上り7時台から8時台で1時間以上設定不可の特快と通勤快速の設定不可がネック
中央線の快速といえば、平日は中野以西が各駅停車(以下、「各停」)のため、快速としてのイメージは東京-高尾間の平日で見れば半分程度の印象があります。
東京-立川37.5キロのうち、快速区間は実質的に東京-中野14.7キロにとどまります。
中野-三鷹も複々線の設備がありながら、過去の経緯から平日は快速も各駅停車となるため、複々線を活かした休日ダイヤ並みの快速運転ができないためです。
今回は、ラッシュ時の快速・通勤快速が廃止される京葉線を想像しながら、現在の中央線の快速列車での平日通勤ダイヤを見てみたいと思います。
距離的には京葉線東京-蘇我と比較すれば、中央線は東京-豊田に相当しますが、ここでは立川→東京の上り列車を基準に見てみることとします。
平日朝の通勤時の快速以外の種別列車(通勤特快、中央特快、青梅特快、通勤快速)の立川-東京の停車駅と所要時間は
〇 通勤特快(上りのみ):途中6駅。国分寺、新宿、四ツ谷、御茶ノ水、神田(立川-東京の所要45分~49分)
〇 中央特快・青梅特快:途中8駅。国分寺、三鷹、中野、新宿、四ツ谷、御茶ノ水、神田(同、所要約45分)
〇 通勤快速(下りのみ):神田、御茶ノ水、四ツ谷、新宿、中野、荻窪、吉祥寺、三鷹、国分寺、立川から先の各駅(同、所要45~50分)
〇 快速:途中18駅。国立-中野間各停。中野からは中央特快と同じ(同、所要60分弱)
下りの通勤快速という折衷案的な列車の意義
通勤特快の最速45分と快速の60分弱とで15分差です。
15分の差は大きいものがあります。
現状、朝の通勤ピーク時は特快も特急も設定を見送らざるを得ず、並行ダイヤで輸送力を稼いでいることになります。
三鷹-中野で休日快速と同じ停車駅でない、緩行線と同じ停車駅、混雑状況に余裕のありそうな三鷹から並走する緩行線列車。
中央線快速で中野-東京に行く人には複雑な想いの区間です。
グリーン車増結用に三鷹-中野の快速用の全ホームが2両分延長されますので、休日ダイヤの停車パターンを平日に持ってくるのはさらに難しくなりました。
上りの通勤特快4本に比べて、下りの通勤快速(中野、荻窪、吉祥寺、三鷹の4駅に増停車)が5倍の20本の本数があります。
これは下り通勤列車の利用時間分散化を活用したもので、上りでは設定できない上記4駅停車をせめて下りで果たそうとの思いが感じられます。
中野-三鷹で通過する3駅での不満は出ますが、通勤快速以外の快速は停車することで理解を求めた、停車と通過の異なる要求への折衷案の意味合いともいえる列車です。
通勤快速は、東京-立川が所要50分であっても快速の60分よりは短く、停車駅も削減されている意味では有用といえます。
平日朝の通勤時の特快3種(通勤特快、中央特快、青梅特快)の立川発東京着ダイヤ
〇 6:11青梅特快→東京6:54
〇 6:17中央特快→7:00
〇 6:31中央特快→7:16
〇 7:07通勤特快→7:56
〇 7:19通勤特快→8:08
〇 8:25通勤特快→9:14
〇 8:53通勤特快→9:38
〇 9:32中央特快→10:15
〇 9:51中央特快→10:35
通勤快速が7:19の次は8:25まで1時間以上開いているのが特徴で、その間に24本の快速が設定されています。
この24本の快速で並行ダイヤを組んで、途中駅での通過待ちをしないようにしていると理解されます。
なお、武蔵小金井始発もあるため、一部の時間帯では武蔵小金井基準での快速の本数はさらに増えます。
ラッシュ時に割り込む全車指定席の東京行き特急
列車名は省略しますが、以下の時間に東京行き特急があります。
〇 6時11・25・47・59分
〇 8時12・43分
〇 9時01・22分
7時台こそ特急設定はありませんが、8時台に2本、6時台は4本あります。
来春から立川を経由しなくなる予定の「成田エクスプレス」を加えれば、特急の本数はさらに増えます。
また、新宿起点で17時以降の下り特急は、東京発を含めて平日に15本あります。
JR東日本としては今後の快速グリーン車利用と合わせ、特急の通勤利用との両立を目指していると思われます。
今後の快速へのグリーン車連結での変化は
中央線の快速の場合、中野-東京間だけとはいえ、全区間が各停ではないということで受けとめるしかないようです。
今後は中央線快速の全列車に2両のグリーン車が増結されます。
いささか楽観的な、失礼な見方かもしれませんが、通勤時間の長い、停車駅の多い快速には、グリーン車の連結は有効に働くかもしれません。
グリーン車連結により、東京駅での折り返し時間での座席整備、清掃に新たな課題も生じ、快速の本数が少なくなる可能性の話も聞こえます。
グリーン車の連結は停車駅の少ない特快で有用になるか、停車駅の多い快速の方が利用があるか、並行私鉄の有料ライナー列車からの転移があるか、グリーン車の利用状況にも着目したいと思います。