平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

只見線に関する福島県の包括外部監査報告書(復興事業事務執行)意見にどう応えるか?

只見線への復旧対応への意見に対し、今後どのように対応していくかを探ります

2022年(令和4年)10月1日に、只見線会津川口- 只見の不通区間が11年ぶりに復旧し、只見線会津若松-小出間全線で運転を再開しました。

今から3年前に遡りますが、この復旧にあたって、2020(令和2)年5月29日付けで、福島県の「平成31年度包括外部監査報告書(復興事業に係る事務の執行について)」が公表され、その中の一項目にJR只見線復旧事業があります。
その中では、この事業の目的は「JR只見線会津川口駅只見駅間の鉄道復旧により、利便性の向上及び只見線を核とした地域振興を図るため、東日本旅客鉄道株式会社が実施する災害復旧工事等に要する費用の一部を補助する。」とあり、最終に「指摘事項及び意見」の項目があり、意見が添えられています。

今回は、「指摘事項及び意見」の項の「意見」の中のごく一部について筆者の感想、考えを書きたいと思います。

報告書引用部分が多くなりますが予めご了承ください。

なお、見出しは拙ブログでの便宜上のものです。

 

列車本数について

(報告書)

会津若松駅発の只見線は、朝2本、昼1本、夕方から夜4本、計7本(うち、1本は 会津坂下までなので実質6本)というダイヤであり生活路線(通学や病院へ通うために利用)である。

朝は6時と7時半の2本しかないために、会津若松市に宿泊した旅行者が奥会津(只見)方面へ向かう場合には、宿で朝食を取ってから駅に向かうというスケジュールでは電車に乗れないだろう。

旅行者にとって宿を出る時間帯である8時以降の列車ダイヤは昼1時まで全くない。

このことは只見線がもっぱら生活路線であり、観光路線等にはなり得ないことを物語っている。

(感想)

会津若松発列車が6時08分、7時41分、13時05分、17時00分(以下、略)の状況では指摘のとおりです。

いきなり1時間間隔はきついとしても、せめて9時、11時、15時の列車はほしいところです。

小出発列車は5時36分、13時12分、16時12分で、会津若松よりさらに少ない本数になっています。

設定すればするほど赤字になると言ったら、報告書の中での「共同幻想」「別の事業で有効活用」のとおり話になってしまいます。

大きく空いた時間は普通列車増発か、リゾート列車設定かになってきます。

旅行者を考えれば、後者のリゾート列車設定の方が適当と考えます。

 

企画列車の運行について

(報告書)

会津川口-只見の)同区間が復旧したがために、特に経済的効果が見込まれるものでもない。

たとえ、企画列車を運行し、年間 3,600 人が新規に会津若松駅只見駅間を往復したとしても、1411,216 万円(往復運賃@3,380 円×3,600 人)の収入増にしかならない。

(感想)

企画列車の収入がごくわずかで、高(たか)が知れているとしても努力は必要であり、一方では現状の普通列車増発だけでは誘発に限度があります。

只見線ポータルサイトの、只見線利活用重点プロジェクト10項目の最初に、「目指せ海の五能線、山の只見線プロジェクト」があって、「会津地域ならではの企画列車を運行し、将来的にはJR五能線リゾートしらかみのような、只見線オリジナルの観光列車の定期運行を目指す」とあります。

「将来的」の具現化を期待します。

 

ここで、五能線リゾートしらかみ」の只見線版(仮称)「リゾート只見」の列車投入ダイヤを提案します。

2編成新製(または改造)し、会津若松10時00分発→小出13時30分着→小出14時00分発→会津若松17時30分着の運転を基本とします。

残1編成は検査時等の予備車とし、検査のない時期は、小出10時00分発→会津若松13時30分着→会津若松14時00分発→小出17時30分着の運転とします。

つまり、会津若松側と小出側の両方からの利用をしやすくするものです。

一挙に2編成投入が無理ならば当初は1編成のみ、会津若松10時00分発→小出→会津若松17時30分ダイヤで行なってはどうかと考えます。

多客期には会津若松-郡山、小出-浦佐・越後湯沢への延長運転も願いたいところです。

 

共同幻想について

(報告書)

只見線が1本に繋がってこそ意味があり、機能を発揮すると考えるのは共同幻想にすぎない。

約 54 億円は別の事業で有効活用できたのではないか。

(感想)

厳しい意見ですが全線開通の道を選んだ以上、「只見線が1本に繋がってこそ意味があり、機能を発揮する」方向で進め、実証していくことになります。

そのためには「リゾート只見」の設定が適当と考えます。

その中で時折、2023年6月17日から18日に実施した上越妙高-小出-会津若松の「えちごトキめきリゾート雪月花 只見線特別運行ツアー」のような企画、設定が望まれます。

 

このほかにも意見として、

「生活路線としての只見線の本質を捉えると、会津川口駅只見駅間を県・会津 17 市町村負担 54 億円掛けて鉄路で復旧させる必要はなかったのではないか。」

只見線全線復旧という精神的価値に54 億円を費やし、年間 2.1 億円の運営費を毎年負担するよりは、会津川口駅只見駅間はバス代行輸送にした方が、現実的対応だったと思う。」
など、多くのことが記載されています。

これらを意見として受け止め、会津川口-只見の復旧と只見線全線開通判断は正しかったことを、福島県会津17市町村は新潟県も含めての議論と具現化を期待します。

 

※写真は本文と無関係です。