北陸新幹線敦賀開業後、東海道新幹線と様々な角度から比較してみました
北陸新幹線開業後、東京-敦賀の移動はどうなっていくでしょうか。
北陸新幹線直通「かがやき」に変わるでしょうか。
それとも現在と同様、東海道新幹線米原経由が主流で続くでしょうか。
当面は北陸新幹線の敦賀乗り入れの新たな話題性や東京直通の利便性等で、北陸新幹線が主流になるかと思われます。
しかしながら北陸新幹線にさほど関心を示さない人や移動時間、列車ダイヤ、運賃・料金等のバランスを見て総合的に判断する人もいます。
今回は、東京-敦賀の北陸新幹線と東海道新幹線米原経由とを比較してみたいと思います。
以下、◉が有利な新幹線路線を示します。
直通と乗換の差は?
〇 東海道新幹線は米原での「ひかり」と「しらさぎ」乗り換えが必要
→ 直通の利便性は大きく、乗り換えはイメージを低下させますが、こればかりは仕方ないでしょう。
米原駅新幹線ホームに「しらさぎ」を横付けさせればイメージは違ってくるでしょうが、東海道新幹線と東海道線はJR東海、北陸線はJR西日本で、米原を境に異なるため、今後も乗り換えホームの改善は見込めないと思われます。
所要時間は?
〇 北陸新幹線「かがやき」最速3時間08分
◉ 東海道新幹線米原経由「ひかり」+「しらさぎ」最速2時間50分
→ JR東日本の最速時間案内テクニックで、たとえ1本だけでも最速列車があればそれを前面に出してPRする手法です。
所要3時間08分は東京7時20分発「かがやき503号」の1本だけです。
最速3時間08分に間違いはありませんが、利用者側が「かがやき」9往復全体での平均所要時間で捉える冷静さと客観性の視点も大事です。
ちなみに下り「かがやき」9往復の東京-敦賀の平均所要時間は3時間15分です。
東海道新幹線の方は、東京-米原-敦賀の新幹線・在来線のダイヤが整っていて、毎時、大多数の列車で、下りは所要2時間53分、上りは3時間02分です。
上りの方が所要時間が長いのは、在来線「しらさぎ」から米原での新幹線接続に余裕時間を持たせていることと、敦賀→新疋田で鳩原ループ線があり、走行距離が長く、カーブも多いためです。
距離数は?
◉ 東海道新幹線は東京-米原445.9キロ、北陸線米原-敦賀45.9キロ、計491.8キロ
地図上で見ても、北陸新幹線は東京から西の敦賀を目指すのに北の方向の高崎、長野、飯山を迂回しています。
その距離と、上越妙高でJR東日本、JR西日本の会社境界が加わって、列車は直通ですが運賃、料金にも跳ね返ってきます。
列車本数は?
〇 北陸新幹線「かがやき」9往復
→ 「かがやき」の臨時列車を含めれば「かがやき」も毎時1往復になりますが、東京-金沢の設定が大部分で、敦賀発着の臨時「かがやき」は少なく、あまり期待しない方がよいと思われます。
「かがやき」の設定されない日中時間帯は、所要約3時間50分の「はくたか」で長野ー敦賀は各駅停車の移動になります。
運賃・料金(指定席特急料金)は?
〇 北陸新幹線運賃9,130円+特急料金7,230円=16,360円、往復32,720円
運賃8,030円+「ひかり」5,150円+「しらさぎ」1,290円=14,470円、往復28,940円
→ 往復で3,780円、東海道新幹線経由の方が安価です。
列車の輸送力は?
◉ 北陸新幹線「かがやき」は12両編成934席
〇 東海道新幹線「ひかり」は16両編成1,323席、「しらさぎ」は6両編成354席
→ 新幹線自体では16両編成の東海道新幹線「ひかり」になりますが、「しらさぎ」は354席のため、東京-敦賀全体で見ると北陸新幹線の輸送力が勝ります。
ただし、「しらさぎ」米原-敦賀の乗車時間は30分前後のため、東海道新幹線経由での東京-敦賀全体の2時間50分から見れば東海道新幹線の方が勝るという受けとめ方もあります。
降雪による運転時刻の正確性
◉ 北陸新幹線
東海道新幹線は関ヶ原を中心とする、降雪による速度抑制があり、建設歴史が浅く、最新の降雪対策をとる北陸新幹線の方が一般的に見て有利となります。
トンネルの少ない、車窓が長く得られる新幹線は?
◉ 東海道新幹線
東海道新幹線のトンネル比率は東京-新大阪全区間でも13%で、車窓が長く得られる時間、割合という点では東海道新幹線になります。
北陸新幹線の高崎-敦賀間のトンネル比率は、高崎-長野で51%、長野-金沢44%、金沢-敦賀33%、この平均値では43%になります。
ただし、大宮-高崎はトンネルがないので、東京-敦賀全区間でのトンネル比率は43%よりも下がります。
とはいえ、新しい北陸新幹線からの新鮮な車窓、立山連峰や日本海の車窓も期待されますので、必ずしもトンネルの長短だけが車窓魅力の尺度ではなく、車窓としては互角、むしろ北陸新幹線の方が斬新という見方もできます。
総合評価
以上の点から、全般的に速さ、安さ、本数をみれば東海道新幹線米原経由になります。
東海道新幹線が北陸新幹線に勝てない点とすれば、米原乗り換えと、米原-敦賀の「しらさぎ」の輸送力が小さいことです。
また、東海道新幹線の車窓は見慣れている人も多いと思われ、それと対照的に北陸新幹線の高架橋から見下ろす、北陸線とは違う車窓の発見は、東京直通の強みも加わって、とくに天候に恵まれた日中の移動では強みが加点されそうです。
北陸一周の場合の運賃・料金は?
JR東海、JR東日本を含むJR6社には、同じ駅を通過しない場合、運賃を連続して通算する方法があります。
東京-米原-敦賀往復での安価さとは別に、東京→米原→敦賀→富山→長野→東京の連続切符が出来上がります。
東京→米原→敦賀→富山→東京の新幹線(米原→敦賀は在来線)通算距離は1,067.4キロ、運賃は13,200円です。
次に、新幹線・在来線特急料金を計算します。
「ひかり」5,150円+「しらさぎ」1,290円+「かがやき」7,230円=13,670円です。
運賃と特急料金の合計で26,870円です。
この金額は、東海道新幹線米原経由の往復28,940円よりも2,070円安価になります。
さらに、東海道新幹線と北陸新幹線で往復のコースが変わるので、両方の新幹線の乗り比べや変化も期待されます。
東京-敦賀は、東海道新幹線と北陸新幹線で北陸一周が安いということになります。
北陸一周による列車の選別のほか、東京-敦賀を名古屋乗り換えで「のぞみ」と名古屋「しらさぎ」で行く方法、東海道新幹線→北陸新幹線と、北陸新幹線→東海道新幹線との旅情の違い等については次回に触れたいと思います。
(※ 記載にあたり、北陸新幹線、東海道新幹線等のWikipediaを参考にさせていただきました。)