北陸新幹線往復タイプ」について

大阪のほか、京都、神戸、姫路、岡山、広島の出発駅があります。

姫路、岡山、広島発は、新大阪から山陽新幹線乗車です。

ここでは大阪発を事例とします。

 

片道が、大阪-敦賀は特急「サンダーバード」、敦賀-富山は北陸新幹線、富山-信濃大町アルペンルートの点は共通です。

「中央線経由タイプ」は信濃大町から大糸線で松本、松本-名古屋は中央線特急「しなの」、名古屋-新大阪は東海道新幹線で「のぞみ」にも乗車できます。

北陸新幹線往復タイプ」は、信濃大町から同じ大糸線でも糸魚川へ向かい、糸魚川敦賀北陸新幹線敦賀-大阪は特急「サンダーバード」になります。

「中央線タイプ」は31,840円、「北陸新幹線往復タイプ」は29,540円で、その差は2,300円です。

 

信濃大町→新大阪での移動時間を比較してみます。

「中央線タイプ」で信濃大町6:04→松本6:56着、7:04発「しなの2号」→名古屋9:18着、9:26発「のぞみ13号」→新大阪10:15着。所要4時間11分。

北陸新幹線往復タイプ」で信濃大町6:09→南小谷7:16着、7:35発→糸魚川8:33着、8:41発「はくたか551号」→金沢9:32着、9:47発「かがやき501号」→敦賀10:28着、10:44発「サンダーバード16号」→新大阪12:02着。所要5時間53分。

あくまで一例ですが、1時間42分の所要時間差は大きいものがあります。

 

【結論】

「中央線タイプ」を推薦します。

列車本数が多くて便利なことと、経路が往復で異なることにより、車窓に変化があることによります。

北陸新幹線往復タイプ」は2,300円安価ではありますが、大糸線は松本側に比べて本数が少なく、南小谷JR東日本の電化区間からJR西日本の非電化区間へと変わることもあって、南小谷で1時間以上待つ時間帯もあります。

糸魚川発着の北陸新幹線は、毎時1往復の「はくたか」が基本で、「つるぎ」は富山止まりであり、「かがやき」は糸魚川を通過します。

また、北陸新幹線はくたか」「つるぎ」とも金沢止まりの列車があります。

その場合、糸魚川-金沢は「はくたか」、金沢-敦賀は「つるぎ」で乗り換える時間帯もあります。

しかも両者の金沢発着時刻は接近しておらず、待ち時間があります。

その意味で毎時1往復の「しなの」、本数豊富な東海道新幹線の方が、2,300円差額と考え合わせれば安価な時間節約といえます。

 

もう一つの理由として、「北陸新幹線往復タイプ」は大阪-敦賀-富山が往復とも同じコースです。

その点、「中央線コース」は、片道が中央線と東海道新幹線で、北陸新幹線重複でない分、変化も楽しめます。

 

JR東海JR西日本に対する意見について

最後に、JR東海JR西日本に対するアルペンきっぷに関連しての列車要望を書きます。

◆ JR東海について

〇 アルペンルート混雑期に「ひだ」を2両編成から4両編成への増結。

しらさぎコース」が選べるのは名古屋市内発だけで静岡、浜松、岐阜発の場合は「ひだコース」しかありません。

従って「ひだ」の多客期の増結が望まれます。

現状では、高山止まりの4両編成を富山側に直通させ、富山用の2両を高山止まりにする、編成の行き先を交換する措置がもっとも容易です。

 

〇 「しらさぎコース」で、自由席限定でも、東海道新幹線名古屋-米原の乗車を可能とすること。

名古屋-米原の新幹線を乗車不可とすることは、半数を占める米原止まり「しらさぎ」の利用機会をなくし、北陸新幹線経由をしにくくさせています。

〇 静岡、浜松、岐阜発でも「しらさぎコース」を設定すること。

富山「ひだ」の輸送力が小さく、シーズン中は立席が常態化することは望ましいことではありません。

「ひだ」で増結が困難なら、輸送力のある「しらさぎ」コースを名古屋以外の地区にも設定することが解決策になります。

 

◆ JR西日本について

〇 大糸線南小谷糸魚川の夏季と紅葉シーズン中心の臨時列車増発。

下り列車で南小谷13時20分着列車の接続は14時42分発で、1時間22分待ちとなります。

南小谷駅前周辺で1時間半近く時間を潰すのは長すぎます。

〇 金沢止まりの「はくたか」の多客期の敦賀延長。

JR西日本アルペンきっぷで北陸新幹線糸魚川敦賀利用を促進したいならば「はくたか」「つるぎ」の金沢乗り継ぎは、敦賀乗り換えも加わるため、さらに苦痛にさせるマイナス要因です。

 

アルペンルートの鉄道利用の魅力は、中京地区、京阪神、山陽地区のほか、東京地区も含めて、往復の経路がおのずと変わることによる列車変化もその一つです。

その意味で「北陸新幹線ルート」の大阪-富山重複は魅力が薄れ、「中央線コース」に絞ってもよいのではないかと感じました。