平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

函館線札幌-旭川60分構想と安全・安心の両立化を考える

札幌-旭川間、所要60分を掲げたJR北海道構想の課題点を探ってみました

JR北海道は2026年までの中期経営計画で、函館線札幌-旭川の所要時間1時間25分を60分とする高速化構想を掲げました。

札幌-新千歳空港の25分構想と合わせ、夢がある、未来に期待を抱かせる計画です。

その構想はよいのですが、現在の路線を使用して実現できるのでしょうか。

明るい話に水を差すつもりはありませんが、所要60分の部分が独り歩きするあまり、時速160km/h運転、場合によってはそれ以上の速度によるリスクが気にかかります。

今回は、札幌-旭川で現状の函館線という在来線の形のまま、時速160km/h運転、場合によってはそれ以上の高速運転を行なうとした場合の課題点を中心に順不同で列記してみました。

 

狭軌での高速運転と踏切対応関係

〇 狭軌でありながら軌道強化により時速160km/h以上での安全性を保てるか。

→ 成田スカイアクセス線「スカイライナー」の160km/h運転は、高架新線、標準軌での安定性があること。

→ 北陸新幹線金沢開業前まで、北越急行はくたか」でも160km/h運転をしていたが、踏切のない設備や降雪対策等の条件を整えていたこと。

〇 札幌-旭川136.8kmで高架化等により全線での踏切の一斉除去ができるのか。

〇 踏切部分を立体交差化するとしても、踏切のない地平部分において、線路立入や線路横断行為での事故も想定されること。

〇 線路内への動物進入による衝突事故の際の危険度が高まること。

→ 先頭部の形状を新幹線型に近いタイプにするか。

→ 進入ができないよう、全線に柵を設けるか。

柵を超えるイタチごっこにならないか。

 

地上設備関係

〇 駅ホームや地平区間での風圧による事故や、人身事故時のリスクが高まること。

→ ホームドア計画はあるか。

〇 北海道固有の耐寒耐雪に対する新たな対応が求められること。

〇 雪などにより、冬や朝方の地上信号確認に一層の精度向上が必要なこと。

→ 時速160km/h以上の場合でも、地上信号の視認が可能か。

→ 信号改良または地上信号方式によらない場合、気動車特急、普通列車、貨物機関車等の対応はどうか。

 

列車ダイヤ関係

〇 現在の「ライラック」「かむい」は計21往復設定であるが、日中から夜にかけては30分間隔運転の時間帯が少なく、60分間隔が多い列車需要であること。

〇 札幌-旭川所要60分、ノンストップ列車はどの程度の設定か。

→ 所要60分列車はごく一部の時間帯に限られ、他の多くは現在の「ライラック」「かむい」同様の5駅停車(岩見沢美唄、砂川、滝川、深川)または3駅停車(岩見沢、滝川、深川)までと思われること。

従って、所要60分列車があるという宣伝にはなるが、多数設定されるとは思われないこと。

(※ 東北・北海道新幹線東京-新函館北斗3時間57分列車の1.5往復、北陸新幹線東京-敦賀3時間08分の片道1本の事例と類似。)

〇 所要60分のノンストップ型列車と、主要駅停車型、気動車特急による従来速度型とで、特急料金を3種類化するか。

〇 札幌-江別で、先行列車は後続の高速列車から逃げ切れるか。

〇 小樽側への特急延長はないか。

〇 将来の新千歳空港のスルー化後、特急「すずらん」にも同車両充当による札幌-苫小牧での高速運転を行なうか。

 

JR北海道の高速運転の機運

〇 JR北海道はかつての列車火災事故や脱線事故等により、安全確保上、特急列車の最高速度を下げ、所要時間が延ばしている状況であり、それが一転して同じ在来線のまま更なる高速度運転の安全確保が保てるか。

→ 過去の列車事故のような気動車列車、貨物列車でなく電車列車だから大丈夫だと言えるか。

→ 列車乗務員への安全への理解協力が得られるか。

→ 保線員の確保体制はどうか。

〇 先般、国のJR北海道に対する支援発表に併せて監督命令が発出されたところであり、札幌-旭川の60分構想のほか、札幌-新千歳空港の25分構想と合わせて、JR北海道は様々な課題解決とどのように両立させていくか。

〇 時速160km/hにとどまらず180km/h、200km/h化を目指すか。

 

新幹線単線化による札幌-旭川の29分構想よりも、並行在来線議論のない在来線による高速化をとったと思われる旅行総合研究所タビリスのご指摘は、そのとおりと思います。

踏切の完全解消は成し得たとしても、全区間高架化までは困難と思われ、その結果、地平での動物等の進入事故対応等は今後も避けられないと思われます。

狭軌による高速への弱点克服も気がかりなところです。

 

まず何よりもJR北海道には安全で安心して列車に乗れる信頼づくり、安心づくりの回復と、その確立、情報提示を望みたいと思います。

 

(※ 記載にあたり、旅行総合研究所タビリス、4月25日付け「北海道新幹線旭川延伸を考える。札幌~旭川間29分は実現できるか?」を参考にさせていただきました。)