平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

JR西日本どこまで4DAYSとJR東日本150年記念ファイナルパスの利用誘発力を比較する

JR東日本JR西日本の鉄道開業150年記念パスの内容と効果を比べてみました

JR西日本が「西日本どこまで4DAYS」(以下、「西日本4DAYS」)を発売しました。

2月21日から3月21日までの連続4日間有効で9,800円です。

新幹線は乗車不可ですが、在来線と智頭急行特急券購入で乗車可能なことが特徴です。

 

一方、JR東日本では3月2日から3月15日までを対象に連続3日間有効の「鉄道開業150年記念ファイナル東日本パス」(以下、「JR東日本パス」)22,150円を既に発売しており、新幹線を含め、特急の指定席に4回乗れることが特徴です。

 

JR東日本パスは以前から時折企画されていますが、JR西日本の「西日本4DAYS」は初めての企画と思われます。

西日本4DAYSが今回発売されるまでに、JR西日本にはどのような議論があったのでしょうか。

以下、何の根拠のない勝手な想像ですので予めご承知ください。

 

JR西日本JR東日本パスを参考にしたのは確かだと思います。

JR東日本パスのJR西日本版を企画しようか、と。

そのときの議論は次のようなことかと思います。

山陽新幹線新大阪-博多-博多南と、北陸新幹線金沢-上越妙高もフリー区間にするか。

有効期間は連続3日でよいか。

指定席に4回乗車でよいか。

山陽新幹線「のぞみ」「みずほ」も対象とするか。

価格は22,000円前後が適当か。

第三セクター路線はどこまでフリー区間に含めるか。

乗車期間はいつからいつまでか。

ほかにも種々あるでしょうが、おおよそ以上のような内容かと思います。

 

北陸新幹線をフリー区間に加えるかどうかは、JR東日本が自社のパスを発売しているくらいですから調整は不要でしょう。

しかし山陽新幹線ではそのようなわけにはいかない事情があります。

「のぞみ」「みずほ」をフリー区間に加え、指定券交付対象にするかどうかは、JR東海との調整が絡んできます。

「のぞみ」は東海道新幹線からの直通列車ゆえ、JR西日本だけの判断で行うことはできないと思われます。

かといって北陸新幹線は乗車可能だが、山陽新幹線は不可にすると、なぜ山陽新幹線は乗れないのかとの話になります。

山陽新幹線は「さくら」「こだま」「ひかり」だけ乗車可能という選択肢もありますが、「のぞみ」が対象外の不満は残ります。

JR東日本の速達列車「はやぶさ」「こまち」は自由に乗れるではないかと比較されます。

JR西日本はそうした議論を避けたのではないかと想像します。

 

では、新幹線は乗れないが、在来線特急は4回まで指定席OKということにするかどうか。

指定席4回分を価格に上乗せしても、山陽新幹線に乗れないのでは切符の魅力が弱まります。

 

その結果、運賃のみ有効の切符で割り切り、価格をJR東日本パスの半額以下にしたのではないでしょうか。

新幹線は対象外とするが、在来線特急は別途特急券購入で何度でも乗車可能とします。

そうすれば特急料金収入が見込めます。

普通列車だけの移動なら青春18きっぷと時期的にも重なりますが、西日本4DAYSは特急券購入で乗れるため、利用者層は青春18と重複せず、棲み分けされるだろうとの自信がありました。

逆に言えば西日本4DAYSを購入する人は、ほとんどの人が特急に乗るはずという計算があったと思われます。

4日分、往復合計8列車の特急料金分が別収入として見込める、少なくとも最低1~2回は特急に乗るから4日間9,800円で十分ということです。

 

つまり西日本4DAYSは、JR東日本パスの西日本版ではなく、同じJR東日本でも「週末パス」のJR西日本版です。

週末パスは2日間有効8,800円で、新幹線特急券は別途購入、土曜・休日専用です。

対して、西日本4DAYSの4日間有効9,800円、曜日は自由、1日2,450円です。

1万円だったらさほど安価でない印象を与えますが、9千円台というのが購入者の数字の魔力を心得た設定額です。

 

関西の人が西日本4DAYSで出掛けるなら北陸、紀勢、山陰、伯備、智頭急行各線の、いずれも特急に乗るだろうとの計算も当たるに違いありません。

北陸新幹線に乗れないので城端、氷見、大糸線は実質的に乗るケースがほとんどなくなる欠点はありますが、不満は表面化しないと思われます。

JR東日本パス、週末パスも成功した企画商品ですが、この2つの切符の「いいとこどり」をしたのが西日本4DAYSの印象でした。

いずれにしても西日本4DAYSは、JR西日本の利用誘発力、利用者心理計算力の成果とも言えそうです。