高山線高山-富山の実質3.5往復をどう捉えるかがポイントです
2024年3月19日付け、拙「東京-福井 一筆書き切符企画で東海道・北陸両新幹線乗車を」の、東京-高山の場合の検証編です。
東京-高山往復の場合、ほとんどは東海道新幹線名古屋経由と思います。
高山線の特急「ひだ」は名古屋-富山を走りますが、名古屋-高山10往復に対し、高山-富山は4往復にとどまるためです。
また、上りの富山発名古屋行き4本のうち、富山7時58分発「ひだ6号」は、東京発の北陸新幹線一番列車、東京6時16分発「かがやき501号」でも富山8時23分着で間に合いません。
そのため、東京-富山-高山の連続乗車の場合は3.5往復ということになります。
東海道新幹線名古屋経由の場合
「ひだ」10往復に東京発着の「のぞみ」が接続します。
名古屋発は7時台から12時台まで、高山発は11時台から16時台まで、それぞれ1時間間隔で設定されています。
東京-高山の運賃は8,910円、特急料金は「のぞみ」4,920円、「ひだ」2,730円、片道16,560円、往復33,120円です。
最速乗り継ぎは、東京7:00発「のぞみ203号」(期日によっては107号)→名古屋8:37着、8:43発「ひだ3号」→高山10:58で、所要3時間58分です。
「ひだ3号」は名古屋-高山を2時間15分で走りますが、一方では名古屋16時03分発「ひだ15号」にように、高山18時45分着で所要2時間42分の列車もあります。
北陸新幹線富山経由の場合
富山発着の「ひだ」は対東京で見ると実質3.5往復にとどまります。
JR時刻表の「新幹線のりつぎ」の「富山のりかえ」ページを見ると、敦賀・金沢方面との乗り継ぎだけの掲載で、東京、長野方面からの乗り継ぎ案内は掲載されていません。
東京-高山は東海道新幹線経由だから不要ということでしょうか。
富山経由の東京-高山は運賃8,030円、「かがやき」6,360円、「ひだ」1,730円、片道16,120円、往復32,240円です。
東京側との富山乗り継ぎ高山線ダイヤは以下のとおりです。
なお、この高山発着時刻を基準に、比較データとして名古屋経由の時間を併記します。
時刻の「:」は略させていただきます。
東京→富山着、 富山発→高山着、列車名
720 →925→→→ 954→1125「かがやき503号」→「ひだ8号」(所要4:05)
1022 →1229→→→1308→1439「かがやき509号」→「ひだ14号」(同4:17)
1424 →1655→→→1714→1841「はくたか567号」→「ひだ20号」(同4:17)
※上記の高山到着時刻に近い名古屋経由の列車時間
東京→名古屋着、 名古屋発→高山着、列車名
651 →825→→→ 843→1058「のぞみ7号」→「ひだ3号」(所要4:07)
948 →1125→→→ 1143→1414「のぞみ65号」→「ひだ9号」(4:26)
1412 →1548→→→ 1603→1845「のぞみ39号」→「ひだ15号」(4:33)
高山→富山着、 富山発→東京着、列車名
1103→1232→→→1321→1552「ひだ3号」→「はくたか564号」(所要4:49)
1317→1451→→→1511→1752「ひだ7号」→「はくたか568号」(4:35)
1517→1644→→→1708→1920「ひだ11号」→「かがやき512号」(4:03)
1718→1854→→→1940→2156「ひだ13号」→「かがやき516号」(4:38)
※上記の高山発車時刻に近い名古屋経由の列車時間
高山→名古屋着、 名古屋発→東京着、列車名
1136→1404→→→ 1420→1557「ひだ8号」→「のぞみ94号」(4:21)
1335→1609→→→ 1620→1757「ひだ12号」→「のぞみ98号」(4:22)
1534→1806→→→ 1820→1957「ひだ16号」→「のぞみ40号」(4:23)
1633→1906→→→ 1920→2057「ひだ18号」→「のぞみ46号」(4:24)
東京-名古屋-高山-富山-東京の一筆書き切符はいくらか?
全区間で1,014.0キロ、高山線を換算キロで積算した運賃計算キロ数は1,036.6キロで運賃12,870円です。
特急料金は、東京→名古屋「のぞみ」4,920円、名古屋-高山「ひだ」2,730円、高山→富山「ひだ」2,730円、富山→東京「かがやき」6,360円、合計28,610円です。
東京-福井と東京-高山の違い
東京-福井では一筆書き切符をお薦めしましたが、これは新幹線と在来線特急の本数が全区間で充足していたからです。
東京-高山の場合、名古屋-高山の特急10往復はよいとして、高山-富山の実質3.5往復の状況から、一筆書き切符を使うとすれば高山-富山の列車時間と移動計画とが整合した場合に限られてきます。
往復のコースを変えた方が変化に富むことや、東海道新幹線往復と比べて4,510円安価なこともあり、一筆書きコースを推薦したいところですが、高山-富山の列車時間を気にするあまり、前後の周遊時間等を犠牲にしては意味が薄くなります。
高山から東京への帰路が、高山を11・13・15・17時台発が旅行計画として丁度よかった、列車時間とも整合したという半分偶然的な結果ならば、一筆書き切符でお薦めできます。
【結論】
〇 東京-高山は、往復ともに新幹線と「ひだ」の列車本数と車両連結数の多い東海道新幹線名古屋経由が一般的かつ実用的です。
〇 北陸新幹線富山経由の往復は、「ひだ」の列車本数と車両連結数が限られるため、一般的ではないと考えます。
ただし、東京発で高山に午前中到着希望の場合、名古屋経由は東京6時51分発で高山10時58分着、所要4時間07分に対し、富山経由は東京7時20分発で高山11時25分着、所要4時間05分であり、北陸新幹線富山経由で高山に向かっても遜色はありません。
高山15時17分発、東京19時20分着の、所要4時間03分の時間は、名古屋経由より迅速です。
〇 前記しましたが、一筆書き切符は東海道新幹線名古屋経由の往復よりは変化があって、列車旅行気分として盛り上がると思われ、高山-富山の「ひだ」の運転時間と自身の計画とが一致すれば利用する価値はあります。
ただし、北陸新幹線が速達の「かがやき」でなく、富山-長野間各駅停車型の「はくたか」乗り継ぎケースがあることに留意する必要があります。
「かがやき」の臨時列車の運転日には利用した方が富山-東京は時間短縮します。
また、名古屋-高山は6両編成ですが、高山-富山は2両編成であり、うち1両は自由席で、指定席もは1両という点も留意点となります。
蛇足ですが、高山-富山の本数、車両編成両数が増えないのは利用実績によるものではありますが、高山-富山89.4キロのうち、猪谷-富山36.6キロ、41%がJR東海路線でなく、JR西日本所管であること、高山線全線がJR東海であればもう少し違っていたのではないかとも感じますが、うがった見方でしょうか。