平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

特急「鎌倉」 E257系からE653系への変更事情と、乗車後の見どころ

「鎌倉」E653系投入の背景と乗車後の楽しみの話です

JR東日本の2024年春の臨時列車の中で、土曜・休日を主体に武蔵野線吉川美南横須賀線鎌倉に設定している特急「鎌倉」が6月30日までの間、E257系5両編成からE653系7両編成に変更となりました。

この春に限る措置か、今後ずっと続くかは不透明ですが武蔵野線沿線から鎌倉へは、常磐線京浜東北線埼京線、中央線のいずれも直通しない点では意義があると感じます。

今回は、車両をE653系に変更するに至った背景と、「鎌倉」乗車の楽しみについて考えてみました。

毎回のことですが、何の根拠もない勝手な想像ですので予めご了承ください。

 

① 「鎌倉」の輸送力増強策として

E257系5両の定員は306人、E653系7両466人で約1.5倍、輸送力が増えます。

「鎌倉」の乗車率は定かではありませんが、1990年の東北線小山発「ホリデー快速鎌倉」以降、出発駅は異なっても武蔵野線から鎌倉直通の設定趣旨は継続されていることから、利用は安定していると思われます。

列車定員に余裕を持たせた配慮が加味された結果でしょうか。

武蔵野線は8両編成が上限のため、E257系5両2組の10両編成、東海道・中央線用の9両編成は充てられません。

輸送力を増やすにはE653系の7両が適当だったのではないかということです。

 

② 255系置き換えに伴う房総特急編成数の確保策として

次の想定として、房総255系をE257系で置き換える際、一定数のE257系車両の確保が必要だったからかとも考えます。

房総へは臨時列車設定も多いことから、房総用E257系の車両数に余裕を生み出すことや、他客期の5両2組10両編成化を組む態勢づくりもあろうかということです。

房総地区の夏の海水浴シーズンのほか、平日の京葉線通勤時の5両の特急での混雑による増結準備態勢が背景にあるかと思われます。

 

③ E653系の余剰活用策として

3点目の想定です。

勝田車両センター所属のE653系は2編成ありますが、2018年と2023年に新潟車両センターから勝田に転属してきた車両であり、常磐線の臨時列車、団体列車主体の運用です。

E653系は首都圏から水戸方面への往復が主体のため、勝田に常駐していても列車運用、列車需要は逆であり、その分は東京-勝田の回送が伴います。

 

常磐線の臨時列車としてはE653系のほかにE657系の余剰活用もあります。

E657系常磐線特急列車で10両編成、600人定員です。

E657の余剰も臨時列車に活用する結果、E653系に余裕が生じたことでの「鎌倉」充当という面もあるでしょうか。

 

④ 房総の臨時特急の増発・増結、京葉線特急の増結の予備として

4点目の想定です。

E653系は中央線高尾以西はトンネル断面の関係で入線できませんが、総武線京葉線の地下区間も同様と思われます。

屋根上のパンタグラフ付近に交直流設備があるため東京-錦糸町、東京-新木場の地下トンネル区間は入線不可と思われます。

トンネル入線に問題のないE257系を房総特急の臨時に充て、総武・京葉線地下トンネルの問題がない「鎌倉」にE653系という流れも考えられます。

 

⑤ E653系横須賀線武蔵野線の走行宣伝・話題効果として

5点目の想定です。

房総用の正面貫通型E257系は、どちらかというと特急としての個性が薄い方に属する車両であり、インパクトには欠けるところがあります。

E653系も没個性的な面がありますが、E257系と並ぶと正面顔に特急の風格はあり、「鎌倉」充当による新鮮味の話題性、利用誘発を期待する一面もあるでしょうか。

いわゆる、集客効果です。

 

E653系置き換え背景の想定は以上です。

 

「鎌倉」だけの乗車体験価値

以下は、特急「鎌倉」に乗る際の楽しみ方です。

〇 府中本町-鶴見間の武蔵野南線貨物線の走行(ほとんどトンネルですが)

〇 鶴見駅付近の線路上での乗務員交替

〇 鎌倉→吉川美南への列車で、鶴見駅構内での東海道下り本線の横断

〇 鎌倉→吉川美南への列車で、戸塚での東海道線から横須賀線への転線

〇 吉川美南→鎌倉への列車で、戸塚での横須賀線から東海道線への転線

 

これらの同時体験は「鎌倉」だけの特権です。

鶴見駅構内での東海道下り本線を徐行横断する、鎌倉→吉川美南への列車の方が線路通過の体験面ではお勧めできます。

 

「鎌倉」は、鶴見駅構内での線路上での乗務員交替が見もので、交替する乗務員は地上の線路で待機しています。

線路上から列車の乗務員室に入るには相当の高さがあり、駅ホームでの乗務員交替のような同一の高さとは異なります。

交替する乗務員が待機する姿、乗務員室に乗り込む光景はE257系の方が優れています。

E653系では客室から見ることはできなくなる点で、E257系の前面展望性には価値があったと言えます。

2024年夏以降も「鎌倉」はE653系になるかどうか、注目したいところです。

 

※写真は本文と無関係です。