タビリスの2023年9月30日記事、「『ほくほく線ミニ新幹線化』を考える。最高速度200km/hも夢じゃない?」を拝見しました。
「ほくほく線をミニ新幹線化し上越・北陸両新幹線に接続する案」の発想は想定外で新鮮な驚きがありました。
新聞記事内容による4案それぞれのメリットとデメリット、課題の分析力は素晴らしいと思います。
今回は、この記事の一部を引用させていただきながら、自分の考え方を書いてみたいと思います。
その前に、拙ブログでは、2023年7月3日付けで「新潟-上越間のアクセス改善 長岡-上越妙高ミニ新幹線やトンネル整備の必要性とは?」で触れさせていただき、上越地方と新潟を結ぶ特急「しらゆき」は4両編成4往復の状況で、新幹線の必要性は疑問の旨を書かせていただきました。
その中で、上越市と同市周辺の主要駅の状況を再掲載させていただきます。
〇 高田駅:1,944人(2021年度統計年度による乗車人員で、降車人員は含まず。以下、同)
〇 直江津駅:えちごトキめき鉄道1,153人、JR1,519人
〇 新井駅:726人
〇 上越市の人口183,755人、77,429世帯(住民基本台帳人口。2023年6月1日現在)。直江津、高田、上越妙高駅が属する。
〇 妙高市人口29,981人、12,291世帯(同上)。新井駅が属する。
ここに今回、柏崎市の状況を以下に追加します。
〇 柏崎駅:1,186人(2021年の乗車人員。降車人員含まず)。
2022年度は1,336人。
〇 柏崎市の人口77,851人、34,697世帯(2023年8月31日現在の住民基本台帳人口)
タビリスの記事と私見
以下、太字はタビリスから一部、引用させていただいた部分です。
省略箇所がありますので、ご了承ください。
なお、「→」が私見です。
貨物列車を走行可能とするため、複線のうち1線だけを改軌する形になるでしょう。直江津~上越妙高間は単線なので、三線軌化します。
(中略)
直通新幹線は、上越妙高駅で方向転換する必要が生じます。また、上越妙高~直江津間は単線区間なので、工事期間中は列車の運行ができず、3~4年間の運休が想定されます。信越線での貨物列車ダイヤへの影響も課題です。
→ 新幹線の意義を考えれば、新大阪から旧北陸線、信越線の日本海沿いが本来の姿の考えます。
その基本線には沿っています。
また柏崎も経由します。
ただし、指摘のとおり上越妙高の方向転換、スイッチバックはマイナスとなります。
また、上越妙高-長岡は在来線速度止まりで、貨物列車の影響も指摘のとおりです。
この案は賛成しません。
上越妙高駅での方向転換という問題が解決し、直通新幹線が新潟~金沢~新大阪間を方向転換することなく走れます。
ただ、ミニ新幹線化する区間が111.8kmと長くなります。ミニ新幹線の最高速度は130km/h程度なので、これだけ距離が長くなると、時間短縮効果は限られたものになります。
改軌する区間が延びれば工事費も高くなりますし、貨物列車ダイヤへの影響という問題も解決できません。また、上越市の中心駅の一つである高田駅も経由できません。
→ こちらも指摘のとおりで、付け加えることはありません。
スイッチバックしない点は①よりもよいのですが、柏崎市は通っても、高田側を通らないので、直江津乗り換えになり、①以上に調整は難しそうです。
③信越線改良
新幹線と直通できません。また、時間短縮効果も限られます。新潟県内の移動だけをみれば意味がありますが、北陸三県や関西方面へのアクセスはほとんど改善されません。
→ 日本海側の縦貫新幹線の位置づけから外れるので、議論の土俵に乗らないように思います。
(前略)
上越新幹線浦佐駅付近からほくほく線までと、ほくほく線から北陸新幹線上越妙高駅まで、それぞれ連絡線の新線を建設します。
