電化設備を活用して北陸-関東と関東-長野に貨物列車の設定を
7月9日に、川崎方面から上越線長岡-直江津-妙高高原を経由して長野までの貨物列車が運転されました。
直江津-長野は、えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインと、しなの鉄道北しなの線の区間です。
この貨物列車の運転趣旨は、神奈川県川崎や名古屋方面から長野への燃料輸送用貨物列車が、中央線の不通時に備えての代替えルート確保に基づく確認です。
複数のルートによる貨物列車の安定輸送の視点は心強いことでありJR貨物、JR東日本、えちごトキめき鉄道、しなの鉄道の協力、連携体制も素晴らしいことです。
そんな中で、今回の貨物輸送代替えルートでふと感じたのは今後、上越線長岡経由以外の経路として、六日町-犀潟間で北越急行経由にしたらどうかということです。
北越急行の運賃改定時期の5年前倒し状況
北越急行は2015年の北陸新幹線金沢開業以降、経営が苦しくなっているため、2023年7月4日に鉄道旅客運賃の変更認可を申請しました。
現状のまま推移すると十数年後には積立金が枯渇するということです。
従来の計画では運賃改定時期を2028年度としていましたが、5年前倒しとなります。
六日町-犀潟全線では1,090円から1,310円になります。
認可されると2023年10月1日に運賃が改定される予定です。
北越急行で六日町-犀潟を全線乗車すると59.5km、所要約1時間、1,090円です。
JR東日本の上越・信越線長岡(正確には宮内)経由は113.7km、所要約2時間30分、1,980円です。
北越急行経由で越後湯沢-直江津は84.2km、約1時間30分、1,510円です。
同区間を上越・信越線長岡(宮内)経由では138.4km、約2時間30分、2,310円です。
六日町-犀潟の距離は、北越急行の方が宮内経由よりも54.2km短くなっています。
関東-長野の貨物列車を長岡経由から北越急行に変更する方法
北越急行の収入増または支出減の具体的な方策はあるでしょうか。
全線直流電化、時速160km/h運転可能な高速設備を持ちますが、積極的な施策に出るならば北陸-関東の貨物列車の長岡経由を見直して、北越急行経由にすることです。
北越急行は元々貨物列車の走行を想定した設備となっています。
1,000トンの貨物列車に対応した有効長460mを確保しています。
実際の線路長は短くても延長可能な用地を持ちます。
六日町-犀潟で54.2km短いことと、長岡でのスイッチバックによる機関車の入れ替えや交換が不要になることは大きな利点です。
今回の川崎-長野の迂回ルートの場合、北越急行であったならば機関車EH200形電気機関車は長岡での方向転換がなくなり、機関車の入れ替えをせず長野に到着することができます。
北越急行は単線ではありますが、地上設備は整っており、首都圏-長野で方向転換しないのは利点です。
北陸-関東の貨物列車を長岡経由から北越急行に変更する方法
北陸-関東の貨物列車はどうでしょうか。
交直流電気機関車EH500形またはEF510形により、北陸と関東は今回の川崎-長野と同様に、機関車入れ替え及び交換、スイッチバック運転が解消できます。
北陸は交流電化区間であり、上越国境を越えるため、重量貨物はEH500形、軽量貨物はEF510形の牽引となります。
EH500形の場合、1時間定格出力は交流区間では4,000kw、上越線を含む直流区間では3,400kwです。
EF510形は3,390kwです。
いずれも今回のEH200形4520kwよりも低いため、限流値を上げての対応が必要と思われますが、費用対効果の面で効果が勝ると考えます。
東京-直江津は上越新幹線越後湯沢、北越急行が安い、北陸新幹線と大差ないことのPRを
北越急行が旅客輸送で主導を握るには、北陸新幹線が並行する以上、難しい面はあります。
沿線でもっとも大きな市である十日町市の人口は48,575人、19,532世帯(2023年6月末住民基本台帳人口)の状況です。
北越急行十日町駅の2018年度の乗降人員は1,599人です。
なお、JR飯山線の2018年度同駅乗車人員は403人となっています。
東京-直江津の移動について、北陸新幹線上越妙高経由以外に、上越新幹線越後湯沢から北越急行のルートがあることを誘発することが求められます。
北陸新幹線上越妙高経由の所要時間は2時間30分から40分程度、運賃・指定席料金合計額は9,580円です。
上越新幹線越後湯沢、北越急行経由は2時間40分程度、8,340円です。
最高速度を95km/hに下げたものの、運賃・料金だけでなく所要時間的にも遜色はありません。
直江津駅の2022年の乗車人員はJR東日本で1,583人、えちごトキめき鉄道で1,263人の状況ですが、直江津D51レールパークや455系電車乗車体験企画など、えちごトキめき鉄道社長の宣伝力も加わって、首都圏から直江津に鉄道ファンが訪問します。
北越急行経由の安価さと時間的に遜色のない点はもっとアピールした方がよいと考えます。
えちごトキめき鉄道、JR東日本に働きかけて、東京-上越新幹線-越後湯沢-北越急行-直江津-えちごトキめき鉄道-上越妙高-北陸新幹線-東京のような循環共同企画切符の設定はどうでしょうか。
その前提として北越急行の列車は、越後湯沢と直江津への直通が要件となります。
六日町と犀潟で乗り換えでは速達のインパクト効果が発揮されません。
上越線は越後湯沢乗り入れにとどまらず、越後湯沢-水上の旅客輸送を一部、北越急行車両で代替え運用することも検討に値します。
貨物列車が不可なら電化設備撤去で気動車化の消極策?
貨物列車の北越急行経由が不可の場合はどうでしょうか。
最終的に収入増が困難なら支出減を目指す方向にせざるを得ません。
貨物列車が通らないとなったならば、地域輸送主体の旅客輸送となり、電化設備を今後とも維持する価値は半減してきます。
せっかくの電化設備がもったいないことではありますが、長崎線肥前浜-長崎のような電化設備撤去も検討課題にせざるを得ないと思われます。
その際は、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインのET122形単行気動車のような車両が適当と思われます。
電化設備撤去後にディーゼル機関車による北越急行線貨物列車走行は無駄の典型になります。
そうなる前に貨物列車走行を検討の上、関係機関に働きかけてはどうかと考えます。
(※「えちごトキめき鉄道社長(いすみ鉄道前社長)鳥塚亮の地域を元気にするブログ」2023年7月10日「はねうまラインに貨物列車」を参考にさせていただきました。)
※写真は本文と無関係です。