サフィール踊り子E261系の接客設備に意見3点
「サフィール踊り子」(以下、「サフィール」)は「スーパービュー踊り子」の後継として登場しながらも、全車グリーン車とし、プレミアムグリーン車、4人用・6人用個室、天井窓設置、カフェテリア車両まで組み込んだデラックスな列車です。
2020年に登場後、今でも指定券の取りにくい人気列車の一つとなっています。
「自分へのご褒美」「たまには少し贅沢を」と言って乗る人もいて、憧れの列車的な存在です。
JR東日本の豪華列車「TRAIN SUITE 四季島」では設備、金額等で敷居が高すぎますが、「サフィール」は手近な高さの位置にあり、とくにプレミアムグリーン車が程よい贅沢空間、夢を抱かせます。
◆「サフィール踊り子」料金額の受け止め方
ここで、金額面から東京-伊豆急下田の運賃・料金を見てみます。
乗車期日、曜日、えきねっとの利用有無等によっても細かく変わるので、一つの目安としてご覧ください。
なお、個室料金は省略します。
サフィール・プレミアムグリーン車12,460円、サフィール・グリーン車10,060円、踊り子グリーン車8,040円、踊り子普通車6,180円、普通列車のグリーン車(東京-伊東)5,000円、普通列車の普通車4,000円です。
ちなみに「TRAIN SUITE 四季島」は、コース、日程によってはサフィール・プレミアムグリーン車と2桁異なります。
サフィール料金を高いと見るか、意外に安いと見るかは価値観にもよりますが、登場後4年目でも指定券が取りにくいということは、「サフィール」が評価されている証しと言えます。
これまで3年間の状況を見てきた中で、意見を3点書きます。
◆8号車はプレミアムグリーン車に変更を
1号車のプレミアムグリーン車はとくに人気のある設備、号車位置で、山側に通路を設けた1&1席とともに、JR東日本の狙いは成功したと言えます。
下り側の先頭車位置から運転席を通して、前方が存分に見えます。
トンネル内でも遮光幕を閉めず、存分に前方をご覧くださいという配慮が感じられます。
海側にも山側にも座席方向を変えることができるのも満足感を高めます。
一般論として、列車の旅は行きが楽しく、帰りは惰性のイメージがあります。
「サフィール」のプレミアムグリーン車が下り先頭車位置なのも道理です。
もったいないのは帰りの上り列車です。
最後部の位置になるため運転席からの前望とは無縁になり、プレミアムグリーン車といえども下り列車ほどの人気は出ません。
上り列車は旅を楽しんだ後、疲れているから、ただ出発地に戻るだけだからという惰性的な発想があります。
上り先頭8号車のグリーン車展望席はその点で穴場となっています。
8号車もプレミアムグリーン車にした方がよいと考えます。
プレミアムグリーン車は下り列車に限るとは必ずしもいえず、むしろ下り列車の指定券確保の困難が上りでは幾分か和らぐ分、下りほどではないにせよ、人気はあると考えます。
近鉄特急「ひのとり」は上り、下り両方の先頭車をプレミアム車両にして成功しています。
名古屋-大阪の区間ゆえに「サフィール」とは背景が異なりますが、先頭車からの前望を両方向ともプレミアム車両にした構成は成功しており、近鉄の計算力成果といえます。
◆6人用個室は2人用に変更を
6人用個室の需要はどの程度あるでしょうか。
定員分の料金を払えば、5人以下でも使うことができるのが個室の謳い文句ともなっています。
一般的に行楽特急で6人家族、6人グループの機会は少ないと思われます。
また、6人用とはいえ、6人で使うと狭苦しく感じられます。
人数が少ないほど6人用の空間をゆったり使えますが、乗っていない人の分を負担してまで利用するケースはどの程度あるでしょうか。
個室は4人までが無難と考えます。
6人よりもむしろ2人で個室を使いたい需要の方が多いのではないでしょうか。
2人利用の際も、4人用個室の2人分差額負担して使う需要があるかどうかは疑問に感じます。
「サフィール」に乗る人はお金に細かいことは言わないだろうという鉄道側の計算もあると思いますが、乗客側がその思いどおりに利用されているとは見受けられません。
◆カフェテリアの座席数を多く
「サフィール」のもう一つの人気に、4号車のカフェテリアがあります。
食堂車全廃の中で、1両分をカフェテリアにした英断は高く評価されるところです。
残念なのは4人用テーブルが2組、窓側の独立席は8席、計16席しかないことです。
国鉄特急の食堂車とは時代が違うとはいえ、また本格的な料理提供とはいえ、厨房面積を広くとりすぎていないでしょうか。
4人用テーブルは3組、窓側椅子は10脚、計22人程度はほしいところです。
カフェテリアの利用はスマートフォンによるサフィールPayの事前予約が要件ですが、扱いが苦手な人には悩みどころです。
それらの人にも気軽に利用できるよう、アテンダントにお気軽にお申し出くださいとのフォローも意外に重要な部分です。
スマホの使い慣れには個人差があります。
一般的な話ですが、こうした場面で門前払いされたり、フォローの際に一瞬、鼻で笑われる光景を見ることがありますが、「サフィール」ではそのようなことはないように願います。
「サフィール」は当面、現在の2編成での運用になりますが、少しでも「サフィール」に長く乗りたい欲求の応えるべく、3号と4号の大宮-新宿-伊豆急下田の設定が望まれるところです。
夢と期待を抱かせるプレミアムグリーン車を中心に、「サフィール踊り子」の更なる繁栄を期待します。