平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

房総地区に255系再活用の観光列車の投入を

255系を一律廃止の前に、1編成観光列車投入が効果的
昨日の拙「房総特急255系の後継車両形式を予測する」の関連編です。
昨日は「成田エクスプレス」用のE259系255系の後継になるのではないかとの内容でした。
E259系にせよ、他の形式にせよ、房総特急の需要、地区全体の鉄道利用を誘発するのは容易でないと思われます。
房総地区は車、高速バスが主流で、とくに高速バスは東京から館山、安房鴨川、銚子、鹿島神宮の各方面へ、時刻表がほとんど不要な運転本数があります。
とくに東京ー鹿島神宮の「高速バスかしま号」は59往復の驚異的な本数です。
今回は、高速バス独走の房総地区の中で、房総特急の利用促進策を考えてみたいと思います。
 
内房線「さざなみ」の経過
内房線の特急ダイヤを見るのは辛いものがあります。
館山方面への高速道路整備と東京湾横断道路の影響により、館山発着の定期「さざなみ」は2015年に廃止されました。
全盛期の東京-館山の最大12往復が、定期列車はゼロになるという極端さ、非情さです。
現在の「さざなみ」は東京-君津の通勤特急に特化しており、平日のみの運転で下り5本、上り3本の設定です。
下りは東京発17時30分から21時30分まで1時間間隔、上りは木更津基準で5時59分、7時03分・46分発で終了です。
館山への発着は土曜・休日の「新宿さざなみ」1往復に限られます。
下り列車に255系列車はなく、上り君津発列車の1本だけ255系なのが不可思議な運用です。
 
成田線「すいごう」「あやめ」の経過
成田線成田、佐原、小見川、鹿島神宮方面の定期特急も皆無です。
成田線の「すいごう」は2004年、鹿島線直通「あやめ」は2015年に廃止されています。
水郷のあやめの花が見ごろの時期に臨時「あやめ」を設定する程度にとどまります。
 
内房線成田線と比較すると、外房線わかしお」と総武線しおさい」は元気な列車にも感じますが、ダイヤを見てみたいと思います。
 
わかしお」は東京発着本数で見れば平日は12往復で、土曜・休日はそのうちの1往復が「新宿わかしお」として総武線経由新宿発着になります。
安房鴨川基準で見ると平日6往復、土曜・休日7往復にとどまります。
土曜・休日が1往復増は「新宿わかしお」によるものです。
新宿わかしお」は普通車のみの編成ですが、「新宿さざなみ」の方がグリーン車付きなのは興味深いところです。
勝浦止まりの列車が4往復、上総一ノ宮止まりが2往復あります。
平日12往復の中の3往復が255系ですが、グリーン車付きの255系安房鴨川発着が1往復止まりなのが淋しいところです。
 
しおさい」は平日運転(土曜・休日運休)の佐倉発上り列車を除いてき、すべて255系で運用され、グリーン車付き9両編成のため活況があるようにも感じられます。
ただし銚子発着の「しおさい」は5.5往復(下り6本、上り5本)に限られます。
ほかに成東発着が1往復あり、上りは毎日運転、下りは平日のみの運転で異なるのが奇妙です。
銚子基準で見ると2~3時間に1本運転の印象で、外房線安房鴨川発着状況と似ており、使いやすいとまでは言えないダイヤです。
 
255系が9両編成であることも本数が少ない理由の一つとすれば、E257系5両編成、E259系6両編成で編成を短くはしても、本数増での利用増加を図りたいところです。
参考までに2022年度の駅別乗降人数は、総武線佐倉15,710人、八街8,828人、成東4,480人、横芝2,078人、八日市場2,798人、旭3,010人、銚子5,262人。
外房線で上総一ノ宮は4,746人、大原2,172人、勝浦1,322人、安房鴨川1,998人となっています。(※統計情報リサーチより)
 
255系から既存の他形式電車に置き換わった時の誘客効果は
主要駅の乗降客数を見ると安房鴨川と銚子への定期特急列車の6往復はやむを得ないかとも感じられますが、圧倒的本数の高速バスに需要が転移しているのが実情です。
房総は伊豆と比較するとリゾート面、温泉等で不利な面があります。
しかし房総の地域性なのでやむを得ません。
仮に255系からE259系に変わっても、通常の座席特急の域を出ない以上は、鉄道に関心を寄せるには限度があると思います。
しかし電化設備があり、総武線京葉線で東京直通の恵まれた路線である以上、単線ではあっても観光列車による鉄道への関心の呼び寄せ、きっかけを作る列車投入が効果的と考えます。
 
