平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

JR東日本2024.3.16ダイヤ改正パンフレットに隠れた部分を読む

「快適性や利便性を向上」の裏に隠れる特急・首都圏普通列車事情他

JR東日本から首都圏の2024年3月16日ダイヤ改正パンフレットを拝見しました。

今回は、パンフレットの内容から感じたことを書きたいと思います。

毎回のことですが、うがった見方の部分がありますので予めご了承ください。

 

「東北・山形新幹線 新型車両E8系を順次投入し、所要時間を短縮します」について

宇都宮-福島の最高速度を275km/hから300km/hに向上し、所要時間を最大4分短縮するのも今回のセールスポイントです。

「つばさ131・122・124号」がE8系になりますが、最後の欄で「車両運用の都合により急きょE3系で運転する場合があります」との補足があります。

E3系の最高運転速度は275km/のため、E8系による時速300km/hでの4分短縮が果たせなくなります。

E8系のPRと合わせて速度向上、4分短縮を伝えたかったのはわかりますが、E8系の増備によりE3系による代替えがなくなる日までは、時速300km/h運転による4分短縮は早急すぎなかったでしょうか。

 

今後、E8系増備により「つばさ」全列車の時間短縮が時速300km/h運転の効果だとすれば、東海道新幹線「のぞみ」285km/hよりも速度的には上であることも加味すると、併結「やまびこ」との関連もありますが、「つばさ」料金割り増しの可能性はあるのでしょうか。

 

「特急『しおさい』の快適性を向上します」について

ダイヤ改正前までの255系は1993年、改正後のE259系は2009年登場の車両です。

255系より16年新しいE259系という意味では快適性向上とはいえ、誕生後現在まで約15年近くを経過しています。

一方、255系総武線しおさい」運用はしないものの、外房線わかしお」、内房線「さざなみ」に一部充てるとされています。

E259系の快適性向上の裏返しが、255系の居住性低下という意味ではないでしょうが、255系に対して外房・内房線沿線が「古い車両」とあまり歓迎しなくなってはよろしくありません。

「特急『しおさい』が『成田エクスプレス』と同じE259系になります」では、インパクトがなかったからでしょうか。

E259系は新車ではないので、(255系よりも)快適性向上というのはやや気になります。

 

「中央線特急『富士回遊』を増発します」について

今回、唯一の特急増発の話題です。

E353系付属3両編成は所要両数が少ないため、河口湖での効率的な短時間折り返し運用による、本来の中央線での輸送力確保も望まれます。

 

「朝夕の通勤時間帯に特急列車を運転し、利便性を向上します」について

勝浦6:44発、東京8:25着の「わかしお4号」が、ダイヤ改正前の通勤快速に相当します。

千葉県内の通勤快速廃止騒ぎが落ち着いていない中、「利便性向上」の表現が火に油を招かないか、気がかりなところです。

 

「房総方面の特急列車を全車指定席で運転します」について

E257系は指定席券発売状況の座席ランプ方式を導入しないため、空席であれば座ってしまうケースが多くなると思われ、混乱はないでしょうか。

新宿・大船-成田までの乗車について料金を値下げする措置はよいと思いますが、成田空港の乗降で特急料金1,630円は、京成「スカイライナー」の1,300円を上回ります。

日暮里-空港第2ビル36分の「スカイライナー」の所要時間、160km/h運転、20分間隔を見れば、東京・品川・新宿・横浜発着が強みとはいえ、「スカイライナー」を意識した料金設定がほしかったところです。

 

2025年ダイヤ改正JR東日本は全車指定席を完了するか?

今回の房総地区の特急全車指定席化により、自由席が残るのは篠ノ井線「信州」「しなの」、信越線「しらゆき」、羽越線「いなほ」奥羽線「つがる」だけになります。

「しなの」だけはJR東海の意向が絡みますが、他の4特急はJR東日本車両で自社管内のみの走行です。

次回、2025年3月のダイヤ改正で「しなの」以外は全車指定席化するか、JR東海は今後385系化しても自由席存続の意向なのか、注目されます。

 

「首都圏普通列車 利便性を向上します」について

通勤快速廃止等で揺れている京葉線については一切触れていませんでした。

「通勤時の快速を各駅停車にすることで乗車率を平準化し、混雑を緩和します」などと表現できる状況下でない中、前記「わかしお4号」の反応が気になってきます。

中央線快速の大月延長の増加はありがたい情報です。

横浜線桜木町延長増加も同様ですが、横浜線の路線を名乗りながらの、横浜直前の東神奈川止まりは不満を抱きやすく、今後も桜木町延伸増強を願いたいものです。

常磐線土浦以北の5両化、ワンマン運転拡大は東海道、東北、高崎、総武線グリーン車付き10両編成の活躍の場を狭めるもので、そもそも常磐線普通列車グリーン車連結は通勤時以外は無理があったのではないかと感じさせます。

せめて水戸・勝田までは10両編成がもっと走ってほしいところですが、逆に土浦までが限度という印象を与えます。

それとも特急「ひたち」「ときわ」への誘導も兼ねているのでしょうか。

 

普通列車グリーン車の料金体系を見直します」について

土曜・休日のホリデー料金は安価な印象もありましたが、今回の措置による料金見直しでグリーン車利用は影響を受ける可能性がありそうです。

グリーン車と言っても普通列車の場合、特急でいえば普通車相当の設備です。

ロングシートや4人ボックス席よりは快適なものの、グリーン料金と所要時間や停車駅を特急普通車と比べると特急の方に気が向く可能性がありそうです。

新たなグリーン料金の、50キロまで750円、100キロまで1,000円、101キロ以上1,550円に対し、特急の事前料金は760円、1,020円、1,580円です。

最大30円差なら特急の時間短縮効果の方が大きくなってきそうです。

 

前記「わかしお4号」は新ダイヤで蘇我7:39発、東京8:25着です。

現ダイヤの蘇我7:39発、東京8:29着の内房総武線快速グリーン車と、蘇我-東京でどちらが選択されるでしょうか。

 

「夜間作業時間拡大のため、上越新幹線の新潟行き・高崎行き最終列車の時刻を繰り上げます」について

東海道新幹線の最終列車時刻の延長とは対照的です。

JR東日本では夜間作業時間確保の視点から、新幹線を中心に今後徐々に路線や時間帯を拡大していく可能性を感じます。

 

全般的には北陸新幹線敦賀延伸が一番の明るい話題です。

東京-敦賀・金沢速達「かがやき」9往復が今後いかに増発されるかが敦賀延伸効果の一つの目安になります。

北陸側では富山-敦賀の「つるぎ」の速達型の方に視点があるでしょうか。

JR東日本管内では「つるぎ」は直接関係しないので、「かがやき」「はくたか」の列車ダイヤの変化を中心に注視したいと思います。