実現すれば、新潟~長岡~浦佐~十日町~上越妙高~金沢方面とつながる「ほくほく新幹線」が誕生します。
(中略)
上越妙高~虫川大杉間の連絡線は約20km。浦佐~魚沼丘陵間の連絡線は約5kmです。
(中略)
新潟市と金沢市、大阪方面の新幹線列車をスイッチバックなしで直通できます。将来的に経営難が予想されるほくほく線の救済策にもなります。信越線は複線電化で存続しますので、貨物列車への影響も生じません。
→ 実施するならこの④案と考えます。
大阪-新潟の短絡線で考えれば②の糸魚川経由ですが、時間短縮、速達効果に難があります。
北越急行の高速設備を有効に使う点に意義があります。
糸魚川経由と、北越急行経由での迂回の距離の差は47.4kmです。
このまま時速95km/h運転で細々と運転するのは折角の高速設備がもったいないことで、時速200km/h運転を目指した活用法は素晴らしいと思います。
話は逸れますが、北越急行経由の迂回については、近年の東九州新幹線大分の路線を、従来の小倉から短絡する本州側思想から、博多・久大線沿い経由にした事案を思い出します。
地図上で見れば小倉-大分の方が自然ですが、小倉-博多-久大線沿い-大分の方で地域側は考えている経路です。
大分からは博多との需要の方が大阪より勝る、大阪への新幹線は博多経由の迂回という割り切りと考えられます。
デメリットとしては、直江津駅や高田駅、柏崎駅といった拠点駅を経由しないことが挙げられます。なかでも、柏崎市のアクセス改善は検討委員会の目的の一つですが、ほくほく線ミニ新幹線化案では意味がありません。
新潟日報によりますと「信越線長岡・柏崎間に停車駅を減らすシャトル電車を設け、利便性を上げる」としていますが、救済策としては物足らないでしょう。
→ 直江津、高田、柏崎経由と北越急行経由との両立はできません。
新潟県内の移動を優先するなら①になりますが、新幹線の意義、関西・北陸・新潟の日本海縦貫線の新幹線、新幹線イコール遠距離の時間短縮という視点が必要と考えます。
日本海縦貫線の新幹線として直江津、高田の人は上越妙高駅で北越急行新線経由で、柏崎は長岡へ特別快速設定で理解協力を求めたいところです。
ほくほく線を三線軌にするのか、改軌してしまうのかは何とも言えませんが、保線や車両管理のしやすさを考えれば、改軌の可能性が高そうです。
となると、普通列車は標準軌の車両が走ることになり、六日町~犀川間の折り返し運転となります。直江津駅への直通はなくなりますので、地元の利用者は不便になるでしょう。
あるいは、犀川~虫川大杉間は現状のまま残し、トキ鉄に移管する可能性もあります。内部留保豊富な北越急行が「持参金」をトキ鉄に渡せば、トキ鉄への経営支援にもなります。
この場合は、虫川大杉~直江津間に狭軌の普通列車が走ります。一方、虫川大杉~六日町間は標準軌の普通列車が走り、北越急行の管理となるでしょう。
いずれにしろ、工事期間中は運休となります。ただ、現状のほくほく線の輸送量ならば、バス代行は難しくありません。また、貨物列車への影響も生じません。
→ 指摘のとおり、北越急行は一旦、工事により運休、バス代行輸送し、直流電化を交流に、軌間は標準軌に、普通電車は交流に、犀潟側についてはえちごトキめき鉄道に移管が望ましいと考えます。
全体総括
今回、長々と引用させていただきましたが、何も付け加えることがない、非の打ちどころのない、冷静沈着、客観的、将来を見据えた鉄道側と地域側の両面を中間的、公平に見た著者の視点に改めて敬意を表します。
今後の更なる活躍を期待します。
(※ 記載にあたり、タビリスの2023年9月30日記事、「『ほくほく線ミニ新幹線化』を考える。最高速度200km/hも夢じゃない?」を参考にさせていただきました。)