特急料金の節約以上に、時間の消費リスクがどの程度大きいかを探ります
キュン♥パスの旅行計画での妙味の一つに、全車指定席列車に3回以上乗る場合、どの列車に2回分を使うか、使えなかった分は特急料金を別払いで乗るか、別払いせず料金不要の列車に変えるか、という点があります。
東京-新青森で日帰り往復をすれば、キュン♥パスによる旅行費用の大きな節約に醍醐味を感じますが、東京まで普通列車で行け列車条件かどうかによって変わってきます。
特急に頼らざるを得ない中央線甲府方面からの東京
東京近郊の各方面から東北新幹線に乗る時、路線によって列車条件は異なります。
東海道線小田原方面から東京へは、特急「湘南」に乗らなくとも普通列車が多く走り、所要時間にも大差はありません。
常磐線水戸方面からは、上野まで「ひたち」で行くほかに、水戸線普通列車で小山から東北新幹線の選択肢があります。
小山では「はやぶさ」には乗れませんが、小山停車の「やまびこ」で仙台から「はやぶさ」のコースがあります。
また、新青森からの帰路は、仙台18:02発「ひたち30号」で水戸21:20着の選択肢もあります。
房総方面は、ひとまず今回のキュン♥パスでは、3月14日までの期間中、特急に自由席があります。
難しいのは中央線甲府方面です。
普通列車では大月や高尾での中央線快速乗り継ぎとなるほか、平日の中央線快速は高尾-中野が各駅停車が基本で早朝、通勤特快とのタイミングも合いません。
そこで今回は具体例として、中央線の甲府から東京経由、東北新幹線で新青森までの日帰り旅行計画での、特急券別払いによる特急往復と、別払いを避けての時間損失リスクを比べてみました。
甲府-新青森のキュン♥パス利用で、指定席列車の選択は、以下の3つから選択することになります。
具体的に乗車列車の事例で見てみます。
① 新幹線に指定席往復で2回分を使い、中央線特急料金は別払いとする方法
もっとも一般的な方法です。
中央線は「かいじ」、東北新幹線は「はやぶさ」で、中央線特急利用はやむを得ないゆえ、甲府-東京の特急料金1,380円の往復分2,760円を別払いするものです。
往路は、甲府7:03発→特急「かいじ2号」→東京8:57着、9:36発→「はやぶさ13号」→新青森12:36着です。
帰路は、新青森18:25発→「はやぶさ44号」→東京21:23着、21:45発→「かいじ57号」→甲府23:37です。
新青森の現地時間は約5時間50分です。
② 中央線特急に指定席往復で2回分を使い、新幹線は自由席列車を利用する方法
往路の中央線は、甲府7:03発→特急「かいじ2号」→東京8:57着で①と同じです。
東北新幹線は自由席のある「やまびこ」で東京-盛岡を移動します。
盛岡-新青森相互間では「はやぶさ」の特急料金は不要にできます。
東京9:40発→「やまびこ55号」→盛岡13:12着、13:37発→「はやぶさ21号」→新青森14:43着になります。
帰路は、新青森16:38発→「はやぶさ38号」→盛岡17:44着、17:54発→「やまびこ68号」→東京21:12着、21:45発→「かいじ57号」→甲府23:37です。
新青森の現地時間は約1時間50分です。
①よりも4時間、現地滞在時間は短くなります。
これは「やまびこ」の東京-盛岡での通過駅が3~4駅に限られる、いわば準「こだま」型によるものです。
③ 新幹線に指定席往復で2回分を使い、中央線は普通列車を利用する方法
新幹線は速達「はやぶさ」で時間節約する反面、甲府-東京は普通列車として特急料金を支払うことを避ける方法です。
普通列車では甲府5:52発→大月6:40着→乗換→大月6:54発→東京8:46着で、所要2時間54分です。
ちなみに特急では、甲府7:03発→「かいじ2号」→東京8:57着で、所要1時間54分です。
冬の早朝での、5時台と7時台との列車乗車自体にも気温面等での、別のリスクはあります。
新青森からの帰路は、17:22発「はやぶさ40号」→東京20:32着となります。
東京からの普通列車は、東京20:56→中央線通勤快速→高尾22:01着、22:06発→普通列車→甲府23:30着です。
新青森滞在時間は約2時間40分ではありますが、全区間での行程時間としては、甲府発で「かいじ2号」よりも1時間以上早い5時台の冬の列車は、体力に自信のある人向きです。
甲府-東京の特急指定席料金は片道1,380円、往復2.760円です。
③のコースをたどってまで特急料金別払いは避けたいかどうかになります。
中央線は特急料金別払いが適当
ありきたりの結論ですが、キュン♥パスで、甲府-新青森の日帰り往復は、東北新幹線「はやぶさ」に指定席2回分を使い、中央線特急「かいじ」の別料金支払いは時間節約の対価も考え合わせれば仕方ないと判断されます。
特急料金節約で立川-東京を快速に乗り換えるか
余談ですが、「かいじ」特急料金の節約方法として、立川-東京は快速に乗車すると、甲府-立川の特急料金は1,020円となり、片道560円、往復1,120円の節約はできます。
「かいじ2号」は立川8:12着で、立川8:16発→中央線快速→東京9:12着です。
東京9:36発「はやぶさ13号」には間に合います。
帰路の「かいじ57号」立川発は22:27で、東京21:35発→中央線通勤快速→立川22:19着です。
「はやぶさ44号」は東京着は21:23なので、21:35発中央線快速に乗るには、乗り換えになれていることが要件です。
その前に一点、キュン♥パスの平日利用条件による留意点があります。
立川-東京で快速利用により特急料金往復1,120円はよいとしても、平日乗車なので通勤時間帯にあたり、着席は困難であり、満員で混雑するリスクがあります。
その意味で「かいじ」は往復とも東京まで利用する方が賢明です。
今回は、最初から分かっているような「かいじ」「はやぶさ」往復が適当との結論ではありますが、あれこれ机上で想定し、計算するのも鉄道趣味ということで理解いただければ幸いです。