平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

JR四国特急は今後、全車指定席の方向に進むか?

JR他社同様、全車指定席化の方向か?指定席・自由席共存か?

JR四国の特急はJR東日本JR西日本JR北海道の特急が全車指定席化方向の中で、自由席と共存の列車がほとんどで、列車によっては自由席の割合の方が高くなっています。

JR東海JR九州も自由席を維持する姿勢を継続していますが、JR東海では2023年から2024年の年末年始について、東海道・山陽新幹線「のぞみ」を全車指定席としました。

今回は、JR四国特急の自由席が指定席の方向にあるのかどうかを考えてみました。

 

「南風」の指定席拡大の意味合いは?

2024年3月15日ダイヤ改正に伴うJR四国ニュースリリースの中に、「特急『南風』の指定席数を増やします! 」との項目があります。

その記事を引用させていただきます。

なお、リリース上では表になっていますが、ここでは都合上、文章化させていただきますのでご了承ください。

 

(以下引用)

特急「南風」の自由席の一部を指定席に変更します。
これにより、より多くのお客様にご予約・着席してご旅行いただけるようになります。

〇平日:南風1~28号(28本)指定席数 60席→78席
〇土曜:南風2・3・6・7・14・15・18・19・26・27号(10本)(同上) 106席→124席
〇上記以外の南風(18本):(同上) 60席→78席
〇休日:南風6・7・18・19号(4本):(同上) 106席→124席
〇上記以外の南風(24本):(同上) 60席→78席

〇自由席数:62席→44席

(以上、表を加工して引用)

 

「南風」は3両編成が基本で、列車や曜日等により4両編成になることもあります。

3両編成列車の座席数は、1号車がグリーン車12席、普通車指定席24席で、計36人定員。

2号車は13列52席で、内訳は1号車寄りが指定席で9列36席、3号車寄りが自由席で4列16席。

3号車は岡山側先頭車の自由席で、11列44席です。

 

来春のダイヤ改正後、「南風」は半車自由席の2号車が全室指定席となり、自由席は3号車だけ(4両編成は4号車だけ)となります。

「南風」の指定席拡大、2号車の半室指定席を全室指定席にするのは、「より多くのお客様にご予約・着席してご旅行いただけるように」する体制づくりと受けとめます。

単に指定席の需要が増えたからというよりも、指定席需要に応えるための事前手配と理解します。

指定席が16席分増えるだけではありますが、134人定員の「南風」においては、指定席の比率としては現在の53.7%から65.7%に増加します。

(自由席の比率は46.3%から34.3%に減少します。)

 

8000系リニューアル特急電車の座席コンセントが象徴する併存性

JR四国の指定席と自由席の考え方については、最近リニューアルされた8000系特急電車の座席コンセントが、指定席は全席、自由席は窓側に設置した姿勢が象徴するように、指定席と自由席の共存方式で進むと思われます。

JR四国が今後、全車指定席化の方向性ならば、8000系リニューアル編成は全席コンセント付きで登場していたと考えられます。

 

同じ岡山発着「やくも」「スーパーいなば」の全車指定席を横目に

来春のダイヤ改正後、「南風」が発着する岡山では、伯備線「やくも」と、智頭急行経由の「スーパーいなば」は全車指定席になります。

「やくも」は4両編成、「スーパーいなば」は2両編成で、いずれも「南風」と編成両数は似ていますが、全車指定席に変わります。

そうした岡山での環境の中で、土讃線「南風」をはじめ、予讃線「しおかぜ」、高徳線うずしお」は指定席と自由席の併存方式を継続する形になります。

 

JR四国も今後、全車指定席方向になっていくのでしょうか。

2023年9月28日付け、朝日新聞で「JR四国社長、特急などの指定席拡大に前向き 混雑回避のニーズ高く」とのデジタル記事があります。

記事の一部を引用させていただきます。

 

(以下引用)

特急列車などの指定席の拡大を前向きに検討する意向を示した。

~中略~

「利用実態として指定席への志向は強くなっている。それを踏まえ、なるべく指定席は増やしていきたいと思っている」と述べた。「(JR四国の場合は)車両数が限られており、なかなか難しいところもある」としながらも、「多客期には指定席をちゃんとご用意してお座りいただきたい。団体客も指定席が多くないとなかなか席が取りにくくなる」などと指摘した。

(以上引用)

 

JR四国としては、指定席志向が強くなっていることから、指定席は増やしたい、ただし特急列車1編成当たりの車両数が少ないことから、全車指定席までは難しいとも読み取れます。

JR四国にとっては全車指定席により増収になるほか、車掌の車内改札業務の減少などの利点がありますが、利用者にとっては着実に座れる反面、料金負担が増えます。

 

また、岡山発着の「しおかぜ」「南風」以外は、自由席主体の編成が多いことも特徴です。

四国全体で見ると自由席中心の列車が多い中では、一挙に全車指定席にすることはJR四国としてかなりのリスクが伴いそうです。

JR四国では駅の無人化も進めており、全車指定席化によって、駅での切符購入時の戸惑いや、億劫な人、自由席料金の割安感がなくなったこと等での影響も想定されます。

 

JR四国の特急はA特急料金適用であり、割安にはなっていません。

そのため25キロまでの自由席乗車に限り、通常の760円を450円としています。

今後はJR九州JR北海道のように、島内独自の特急料金をJR四国でも設定してはどうかと考えます。

 

結論として、四国特急は岡山発着列車に特定して指定席需要の高さから、全車指定席化の方向性を探りながらもそれを目標とし、他の列車は当面、自由席との共存で進むのではないかと思われます。

また、全車指定席列車の特急料金についてはJR東日本のように、既成の指定席と自由席の料金の中間をとった新たな指定席料金を設定することも考えられます。

今後の四国特急の状況を見守りたいと思います。

 

(※ 記載にあたり、朝日新聞、2023年9月28日付け、「JR四国社長、特急などの指定席拡大に前向き 混雑回避のニーズ高く」のデジタル記事を参考にさせていただきました。)

 

※写真は本文と無関係です。