東海道新幹線全線の輸送障害時に、東京-敦賀の北陸新幹線の連携活用をしてもよいのでは?
静岡県知事の辞表提出により、リニア中央新幹線(以下、「リニア」)の工事や開業についての話題が多くなってきました。
リニアの開業について、JR東海は工事の遅れから2027年の開業目標を断念し、早くても2034年以降になる見通しを示しました。
ここで、MBSニュース、2024年4月10日付け「【リニア中央新幹線】奈良・三重では駅やルートの調査動き『リニア来てほしい』鉄道アナリストは『東海道新幹線は限界...第2ルートに』静岡・川勝知事が辞表提出」の記事から一部を引用させていただきます。
(以下引用)
鉄道アナリスト「のぞみがストップしたときに第2ルートがあるのは良い」
~中略~
「(Qリニアは絶対つくるべき?)限界ですからね、東海道新幹線は。のぞみが1時間に12本というのは異常なぐらい多いですよね。ちょっと何かあったら全線ストップになるわけです。そのときに第2ルートとしてリニアがあるのは良いわけですよね」
(以上引用)
お話のとおり、東海道新幹線に何かあって全線ストップしたときに第2ルートとしてリニアがあるのは良いわけですが、リニアの開業は10年以上先の話です。
リニア開通までの間、東海道新幹線が何らかの事情で運転できなくなった時の影響は多大なものがありますが、その際は運転再開までじっと待つしかないのでしょうか。
100キロ前後の移動なら在来線にも変更できますが、東京-新大阪となると普通列車を乗り継いで約9時間への変更は現実的ではありません。
2024年3月16日、北陸新幹線敦賀開業により東京-敦賀が最速3時間08分で結ばれました。
もしも東海道新幹線が長時間運休した場合、敦賀まで開通した北陸新幹線の活用はできないでしょうか。
ここで、東海道新幹線と北陸新幹線の状況を比較してみたいと思います。
なお、ここでの所要時間は最速時間で、列車本数は臨時列車を含めた最大本数で掲出します。
◆ 最短所要時間
〇 東海道新幹線東京-新大阪2時間21分
〇 敦賀-新大阪1時間16分
→ 敦賀乗り換え時間を含めて、東京-敦賀-新大阪は4時間32分
◆ 1時間当たりの最大運転本数(臨時列車を含む)
〇 東海道新幹線東京-新大阪15往復(「のぞみ」12往復、「ひかり」2往復、「こだま」1往復)
〇 北陸新幹線5往復(金沢での「つるぎ」「かくたか」「かがやき」乗り換えを含む)
〇 「サンダーバード」2往復、新快速1往復
◆ 座席定員
〇 東海道新幹線N700系1,323席
〇 北陸新幹線E7系934席
〇 「サンダーバード」9両編成536席
◆ 運賃・料金(東京-新大阪)
〇 東海道新幹線「のぞみ」14,720円(運賃8,910円+特急料金5,810円)
〇 北陸新幹線「かがやき」+「サンダーバード」19,960円(運賃10,340円+特急料金7,230円+2,390円)
東海道新幹線の輸送障害時にはJR東海とJR東日本の垣根を越えた乗客本位の姿勢を
「のぞみ」1列車単位の輸送力と毎時の列車本数は、北陸新幹線では賄いきれませんが、だからといって北陸新幹線はJR東海と無関係だからとまったく連携協調せず、リニア開通まで待つスタンスでよいのでしょうか。
以前からJR東海とJR東日本は互いにあまり仲がよろしくない、連携協調がないイメージがありますが、利用者への配慮は自社管内での努力範囲に終始し、連携体制は二の次の印象を受けます。
JR東海は万が一の東海道新幹線の長時間不通時に備えて、JR東日本・JR西日本と北陸新幹線敦賀経由での東京-敦賀-新大阪輸送体制を組む体制があってもよいのではないでしょうか。
連携協調による振替輸送とするか、振替輸送ではなく各利用者個人の判断として、東海道新幹線分を払い戻して北陸新幹線を購入し直すかはそのあとの話で、まず代替輸送体制をとるという、鉄道相互の協調が必要と思われます。
先般、羽田空港での航空機事故の際、通常は運転しない深夜24時を越えての新幹線による補完連携は評価されるところであり、それが同じ鉄道同士では行なわないという姿勢は一般的に見ても不自然に感じます。
北陸新幹線経由での東京-敦賀-新大阪は最短4時間32分ですが、通常は5時間程度となります。
北陸新幹線経由「約5時間」を、「のぞみ」の倍以上の所要時間であり、通常の「こだま」よりも遅いのでは話にならないということで除外するか、「こだま」と1時間差で東京-新大阪が移動できるなら変更しようか、選ぶのは利用者側ですが、JR東海は北陸新幹線を活用してのJR東日本・JR西日本への話の持ちかけをしてもよいのではないでしょうか。
「のぞみ」利用者が全部「かがやき」「はくたか」に移動したら北陸新幹線の輸送力ではパンクするということで、マイナス面の方だけを拡大し、検討材料の土俵にも挙げない姿勢は見直す余地があると思われます。
JR東日本でも敦賀-東京の直通列車には限りがあっても、緊急対応の臨時列車として敦賀-大宮、敦賀-高崎の設定(高崎以南は上越新幹線列車)など、JR東海に協力する姿勢も望まれるところです。
(※ 記載にあたり、MBSニュース、2024年4月10日付け「【リニア中央新幹線】奈良・三重では駅やルートの調査動き『リニア来てほしい』鉄道アナリストは『東海道新幹線は限界...第2ルートに』静岡・川勝知事が辞表提出」の記事から一部引用及び参考にさせていただきました。)