列車本数と駅員配置時間制約の中で、計20駅下車でのスタンプ押印の至難さ
えちごトキめき鉄道(以下、「トキ鉄」)、北越急行では、2023 年9 月 15 日(金)から11 月5 日(日)まで計52 日間、「トキてつ×ほくほく×大糸線 コラボスタンプラリー2023」(以下、「スタンプラリー」)を開催します。
グッズ購入や指定された駅を回ってスタンプを集めると、オリジナル缶バッジがプレゼントされるイベントです。
えちごトキめき鉄道活性化協議会、ほくほく線沿線地域振興連絡協議会、大糸線活性化協議会の3つの協議会が協力団体となっています。
企画の中で、JR西日本所管の大糸線糸魚川-南小谷を組み入れているのが特徴で、同線の利用促進や将来に関心を持ってもらいたい意味でも大糸線を加えたことには意義があります。
今回は、このスタンプラリーについて考えてみました。
毎回のことですがイベント開始直前に意見をするのもどうかとは思いますが、なにとぞご寛容ください。
スタンプラリーの内容を見る
トキ鉄、北越急行、大糸線に親しんでもらうアイデアとしては興味深いものがあり、列車利用促進の点でも関心を抱きますが、実際にこの企画にどの程度参加する人はいるでしょうか。
トキ鉄と北越急行それぞれ当日限り有効のフリー切符購入を前提であるほか、記念品進呈も先着順または抽選で人数に限りがあるなど、どうかなと思うところがありました。
以下、具体的な内容を見てみます。
駅員が台紙にスタンプを押す方式のトキ鉄
チラシを見ると、「トキ鉄線では、駅スタンプピンバッジ(各 100 円)を買うと、スタンプを押してもらえます。」「ほくほく線・大糸線では駅に設置のスタンプを押してください。」とあります。
トキ鉄では、指定された全9駅(春日山、高田、上越妙高、新井、二本木、関山、妙高高原、能生、糸魚川の各駅)で、販売箇所の係員が台紙にスタンプを押す方式です。
チラシには、「ピンバッジの各発売箇所の営業時間」という項目がありますが、これは駅員の配置時間と同じなのか、あくまでピンバッジ発売の営業時間だけの話なのかは判別できませんでした。
各駅での駅員配置時間と一致したものとすれば、自分でスタンプ押印できない以上、日中の下車に限られることになり、注意が必要です。
とくに二本木は10時から16時に限られます。
この場合、駅係員の配置時間外については、利用者が押印する方式にもしてほしいところです。
それとも駅員は列車運行時間中は在中し、スタンプを押印できる体制なのでしょうか。
また、チラシで「直江津D51レールパークは入園料(※)がかかりますがグッズショップで全ての駅スタンプピンバッジを買い集められます!(※大人1,000円 こども700円)」とありますが、同レールパークでトキ鉄のスタンプ全9駅分も完了するのでしょうか。
それともピンバッジの話であって、スタンプは別でしょうか。
北越急行は、指定の10駅(くびき、うらがわら、虫川大杉、ほくほく大島、まつだい、十日町、しんざ、美佐島、魚沼丘陵、六日町の各駅)でスタンプを押す方法ですが、大糸線南小谷とともに、利用者が任意に押す方式で時間は気にせず押印できます。
4駅特定の商品交換駅
商品交換駅は直江津、糸魚川、二本木、十日町の4駅のみで、受付時間7時から18時の間になります。
二本木は前記同様、10時から16時に限られます。
妙高高原、上越妙高、六日町、南小谷など、他路線の入口・出口駅でも扱ってほしいところです。
この商品交換時間と、駅係員がスタンプ押印するトキ鉄の制約により、20駅完全制覇するには、トキ鉄の妙高高原-直江津-糸魚川で1日、北越急行六日町-直江津で1日、大糸線で1日、計3日を要し、少なくとも2日間では制覇困難と思われます。
トキ鉄のスタンプ押印が終日可能としても2日間は要します。
普通列車本数が限られる中での20駅スタンプ達成ができるか
賞は3種類あり、スタンプ3個でわくわく賞、トキ鉄と北越急行各3個でチャレンジ賞、全20駅で完全制覇賞となっています。
このうち、完全制覇賞を目指す人はどのくらいいるでしょうか。
制約された列車ダイヤの中で、ただ同じ方向に進むのではなく、2駅先に行ってから1駅戻って、再度前に進むことにより、列車待ち時間とスタンプ押印時間を効率化するのも鉄道ファンには知恵の一つです。
筆者も効率よい駅の乗降を計画してみましたが、なかなかうまくいきませんでした。
北越急行の普通列車は19往復、大糸線糸魚川-南小谷は7往復です。
トキ鉄の妙高高原発着の普通列車は16往復ですが、駅員スタンプ押印が前記「ピンバッジの各発売箇所の営業時間」と同じとすれば、7時から17時では11往復に制約されてきます。
完全制覇の意欲に水を差さないか、気になります。
トキ鉄と北越急行のフリーパスのお得感は
チラシでは、「コラボラリーにピッタリな、おトクな乗車券を販売中です。」 「トキ鉄…じもパス、トキ鉄ツアーパス、ホリデーツアーパス ほくほく線…ほくほくワンデーパス」とあります。
上記のパスはいずれも当日1日限りの有効期間です。
20駅の完全制覇用としてトキ鉄、北越急行それぞれのフリー切符購入ではお得感がありません。
今回の企画用として、南小谷-糸魚川-直江津-妙高高原・六日町間のフリー切符が望まるところです。
3日間有効、4,000円が適当と考えます。
「鉄道お楽しみ袋」5名の狭き門
チラシでは完全制覇後、先着150名へのオリジナル缶バッジプレゼントとは別に、
「抽選で5名様に『鉄道お楽しみ袋』をプレゼント!!」
「『Wチャンス賞応募券』を、①コラボスタンプラリー台紙、②トキ鉄フリーパス、③ほくほく線フリーパスと一緒に、トキ鉄の各駅窓口か十日町駅に提出してください。」
とあります。
鉄道お楽しみ袋の内容は、当選者だけの後日の楽しみですが、全20駅を回ってのスタンプラリーで5名の数は、オリジナル缶バッジ先着150名進呈が別にあるとはいえ、いささか寂しい数の印象を受けます。
当選者数をもう少し増やして、トキ鉄または北越急行のフリー切符を進呈するとか、直江津D51レールパーク入場券とトキ鉄フリー切符セットでの次回割引券進呈等も検討されたらいかがかと感じました。
最後に、当スタンプラリーの盛況を期待しています。
※写真は本文と無関係です。