3路線4区間による他の路線波及と、今後のJR四国の更なる施策を予想します
JR四国社長が4月25日、予土線、予讃線向井原-伊予大洲(愛称:愛ある伊予灘線)、牟岐線阿南-牟岐、牟岐-阿波海南の3路線4区間について、今後の存廃を含めた議論を自治体と始める意向との報道がありました。
JR四国の2021年度輸送状況データで、営業係数(100円収入に係る経費)と輸送密度(1日平均乗客数)は予土線が1,761円で195人、牟岐線阿南-阿波海南1,096円(阿南-牟岐423人、牟岐-阿波海146人)、予讃線(愛ある伊予灘線)向井原-伊予大洲626円で294人の状況でした。
JR四国の今回の発表により、他の路線でも影響が考えられます。
影響が考えられる路線の一つとして土佐くろしお鉄道が考えられます。
2022年度、ごめん・なはり線で2億6,700万円、中村・宿毛線(四万十くろしおライン)で4億5,300万円、計7億2,000万円余りの過去最大の赤字額、2020年度の1日平均輸送人員は両路線合計でも634人との情報もありました。
土讃線須崎-窪川の2021年度輸送密度は786人、営業係数は531で、1,000人以下の利用、営業係数でも3路線4区間に次ぐ状況をなので、窪川の先の線路を受け持つ中村・宿毛線が厳しい状況なのは必然になってきます。
DMVを運行する阿佐海岸鉄道は、阿佐海南-甲浦は鉄道運行区間となっていますが、牟岐線が阿波海南まで列車運行をしているからこそDMVで線路を有効活用していると思われます。
牟岐線の輸送密度については、徳島-阿南は別としても、阿南-阿波海南53.3kmを一括りにせず、阿南-牟岐43.2kmと牟岐-阿波海南10.1kmとに分けています。
利用状況や沿線自治体の違いから、今後の話し合いを進めるにあたって区間を分けたのでしょうか。
万一、牟岐線列車が阿波海南まで来なくなった時、阿佐海岸鉄道のDMVが牟岐側まで延長運転する可能性の含みがあるのでしょうか。
または仮に、牟岐-阿波海南の列車がバス化、阿波海南-甲浦は列車という可能性への含みでしょうか。
存続する路線でも列車運行の合理化は考えられます。
特急運行では、岡山側と高松側の特急の分割併合、すなわち宇多津または多度津での分割併合は手間が伴います。
特急の利用状況は岡山側の「しおかぜ」「南風」の方が、高松側「いしづち」「しまんと」よりも高い状況です。
特急は岡山発着「しおかぜ」「南風」で割り切り、高松-宇多津で快速「しおかぜリレー」「南風リレー」での接続設定により、高松側は宇多津乗り継ぎで割り切る合理化です。
徳島の交通状況から、徳島-神戸・大阪の岡山「のぞみ」乗り継ぎ需要は期待できません。
徳島から岡山、広島、米子、鳥取側への需要があるかどうかですが、たとえ2往復であっても徳島から本州に直通する列車が必要とするシンボル的な列車で維持していくかどうか。
坂出-児島は快速「マリンライナー」で短絡する経路にせず、宇多津で「南風」併結による遠回りのため、高松-岡山は「マリンライナー」よりも所要時間を要しています。
高松駅での同一ホーム発着による乗り換えのしやすさに配慮の上、「うずしお」は高松発着で割り切ることも考えられます。
スイッチバック構造の土讃線新改、坪尻の列車交換廃止によるスイッチバック運転の見直しや、トロッコ列車も費用対効果の中で、費用に見合う効果がなければ見直されるかもしれません。
坪尻駅は「志国まんなか千年ものがたり」の発着により観光整備がされていますが、スイッチバック維持管理経費と誘発効果とのバランス状況を見ていく可能性はありそうです。
伊予灘線下灘は車訪問が多く、鉄道収入に貢献していない面はないでしょうか。
下灘駅周辺の店舗での買い物効果はあるでしょうか。
下灘では駅構内の入場券方式を検討してもよいのではないでしょうか。
当面、路線存続のためには哀愁、郷愁との兼ね合いが混ざる中、厳しい話題が続くことも受け止める必要がありそうです。
今後のJR四国の動きに注目したいと思います。