夏に向けて只見線の乗車体験を含めた旅行ツアーが多くなってきました。
先般、2023年6月17日から18日に日本旅行とえちごトキめき鉄道の共同企画による「えちごトキめきリゾート雪月花 只見線特別運行ツアー」が実施されました。
上越妙高-長岡-小出-会津若松の往復コースで、貴重ともいえる只見線全線往復乗車企画でした。
只見線ポータルサイトを見ると「感動の再会へ 奥会津紀行『奥会津と只見線の絶景』特別ツアー」として旅行会社4社のツアーが掲載されています。
2023年7月1日現在、各ツアーの只見線乗車区間は以下の状況でした。
〇 JR東日本びゅうツーリズム&セールスの2企画:①只見→会津若松、②会津川口→只見
〇 東武トップツアーズ:七日町→会津柳津(※ツアーは2023年2月に終了しているが、只見線ポータルサイトでは掲載中)
只見線乗車ツアーでの特徴
ここで特徴的なことは、只見線乗車体験が福島県側の会津若松-只見間であることで、新潟県側の小出-只見は乗車経路になかったことです。
他の旅行会社での只見線乗車ツアーでも同様の傾向が見られます。
福島県と新潟県の只見線の県境は只見-大白川間にあり、かつてはこの中間にあった旧田子倉駅は2013年3月16日に廃止されましたが、位置的には福島県です。
只見線全線135.2kmのうち福島県側は全体の3分の2、新潟県側は3分の1の割合です。
会津桧原-会津西方の第一只見川橋梁、会津西方-会津宮下の第二只見川橋梁、会津宮下-早戸の第三只見川橋梁、会津中川-会津川口の只見川など、いずれも福島県側です。
新潟県側には小出-薮神の越後三山・権現堂山、越後須原-魚沼田中の破間川、大白川-只見の末沢川などがありますが、福島県側に視点が集まる傾向にあります。
只見線列車ダイヤ状況は
列車ダイヤは、福島県側会津若松発着は7往復、新潟県小出側は5往復です。
内訳として会津坂下-会津川口は6往復、会津川口-只見-大白川は3往復です。
臨時列車は会津若松-只見の設定が大部分で、小出-只見の設定はほとんど見られない状況にあります。
只見線のハイライトが福島県側で認識されている状況ゆえの結果と見られます。
しかしながら、会津川口-只見27.6 kmの復旧により2022年10月1日に11年ぶりに全線で運転を再開した只見線ゆえ、新潟県側の乗車も促進したいところです。
只見線へのアプローチとして、上越新幹線経由東京-小出は237.2km、東北新幹線経由東京-会津若松は291.3km、所要時間はいずれも2時間30分程度で、時間的にはほぼ同じです。
ただし印象としては郡山経由の方が、上越新幹線浦佐経由よりも便利なイメージを持ちます。
ツアーでの只見線乗車が定期列車を前提とすれば会津川口-会津若松が便利ではありますが、只見線のポイントである会津西方付近の乗車を考慮しつつ、小出側方向を考慮するならば小出13時12分→会津柳津16時27分か、会津柳津14時05分→小出17時47分の列車になります。
その条件下ですが、新潟県側、小出側の只見線ツアーも旅行会社には企画してほしいところです。
また、「えちごトキめきリゾート雪月花 只見線特別運行ツアー」のような企画を一回限りにせず、新潟県側も只見線乗車促進に取り組んでほしいものです。