平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

「のぞみ」「みずほ」 今後の全車指定席通年化の可能性を考える

「のぞみ」の全車指定席化は3大ピーク期(最繁忙期)の限定措置か、「みずほ」は今後「のぞみ」と同じ方向性か?

2023年9月13日付けで、JR東海JR西日本の連名で、「この冬、年末年始は『のぞみ』号を全席指定席として運行します― 3大ピーク期に『のぞみ』号の指定席を増やし、ご予約いただきやすくします ―」とのニュースリリースがありました。

この内容の中の一部を引用させていただきます。

※自由席特急券等をお持ちのお客様は、普通車のデッキ等に立席でご利用いただく場合に限り、「のぞみ」号にご乗車いただけます。(「のぞみ」号の指定席に着席された場合は、所定の指定席特急料金が必要となります。)

(以上引用)

 

「のぞみ」に3両の自由席があることが、とくに3大ピーク期には列車が遅れる原因となり、他の列車運行全体に影響することは東海道・山陽新幹線にとって深刻な課題での一つでした。

今回は、「のぞみ」「みずほ」の全車指定席化への今後の方向性について考えてみました。

 

立席特急券でなく、自由席特急券でどの「のぞみ」にも乗れる選択

3大ピーク期において「のぞみ」を全車指定席化し、満席時は自由席特急券により全部の普通車指定席を対象にデッキ乗車可能としました。

3大ピーク期に「のぞみ」全列車、普通車全車両に乗車を分散させ、列車の乗降を円滑にし、遅延を防止することは順当な判断と考えます。

 

全車指定席列車が満席の際、立ってでもいいから乗りたいという需要、欲求に応える対応で、ここが飛行機と異なるところです。

満席なら「のぞみ」は乗車不可、「ひかり」「さくら」「こだま」へという措置であったら、「のぞみ」に比べて少ない本数から多くの利用者を輸送できなくなるという事情があります。

 

ここで、JR東日本のような立席特急券を選択しなかったのはなぜでしょうか。

「のぞみ」は利用者数の多さ、最大12往復の運転本数、16両編成の輸送力とデッキ数の多さから、事前に乗車列車を指定する必要がある立席特急券方式では、立席特急券購入までにさらに混雑、混乱が生じることが予想されます。

自由席特急券ならば乗車列車を事前に考える必要がなくなり、精神的にも立席特急券よりも気軽になります。

次々に発車する「のぞみ」の、どの列車でもよいからデッキに立つ前提での対応は正しい判断と考えます。

また、指定席に空席があろうとも着席は不可、着席の場合は指定席特急料金を徴収するという措置は分かりやすく明快な姿勢です。

空席ならいいだろうと、とりあえず座ってしない、やがては眠ってしまって、後から来た指定席券所持者とトラブルや混乱の原因になることがあります。

その意味で、たとえ空席があっても着席不可の毅然とした鉄道側の姿勢は正しいと考えます。

 

「のぞみ」全車指定席は3大ピーク期だけの限定措置となるか?

「のぞみ」は1992年3月14日に全車指定席として登場、2003年10月1日の品川駅開業に合わせて1~3号車を自由席としました。

「のぞみ」には固有の指定席料金を設定していますが、自由席特急料金は「ひかり」「こだま」と同額のため「のぞみ」自由席は割安感があり、乗車列車を事前に指定しないゆえの行動の自由さから、3両の自由席は混雑の傾向も見られます。

 

筆者は今後の「のぞみ」は通年、全車指定席になっていくと予想します。

今回のリリースにより、ひとまず今後1年間の3大ピーク期における「のぞみ」全車指定席による遅延防止効果、利用者の円滑な乗降効果の状況を見ることになりますが、東海道間を中心とする「のぞみ」の通年混雑傾向から、全車指定席の通年実施に踏み切ると予測します。

利用者にとっては「のぞみ」の指定席が確保しやすくなるほか、鉄道側にとっては「のぞみ」の指定席料金による収入の安定性、自由席との料金差額によってそれが直接的な理由ではなくとも、結果的に増収にもつながる面があります。

 

「みずほ」も3大ピーク期は全車指定席化するか?

「みずほ」は山陽・九州新幹線の速達列車ですが、「のぞみ」の半分の8両編成で、グリーン車は6号車の半室で6列24名、普通車指定席は4~8号車で2&2席、計282名、自由席は1~3号車で計240名、編成定員は546名です。

「のぞみ」の1,232名と比べると44%相当の輸送力です。

 

「みずほ」は指定席が2&2席、自由席は3&2席のため、全車指定席化すると3&2席利用者からの不満は予想されます。

しかしながら「のぞみ」と同じ高速・速達列車であり、3大ピーク期に限っては割り切って全車指定席にしていくと考えます。

2&2席でなくても3大ピーク期だから3&2席でも着席できればよいとする案内方法です。

3大ピーク期の2&2席に限り、最繁忙期料金をさらに100円上げる等の方法もありますが、別の議論が起きるリスクが伴います。

ただし「のぞみ」のような将来においての、終日全車指定席の選択肢はないと思われます。

 

「みずほ」は当初のような列車への意気込みはなくなり、定期列車3.5往復、定期列車に近い毎日運転の臨時列車5往復しかなく、日中の運行はなく、時間帯が偏っているのが特徴です。

毎日運転の臨時「みずほ」は、利用状況の様子を見て、成果がなければ今後設定しないようにできる列車設定です。

「のぞみ」「さくら」優先の山陽区間のダイヤによる設定の困難さ、山陽・熊本・鹿児島方面の速達需要の厳しさを感じさせます。

「さくら」には準「みずほ」的な、準速達列車もあります。

「みずほ」は「リレーのぞみ」的な列車として、博多での同一ホームにより博多-鹿児島中央での速達に徹する方向性も今後の課題として考えられます。

 

(※記載にあたり、「タビリス」2023年9月14日付け、「新幹線『全車指定席化』はどこまで広まるか。『のぞみ』ピーク期に導入へ」を参考にさせていただきました。)