なぜ!? 常磐線からの上野東京ラインだけ『品川止まり』 直通したら便利そうもできないワケ」を拝見しました。
常磐線の上野東京ライン直通列車が品川以遠へ直通しない理由を探求した内容です。
その中から一部を引用させていただきます。
(以下引用)
なお常磐線にはE531系のほか、直流専用のE231系が品川~取手・成田(成田線直通)間で運行されています。こちらの車両であれば、性能的には東海道本線のE231系とほぼ同じ。東海道本線のE231系が取手駅まで乗り入れる代わりに常磐線のE231系が東海道本線に乗り入れれば、E531系の新造よりは安くつくかもしれません。
しかし常磐線のE231系はトイレもグリーン車もない通勤形で、遠距離の運用を想定していません。そして特に、ダイヤが乱れた際に車両の融通が難しくなるという懸念が出てきます。
たとえばE531系が小田原方面まで直通したと仮定します。ダイヤが乱れたとき、東海道本線と宇都宮線、高崎線の車両であれば、形式が同一なので、柔軟に行先の変更が可能です。しかしE531系がそこに加わると、運転整理の際に「取手以北へ直通できる車両か否か」という判断が必要となり、ダイヤの柔軟性が損なわれます。
そのため常磐線の電車は、車両の新造を極力しないで済む範囲で旅客の利便性を向上させ、かつ折り返しができる設備を持つ駅ということで、乗り入れを品川駅までとしているのです。
(以上引用)
【一日の平均通過人員(2022年度路線別利用状況)】(単位:人。以下、同)
〇 常磐線日暮里-取手:288,593
取手-土浦:71,461
土浦-勝田:36,045
〇 高崎線大宮-熊谷:161,405
熊谷-高崎:38,613
〇 東北線東京-大宮:514,206(※京浜東北線、埼京線を含む)
大宮-古河:128,345
古河-宇都宮:44,369
【主な駅の一日の乗車人員(2022年度)】
〇 常磐線取手-水戸
水戸:25,161
土浦:13,343
牛久:10,322
龍ケ崎市:9,837
荒川沖:6,542
ひたち野うしく:5,824
赤塚:5,450
藤代:5,027
神立:4,667
石岡:4,563
〇高崎線宮原-高崎
上尾:36,335
高崎:27,299
熊谷:25,318
桶川:22,149
宮原:20,558
鴻巣:16,725
北本:15,588
北上尾:13,734
籠原:12,395
深谷:8,537
本庄:8,058
北鴻巣:6,309
行田:5,404
〇東北線土呂-宇都宮
宇都宮:31,241
東大宮30,234
久喜:30,225
白岡:11,104
古河:10,812
栗橋:10,451
東鷺宮:8,118
新白岡:6,050
雀宮:4,089
石橋:4,059
〇(参考)新幹線駅の一日平均乗車人員
大宮:25,514
高崎:11,271
宇都宮:10,344
小山:3,575
熊谷:3,246
本庄早稲田:1,726
以上の数値を見ると、常磐線の上位駅の合計と、高崎線、東北線の上位駅合計とでは明らかな差がありました。
【主要都市の人口と世帯数(2023年8月31日または9月1日現在の住民基本台帳人口。水戸市のみ常住人口】)
〇 水戸市:268,280人、125,898世帯
〇 土浦市:141,418人、69,840世帯
〇 高崎市:368,233人、171,472世帯
〇 熊谷市:192,502人、89,804世帯
〇 宇都宮市:516,078人、244,234世帯
〇 古河市:140,717人、64,559世帯
県庁所在地の人口でも差が見られました。
【線路配置状況】
〇 常磐線北千住-取手の複々線に対し、赤羽(上野)-大宮は東北線、湘南新宿ライン、京浜東北線、埼京線の計4複線があること。
さらに、上野からの東北新幹線を加えれば5複線の線路配置であることで、差は顕著です。
【列車ダイヤ、列車編成の比較(東京から水戸と高崎、宇都宮を同位置で見た場合)】
〇 品川発の常磐線普通列車は、9時09分発から13時17分発までは土浦止まりであり、土浦から水戸方面へはグリーン車のない5両付属編成であること。
品川発の東海道線からの高崎線、東北線普通列車の場合は、直通の高崎行きが毎時2本、宇都宮行きが毎時1本はグリーン車付き列車で設定されていること。
〇 大宮以北において、上野東京ラインの列車のほかに、湘南新宿ラインの列車が加わり、大宮-高崎、大宮-宇都宮は毎時3往復のグリーン車付き列車設定であること。
〇 上野-水戸間の輸送は毎時2往復の特急が中心だが、上野-高崎、上野-宇都宮は新幹線により、常磐線特急を上回る輸送定員であること。
以上のことから、グリーン車付き基本10両編成でさえも常磐線土浦以北では輸送力過剰の状況で、高崎線熊谷-高崎、東北線小山-宇都宮では見られない現象です。
また、日中の常磐線柏以北では15両編成は既に輸送力過剰になっています。
極論で言えば、付属5両編成については交直流電車でなく直流電車化し、我孫子・取手切り離しでもよいようにさえ見受けられます。
【車両運用】
〇 常磐線の交直流電車を直流区間の小田原側まで直通させることは、交流設備が活かせない意味で望ましくないこと。
〇 常磐線快速、上野-取手の普通車のみのE231系を、仮に東海道線のグリーン車付き列車で取手まで乗り入れさせても、常磐線内のグリーン車利用が見込めないこと。
〇 仮に、高崎線、東北線列車の一部を品川折り返しにして、常磐線の東海道直通と入れ替えても、横浜-大宮と横浜-取手の利用に大きな差があること。
【線路配置】
〇 上野東京ラインの常磐線下り列車は通常、上野駅手前、御徒町付近で高崎線・東北線列車と平面交差しているため、ダイヤ制約上、常磐線直通列車を現状以上には増やしたくないこと。
【羽田空港新線関係】
〇 羽田空港新線開通後の列車ダイヤは未定であるが、開業後、品川止まりの常磐線列車を羽田空港発着に変更した場合、東海道線への影響は新橋-品川だけの列車削減で済むこと。
〇 上野発の常磐線普通列車は夕方から夜を中心に宴会列車とも言われ、列車内で酒を酌み交わす光景が見られました。
夏場は座席確保のため、冷房のない時代の窓開けを利用して荷物を座席に投げ込んで席を確保しようとしたり、窓から列車内に身を入れて直接乗り込む現象もありました。
必ずしも常磐線だけではないと思いますが、東海道線では見られない光景で、東海道側ではあまりきれいな電車と思われていない印象の人もいたようです。
東海道線と常磐線の直通には、電化設備の相違だけでない、過去を引きずるイメージが残っているのでしょうか。
以上ですが、いずれも推測の域を出ませんのでご承知ください。
最後に、常磐線列車の上野東京ライン直通品川行きの行き先表示器には「東海道線直通」と表示されます。
東海道線直通と言っても上野以南、品川までの3駅、6.8kmの距離ですが、「東京直通」でなく、東海道線直通と表現しているのは、遠方の東海道線地区への含みを持たせた常磐線沿線への配慮とも感じられました。