平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

京葉線 JR東日本は通勤快速を特急化したかったか?

東京-蘇我間、通勤快速37分、特急46分の所要時間ギャップと他路線での特急化事情?

2023年12月16日付け、拙「2024年春ダイヤ改正 京葉線快速を日中以外全廃するJR東日本の意図を読む」の関連編です。

JR東日本が今回、京葉線の通勤快速廃止について、どのような経路をたどって今回の結論に至ったのかを、JR東日本の立場で時系列的に想定してみました。

毎回のことですが、何の根拠もない勝手な想像であることを予めご了承ください。

また、以前の内容と重なる個所もありますが、併せてご承知ください。

 

通勤快速は過剰サービス → 特急化が適当との方向性結論

→ 京葉線の通勤快速は、東京-蘇我間で八丁堀、新木場のみの停車で、下りは所要37分、上りは41分と44分である。

→ 下り「さざなみ3号」は東京18時30分発→蘇我19時09分着で、所要39分を要し、通勤快速より遅いのは特急として具合が悪い。

同じく、上り「わかしお4号」は蘇我7時39分発→東京8時25分着で、所要46分を要し、通勤快速の所要41分より遅いのは特急として具合が悪い。

さらに、「さざなみ4号」は蘇我7時29分発→東京8時12分着で、所要43分を要し、通勤快速より遅いのも特急として具合が悪い。

 

→ 通勤快速を特急化することはできるが、特急を通勤快速化することは営業施策的にもできない。

→ 通勤快速の特急化は全車指定席による着席保証、東京-蘇我間無停車、座席快適性がある。

→ 京葉線の通勤型電車にはグリーン車を併結できない。

また、営業施策的にも見合わない。

中央快速線のような12両化は無理であり、10両編成に2両のグリーン車を組み込んで普通車を8両に減車するのも望ましくない。

→ 京葉線の快適通勤は特急ということになる。

 

→ 話は戻るが、そもそも東京-蘇我間で、八丁堀と新木場のみの停車で所要37分の通勤快速の存在自体が、他の路線では特急化しているのに、京葉線だけ通勤快速でサービスを続けるのはどうか。

→ 通勤快速は特急化した方が適当ではないか。

→ 中央線でも特急「はちおうじ」「おうめ」を設定している。

新宿-立川の特急30分乗車であっても、全車指定席による着席保証、新宿-立川間無停車、座席快適性がある。

→ 「ホームライナー」はJR東日本の特急化の方向性により、採用しない。

 

→ 平日通勤時間帯の特急の一部が所要時間を要するのは、先方列車に追いついてしまうため、やむを得ない。

→ 中央線特急「はちおうじ」「おうめ」同様、全車指定席による着席保証、東京-蘇我間無停車、座席快適性で理解していただく。

 

通勤快速を快速化するか? 各駅停車化するか?

→ 通勤快速を快速にすると、特急誘導はできなくなる。

→ 通勤快速を特急化すると、全車指定席による着席保証、東京-蘇我間無停車、座席快適性があり、それを優先する。

 

→ 蘇我7時44分発→東京8時28分着の通勤快速は44分を要しており、既存の快速と所要時間では大差がない。

→ 通勤快速の快速化により停車駅が多くなったことで、蘇我から東京への利用者の新たな苦情等は発生する。

→ 通勤快速の快速化により7割だった乗車率が逆に増えすぎる恐れがある。

→ 快速化によって、各駅停車列車(以下、「各停」)との平準化は一層目指しにくくなる。

→ それなら蘇我-東京間無停車の特急の方が受け入れられる。

 

→ 勝浦6時25分発通勤快速は、6時44分発「わかしお4号」への利用を促す。

東京到着時刻はほぼ同じだが、勝浦-東京の所要時間としては20分短縮する。

→ 東京-勝浦は110.1キロもある。

百キロを超える長距離での通勤快速設定は過去の話(サービス過剰)であり、現在では特急が適当である。

 

→ 下りの通勤快速については、東京-蘇我を快速で所要37分にするのは無理で、所要時間は最短43分、最大49分となる。

→ 現在の東京発通勤快速は18時14分発と19時18分発になっている。

→ 東京発17時から21時まで、東京-蘇我京葉線内では特急が30分間隔である。

18時14分発通勤快速勝浦行き利用者は、18時00分発「わかしお13号」に誘導する。

京葉線内のみの利用では18時00分または18時30分発「さざなみ3号」の両特急への誘導や選択ができる。

 

→ 19時18分発通勤快速君津行きも同様で、内房線利用者は19時30分発「さざなみ5号」となり、京葉線内は19時00分発「わかしお15号」も選択できる。

 

通勤快速廃止は長距離列車は特急という営業施策が根底?

通勤快速の廃止については、東京-勝浦110.1キロのほか、内房線東京-上総湊でも98.1キロあり、百キロ近い区間は特急という方向性によるJR東日本の施策と考えます。

ただし、それを前面に出すことは特急化したい営業施策議論の方向になってしまうので、避ける必要がありました。

 

それなら通勤快速を快速にすればよいとの話になりますが、ラッシュ時を中心に、快速に利用者が集中し、各停の乗車率との差を是正する課題があります。

通勤快速が快速になっても快速で残る以上は、各停との平準化はできないという壁に突き当たります。

また、京葉線全体の列車利用度から見た普通列車施策の中では、終日の各駅停車化という究極の方法が理想という最終結論があると思われます。

ただし、終日完全各停化を実施すると、東京-海浜幕張蘇我への新都心速達輸送に対する苦情も生じるため、日中10時台から15時台の5時間枠で、快速での速達を行なうフォローをしている姿を地域に見せていると感じます。

その点では横浜線南武線の快速に類似する点があります。

 

通勤快速から各停への変更は飛び越えすぎ?

結果論ですが、通勤快速について、快速という種別を飛び越えていきなり各停にするのは飛躍しすぎであり、通勤快速の快速化が順序だったのではないかと考えます。

JR東日本千葉支社としては、特急誘導の話は禁句ゆえに、各列車での平準化、快速と各停の平準化という平準化の話や、各停専用駅の乗車機会向上で押し通すしかなかったと感じます。

ひとまず、上り通勤快速が7割の乗車率にとどまるから各停化というのは性急過ぎており、快速化によって停車駅を増やすのが千葉市・千葉県等からの波風を緩和する方法ではなかったでしょうか。

現在、JR千葉支社が千葉市からの宿題の一つとして持ち帰った中で、各停で押し通すか、次のダイヤ改正で何らかの措置をするかが注目されるところです。