「B.B.BASE」の効果は
JR東日本は、房総地区において、特急列車だけでは誘発に限度があるため、自転車をそのまま列車に積み込めるサイクルトレインとして「B.B.BASE」、正式には「BOSO BICYCLE BASE」(ぼうそう バイシクルベース)を2018年から投入しており、意欲は感じ取れます。
ただし自転車持ち込みが前提の列車のため利用者が特定され、それ以上の利用者層には拡大できないのが弱みです。
 
デラックス特急の投入効果は
では、デラックス特急列車の房総投入はどうでしょうか。
JR東日本の既存列車でいえばE261系「サフィール踊り子」、大手私鉄でいえば東武スペーシアX」、西武「ラビュー」、小田急ロマンスカー近鉄「ひのとり」「しまかぜ」のような列車の充当です。
しかし房総地区においては、グリーン車の座席改良、デラックスな座席設備だけで列車に引き寄せるには限度があると思われます。
それは「わかしお」「さざなみ」の半数以上の列車が、グリーン車のないE257系編成である状況からも感じられます。
 
房総地区に観光特急列車を
むしろ列車内での移動中を楽しむ列車の方が効果的と考えます。
具体的には他のJR社車両になりますが、JR四国の「伊予灘ものがたり」、JR九州の「36ぷらす3」「或る列車」のようなインパクトのある内容の房総版列車の投入です。
これらの列車は、車両の外観、編成美、列車内の座席、雰囲気、接客サービス、飲食提供等、総合的なサービスが売り物です。
列車で東京から房総地区へ楽しく向かっていくこと自体を楽しむ、房総の鉄道に関心を寄せるきっかけをつくる列車として相応しいと考えます。
 
観光列車のコース
房総地区の列車移動自体を楽しむことを趣旨として、以下の3コース、その逆回りを含めて延べ6コースを提案します。
① 内房外房線循環列車
東京→京葉線蘇我内房線→館山→安房鴨川→外房線→千葉→総武線→東京
 
② 総武・成田線循環列車
東京→総武線→千葉→佐倉→成東→銚子→成田線→香取→鹿島線鹿島神宮→成田→我孫子常磐線→上野
※香取-鹿島神宮鹿島線をコースに含めています。
延方-鹿島神宮の北浦橋梁からの展望は、車窓変化に乏しい総武、成田線にあって一挙に解放感が持たれて爽快であり、スイッチバック、折り返し運転が伴いますが効果的と考えます。
 
③ 房総外周列車
東京→京葉線蘇我内房線→館山→安房鴨川→外房線→大網→東金線→成東→総武線→銚子→成田線→成田→我孫子常磐線→上野
 
東京発を京葉線総武線常磐線上野の3駅として、コースに変化を持たせること、列車内でのサービス提供の組み合わせで房総の鉄道に関心を寄せるきっかけを作り、鉄道利用を促進するものです。
東京発着に難があるならば千葉発着、両国駅や千葉駅が起点でもよいと思います。
 
255系のうち、1編成だけ当面使うなら → 改造5両編成で対応を
最後に、車両はどうするかという点です。
新製は無理、E257系、E259系も充てる余裕はないという場合、どうするかということです。
255系が全車、このまま廃車方向ならば別ですが、もしも1編成だけ暫く使用するとしたならば、いささか希望的な観測ではありますが、その編成を再活用、改造してはどうかと考えます。
9両編成は過大で、グリーン車を含めた1~4号車と先頭9号車、計5両での2M3T構成が望ましいと思います。
255系の30年走行による老朽化との兼ね合いになりますが、房総特急専用車両であり、高速走行区間は複線区間に限られていたことから、海水等による車体腐食を除けばまだ使用に耐えると思われます。
伊予灘ものがたり」のキハ185系、「或る列車」の40系47形はいずれも国鉄時代の車両からの改造で、車歴は255系以上です。
これらの改造実例と改造後の誘客効果を見聞していただきたいと思います。
 
伊予灘ものがたり」のような列車で房総を外周すれば、房総地区の鉄道に関心が振り向き、房総全体の列車利用促進につながっていくと考えますが、いかがでしょうか。
 
(※ 記載にあたり、統計情報リサーチを参考にさせていただきました。)