京葉線快速はどのような形がよいのか、共感と異論を交えつつ望ましい方向性を探ります
マイナビニュース、2023年12月31日付け、「JR京葉線、通勤快速など各駅停車化で不満続出 - 本当に『改悪』か」を拝見しました。
拙ブログでも京葉線快速について何度か触れてきましたが、朝の上り通勤快速をはじめ、京葉線に対する新たな見解として参考にさせていただきました。
今回は、拝見させていただいた内容をもとに、自分の見解と重ねながら、京葉線快速のあり方について考えてみたいと思います。
以下、「太字」は引用させていただいた部分、→は自分の意見・感想です。
ダイヤ改正で便利になる千葉市民、千葉県民もたくさんいると思われる。政治家の皆さんは、今回行われるダイヤ改正の中身を精査しているだろうか。声の大きい人だけを見てはいないだろうか。そこが気になる。ダイヤ改正に限らず、ほとんどの事象で「満足している人は声を上げない」。
→ 今回の京葉線快速の案件に限らず、「声の大きい人だけを見ていないだろうか」という点は日常、仕事でも私生活でも付き物であり、世の常とも言える現象です。
「満足している人は声を上げない」のも指摘のとおりで、一般論として、言ったもの勝ちな傾向があるのも事実です。
ただし、声の大きい人の意見が必ずしも全体を代表してのものではない、ということを常に踏まえておく必要はあり、その警鐘と理解します。
通勤通学利用者にとって、朝の12~14分は貴重だろう。
~中略~
朝の通勤快速が各駅停車化され、所要時間が12~14分延びる。ただし、その本数はわずか2本である。それが千葉市長、千葉県知事の言う「容認できない」「極端すぎる」に該当するだろうか。
→ 朝の通勤快速が各駅停車(以下、「各停」)化され、所要時間が12~14分延びるといっても、本数自体はわずか2本しかないことを指摘されています。
ただし、その前段で「朝の12~14分は貴重だろう」との理解も示されています。
その12~14分が貴重な反面、1日2本だけの話なのにそれを拡大しすぎと指摘されていると受けとめます。
蘇我-東京の上り通勤快速は所要41分または44分です。
各停は約50分ですが、列車によっては60分を超える場合もあります。
2本だけの通勤快速の所要時間が改正後の各停により、12分または14分繰り下がるが、それほど「容認できない」「極端すぎる」だろうかと疑問を投げかけている形です。
朝の通勤快速の各停化だけを見れば2本だけですが、通勤時の京葉線全列車の各停化によって蘇我-東京の所要時間が55分前後になること、往復とも通勤時は各停しかないことは痛手でないかどうか。
今後ずっと各停で通勤というのは許容範囲であり、受けとめ、理解すべき範囲か、苦痛かが分岐点となります。
そうなってくると、京葉線以外の東京発着の他の路線はどうかが知りたくなってきます。
横浜・大船は東海道線・横須賀線、浦和(武蔵浦和)・大宮は東北線・高崎線・湘南新宿ライン・埼京線、立川・八王子は中央快速線、柏・我孫子は常磐快速線、船橋・千葉は総武快速線、いずれも速達列車または快速列車があります。
京葉線だけが通勤時、各停のみの運行への困惑、不満は避けられないと思われます。
12分から14分しか延びないのか、12分から14分も延びるのかの、受けとめの違いですが、所要3時間が3時間15分に延びるのとは異なり、1時間以内の中での14分繰り下がりは後者に傾くと考えられます。
通勤快速の各駅停車化で便利になる人が不便になる人の約10倍になる可能性があるのに、~以下略~
→ 複々線区間なら快速設定は当然ですが、中央快速線三鷹-高尾、埼京線池袋-大宮は京葉線同様、複々線ではなく複線の設備です。
複線の中で通勤特快や通勤快速、特急を設定しています。
中央線では特急誘導の思惑も感じられますが、ここでは省略します。
京葉線と中央線・埼京線とは沿線事情も異なりますが、快速通過については京葉線と同じ理屈は成り立ちます。
朝の通勤特快、通勤快速を各停化した方が、通勤特快等の通過で不便だった駅が便利になる、平準化するという理屈も成り立ちます。
中央線は並行私鉄があること、埼京線は東北線との兼ね合い、東北新幹線開業時の地域との兼ね合いがあるのかもしれません。
京葉線には並行路線がないため、各停化の後押しには有利だったとは言えそうです。
特急列車の上り「わかしお4号」(勝浦駅6時44分発・東京駅8時25分着、土休日運休)がダイヤ改正後に設定される。
~中略~
座れる通勤列車を期待する人も多いから、サービス向上といえるかもしれない。列車単位の収入で考えると、立客も多い通勤快速と座席定員の少ない特急列車で比較すれば通勤快速のほうが収益は上がるから、「儲けよう」というより「座っていただこう」の要素が大きい。
→ JR東日本の特急列車での代替え設定を好意的に受け止めた意見です。
外房線の通勤快速利用者がこの考えに同感であれば、新たな「わかしお4号」で特急化しても不満は出ないかもしれません。
