東北線宇都宮駅、青梅線青梅駅のような全列車乗換が常態化する方向へ?
東洋経済オンライン、2023年8月2日の「全線直通列車なし『系統分離』路線が増える事情 需要減る区間の効率化、乗客は乗り換え必要に」を見ました。
分割併合作業に手間がかかることから、これまでの途中駅で編成を分割する方法から、東北線宇都宮、青梅線青梅のように全列車を系統分割する方法、常磐線土浦のように日中の列車を系統分割する方法を紹介しています。
また、今後の中央快速線12両化について、時間帯によっては高尾でグリーン車を含む基本編成8両だけが大月へ向かう可能性にも触れている、興味深い内容です。
JR東日本では列車を短区間に分けて、乗り換えを強いる方式が拡大する
JR東日本では、途中駅での分割併合方式が手間を要するため、2列車に分けて乗り換えを強いる方式が今後、日中を中心に拡大していくことは予想されます。
具体的には、常磐線土浦のほか、東海道線は平塚や小田原、横須賀線は逗子、総武快速線は千葉、京葉線は蘇我、東北線は小金井、高崎線は籠原、中央線は高尾での乗り換えです。
常磐快速線の我孫子経由成田行きは、15両編成では5両を我孫子で切り離すため、10両編成のみでの直通継続化が考えられます。
東海道線沼津直通は全区間10両編成運転なら実施できますが、東京付近で10両にはできないので、沼津直通自体を無くす選択になるかどうか。
中央快速線では、高尾で基本編成8両だけが大月へ向かう可能性に触れましたが、グリー車連結12両編成を機に、高尾での2分割化、日中の大月方面は高尾で隣に停車する、別の付属4両編成に乗り換えのパターンも考えられます。
快速、普通列車の富士急行線直通列車は、高尾または大月での乗り換えも想定されます。
同一ホーム乗り換えが理想ですが、全駅にその設備が整っているわけではありません。
乗り換えを強いるフォローとして、渡り線を新設してでも同一ホーム乗り換え便宜は図るか、経費節減で階段乗り換えでも割り切る駅も発生してくると思われます。
東北線で言えばかつて、上野発11時台に普通列車一ノ関行き、441.5kmの距離を行く機関車牽引の客車列車が設定されていた時代もありました。
現在の東北線普通列車では宇都宮、黒磯、新白河、郡山、福島、白石、仙台、小牛田と計8回の乗り換えが伴う時間帯が大部分で、東北線は既に2分割以上の運行分離を実施しています。
また、宇都宮、黒磯、新白河、福島、仙台の5駅は全列車で乗り換えが伴います。
黒磯-新白河は22.1kmの短距離往復運用です。
特急でも分割併合を無くしていくか?
普通列車だけでなく特急でも分割併合列車の削減は考えられます。
「成田エクスプレス」で言えば新宿発着と大船発着の分離運用、交互の1時間設定化です。
東京-成田空港が30分間隔ならいいだろうという、新宿側への割り切りです。
「踊り子」は修善寺発着の単独設定は考えにくいので、伊東線側のみの設定、「あずさ」「かいじ」は「富士回遊」を見直し、中央線のみの設定での割り切りが考えられます。
「富士回遊」は河口湖での折り返し待機時間が長いため、単独の直通列車設定で「あずさ」と切り離すと思われます。
東北新幹線の分割併合は?
東北新幹線「つばさ」「こまち」は福島、盛岡での分割併合は今後も続きますが、合理化して「つばさ」「こまち」同士を併結させ、盛岡分割を無くす選択肢はあるかもしれません。
北海道新幹線は函館直通の話が出ていますが、その時は札幌行きと函館行きの併結運転、新函館北斗での分割はあるのでしょうか。
JR東日本以外は?
JR東日本以外を見てみます。
JR西日本は、京阪神の新快速で12両編成の入れない区間での列車分割化が想定されます。
JR四国は、岡山発着と高松発着併結の岡山側への一本化で、すでに多客期に実施しています。
「南風」と「うずしお」の併結は、「うずしお」高松発着に戻る可能性はありそうです。
JR九州は、「みどり」と「ハウステンボス」の併結運転の見直しになりますが、早岐で両列車が別方向に分かれる線路配置なので、早岐は分割併合に適した駅ではあります。
余談ですが以前、東京-九州の寝台特急が小倉、熊本、肥前山口(現在の江北)、大分で分割併合していた時は、機関車列車だったので併合は手間を要しました。
電車、気動車の気軽な併合とは次元が違いました。
時代は変わっていくことを感じます。