平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

「すずらん」の東室蘭行き案内表記の不可思議と全区間特急化との兼ね合いを考える

すずらん東室蘭-室蘭特急化の経過の意外性?

2023年11月17日付け、乗りものニュース理由は『特急室蘭行きって言いたかった』!? 謎の『各駅停車すずらん』消滅の理由 18きっぷ特例にも影響か」を拝見しました。

札幌-室蘭の特急「すずらん」は、東室蘭-室蘭を普通列車として運転していますが、東室蘭-室蘭も特急化することに関連した興味深い内容です。

以下、一部を引用させていただきます。

(以下引用)

札幌から室蘭まで丸ごと特急列車として運転する理由は何なのでしょうか。

 JR北海道は「特急としての行先を正式に『室蘭』としたかったのです」と話します。

 これまで、あくまで特急「すずらん」のとしての終着駅は東室蘭駅でした。車両や駅案内板の行先は「室蘭」と書いてあるものの、各種の案内では「東室蘭行き」となっているものが見られます。しかしその情報を見た利用者にとっては「室蘭には行かないのか?」と混乱を招いていたそうです。実際はそのまま乗り続けていれば室蘭駅まで行けるのですが、この状況を解消するため、全線特急で運行して「特急・室蘭行き」を堂々と名乗れるようにしたといいます。

(以上引用)

 

すずらん」は札幌-室蘭5往復ですが、上り「すずらん2号」に限り東室蘭止まりとなっています。

この記事を読んだ時は、東室蘭行き「すずらん2号」の話かと思いましたが、上り列車5本に共通する事例とすれば、現地で誤解を招くことは十分想定されます。

 

記事の中の「特急としての行先を正式に『室蘭』としたかった」のが東室蘭-室蘭特急化の要因の一要素なのでしょうか。

列車の行き先は「室蘭」の表示でも、各種の案内で「東室蘭行き」となっているとすれば妙な話ですが、実際に「東室蘭行き」で案内しているとすれば、列車はあくまで室蘭行きである以上、JR北海道にとってはよろしくない状況とは感じます。

 

しかしながら、室蘭に行かないとの誤解を招くため「特急室蘭行き」と名乗れるように、JR北海道が来春から全区間を特急に変えるとすれば、その前に行なうべきことがあるのではないかと思います。

区間を特急化すれば「特急室蘭行き」を名乗れることは確かですが、「特急室蘭行き」を名乗ることで各種案内が「室蘭行き」に変更される期待で東室蘭-室蘭を特急に格上げするとすれば、たとえそれが一要素にすぎなくとも、考え方としてはどうかと思います。

東室蘭行き」を表記している現状については、現「すずらん」が東室蘭から普通列車の種別に変わろうとも、列車としてはあくまで室蘭行きであることの理解を求めることが先決ではないかと考えます。

特急としては東室蘭までだから「東室蘭行き」の認識を、列車自体の行き先である「室蘭行き」にするよう変更を求めるのが先決ではないかと思われます。

 

現場では、来春に室蘭まで特急にしてから表示の様子を見て「東室蘭行き」のままならば晴れて「室蘭行き」表示変更を依頼できるということでしょうか。

たとえ7.0キロの短区間でも特急列車である以上、普通列車に変わること、普通列車を名乗ることを避けたかったのか。

「特急としての行先を正式に『室蘭』としたかった」との考えに至るまでに、現場の人にしか分かり得ない固有の事情があったのでしょうか。

 

JR九州JR東日本の事例を見る

ここで、JR北海道以外の事例を見てみたいと思います。

JR九州では、日豊線宮崎空港線の特急「ひゅうが」「にちりん」「にちりんシーガイア」について、宮崎-宮崎空港は特急列車の設定ではあるものの、同区間の相互間では乗車券のみで普通車自由席に乗車できます。

佐世保線「みどり」早岐佐世保も特急区間ですが同様の扱いです。

JR東日本では奥羽線新青森-青森で、特急自由席または全車指定席の快速列車への乗車が可能としています。

 

特急が途中から普通列車になる事例としては、JR東日本外房線わかしお17・21号」があります。

この2列車は勝浦-安房鴨川が普通列車になります。

現場で「特急勝浦行き」と案内すれば安房鴨川まで行かないのかと、室蘭と同じような混乱をきたすのは必然であり、列車行き先は「安房鴨川行き」です。

かつては成田線鹿島線「あやめ」「すいごう」も佐原-鹿島神宮・銚子間は特急から普通列車になっていました。

 

区間特急にしたかった現場の心情

JR北海道は「すずらん」全車指定席化を機に、札幌-室蘭の全区間の特急扱いと、東室蘭-室蘭の相互間は乗車券のみで乗車可能とすることで、この話題に決着を付けたかったように感じます。

JR北海道JR九州日豊線宮崎-宮崎空港佐世保線早岐佐世保の事例を参考にしたのかもしれません。

2024年3月の室蘭、根室線特急の全車指定席化は、北海道の全特急の全車指定席化の前段であり、今回の一部路線全車指定席で様子を見つつも指定席を定着化させ、2025年3月に旭川側の特急も全車指定席にするのではないかと予想されます。

自由席比率の高い「すずらん」の全車指定席はその一つの参考事例となります。

全車指定席化に対する課題整理、理解、定着の流れの様子を見守りたいと思います。

 
(※ 記載にあたり、2023年11月17日付け、乗りものニュース理由は『特急室蘭行きって言いたかった』!? 謎の『各駅停車すずらん』消滅の理由 18きっぷ特例にも影響か」を参考にさせていただきました。)
 

※写真は本文と無関係です。