しかしそんなに簡単に受けとめられるとは思えません。
一般的に通勤時の特急料金に対する事業所負担はありませんので、個人の特急料金負担は大きいものがあります。
「座れる通勤列車を期待する人も多いから、サービス向上と」理解されるでしょうか。
勝浦側時点での上り列車は座席に余裕があると思われます。
通勤快速の特急化または各停化については、着席配慮というよりも、東京から外房・内房線沿線の通勤は通勤快速でなく特急でというJR東日本の営業方針によるものではないかと思っています。
今回、通勤快速から一挙に各停にすることは落差、リスクが大きく、その前に快速という順序があるのではないかと考えます。
幕張メッセで開催されるイベントの帰り、快速列車に旅客が集中している様子が気になるくらいだ。そこは朝夕の快速廃止によって混雑が平準化されるから良いと思う。
→ 東京-海浜幕張の所要時間は快速30分、各停40分、快速や特急通過待ちのある各停で約45分です。
駅数としては快速で6駅、各停13駅です。
たまに幕張メッセへ行く時の、平日通勤時以外の時間帯での利用で、快速とは10分差だから各停でもよい、それが平準化にもつながれば、という主旨かと思われます。
その際、日中の10時台から15時台の間だけ設定される快速については不要でないのか、日中の快速と各停の設定と平準化との兼ね合いはどうかの見解が知りたいところです。
どんなダイヤ改正だって利用者の不満はある。だから大きな不満を解消しても、小さな不満は残ってしまう。誰にとっても100点満点のダイヤ改正はない。
→ 正論であり、全員を満足させられる政策や方法はありません。
今回の事案は「大きな不満」なのか、「小さな不満」なのかによって変わってきます。
千葉市や千葉県は前者、本文では「朝は12~14分の所要時間増加、帰宅時は最大21分の所要時間増加」は事実の反面、少なくとも上り通勤快速2本の各停化は後者の範囲ではないかと指摘されていると思います。
小さな不満を報道が際立たせ、政治家が恣意的に利用して大きく見せていることに気をつけたい。千葉県知事、千葉市長、議員の皆さんは冷静になってほしい。不便になる県民市民より、便利になる県民市民のほうが多いのだ。
→ 冒頭で指摘されているように、「満足している人は声を上げない」傾向はありますが、通勤快速と快速通過駅を持つ沿線市区の声は知りたいところです。
京葉線沿線の該当市区は以前にも触れたので略しますが、そのほかにも内房線では市原・袖ケ浦・木更津・君津・富津の各市、外房線では大網白里・茂原・一宮・いすみ・御宿・勝浦の各市町、東金線で東金・山武の各市が該当します。
一部ではすでにJR東日本に対する不満の声が出ていますが、声が聞こえてこない市区町はどのように受け止めているのでしょうか。
また、その受けとめ方は冷静になった上での声でしょうか。
京葉線列車の平準化は図れても、総武快速の転移と房総直通増の声が増えないか
京葉線のことを数回書かせていただいた自分を振り返ると、冷静になっているつもりではありますが、「快速廃止は性急」との思いが強いことや、その結論が先にあることは必ずしも否定できません。
「声の大きい人だけを見ていないか」「不便な人だけを取り上げる報道は不公平に思える」との警鐘、注意喚起はご指摘のとおりです。
本文では、2022年度の各駅の定期利用者を合計した上で、快速通過駅での乗車機会が増え、所要時間短縮の恩恵や効果を評価されていると思われます。
朝の通勤快速の各停化は2本だけのこと、同時間帯に新たに設定される特急については着席保証ということで、いずれも理解すべきではないか。
また、速く行きたいが特急には乗りたくないなら総武快速線があるというフォローも、間接的に触れているように思います。
蘇我及び外房・内房線から東京へ向かう際、もともと京葉線よりも総武快速線経由の方が15両編成の輸送力、グリーン車連結、中間駅の利便性、他路線との接続、東京駅の立地、横須賀線直通、休日の新宿発着特急等、様々な要素で有利なルートであることは否定できないところです。
もともと有利な総武快速線利用を京葉線へ促すことも含めて、京葉線の快速、通勤快速を設定した意義があるのではないかと感じます。
その意味で、各停だけの京葉線で東京へ向かう人が総武快速線に切り替え、京葉線全体の利用度が下がってしまわないかが気がかりです。
最終的に京葉線列車全体の平準化、快速通過駅の利便性向上は果たせても、京葉線の利用そのものが減ってしまわないか、逆に総武快速線の混雑が増えないか、京葉線直通列車は来なくていいから総武快速列車を外房・内房線直通をといった声が多くなり、地域の流れが変わっていくのではないかと感じました。
(※ 記載にあたり、2023年12月31日付け、マイナビニュース「JR京葉線、通勤快速など各駅停車化で不満続出 - 本当に『改悪』か」を参考にさせていただきました。)