5日間で指定席6回、全車指定席特急、グリーン車2&2席、北海道用の区間設定等を考えます
50歳以上を対象とした「大人の休日倶楽部パス」の2024年版が公表されました。
東日本用、東日本・北海道用、北海道用の3種で、それぞれに普通車用とグリーン車用があります。
えきねっと購入が基本ですが、普通車用は駅の窓口や券売機での購入もできるものの、その場合は千円上乗せされます。
利用期間は年3回、2024年6月20日~ 7月2日、9月26日~ 10月8日、2025年1月16日~ 1月28日で、いずれも各13日間の中で、連続5日間の利用日を決めます。
発売額は、東日本用が普通車18,800円、グリーン車35,000円。
東日本・北海道用が普通車26,620円、グリーン車50,000円。
北海道用が普通車17,400円、グリーン車35,000円です。
今回は、大人の休日倶楽部パス(以下、「休日倶楽部パス」)に対する意見、感想を書きたいと思います。
5日間有効で指定席6回では不足
JR東日本は首都圏を中心に特急の全車指定席化を進めてきました。
休日倶楽部パスは新幹線を含め自由席に何度も乗れることが魅力の一つでしたが、2024年度では首都圏発着特急に自由席のある列車自体が基本的に存在しません。
在来線で自由席があるのは篠ノ井線「しなの」「信州」、信越線「しらゆき」、羽越線「いなほ」、奥羽線「つがる」に限られます。
新幹線でも東北「はやぶさ」「はやて」、秋田「こまち」、山形「つばさ」、北陸「かがやき」は全車指定席です。
新幹線自由席は、東北は「やまびこ」「なすの」、北陸は「はくたか」「あさま」「たにがわ」になります。
5日間で指定席6回分をいかに使うか、知恵を絞るわけですが、新幹線に充てるのが通常と思われます。
首都圏の全車指定席特急に休日倶楽部パスの指定席6回分を充て、新幹線は「やまびこ」自由席にする方法もありますが、遠くまでの移動が時間的に不利になってきます。
そうなると首都圏特急の利用時は特急料金別払いせざるを得なくなってきます。
5日間有効なら指定席は10回利用が通常では?
5日間連続で東北の観光地を巡るなら、少なくとも指定席列車は一日1回で次の観光地へ向かえば十分と思っているのでしょうか。
指定席6回に不満があるなら休日倶楽部を使わなければよいと言えばそのとおりで、話は終わりです。
しかしながら、JR東日本の指定席本位の状況を鑑みれば、5日間で6回は少なすぎ、配慮が不足ではないかと言わざるを得ません。
休日倶楽部パスは50歳以上対象の企画商品であり、中高年以降、高齢者向けともいえるものです。
高齢者ほど指定席確保という保険があれば安心になりますが、自由席で立っても平気かどうかは個人差により大きく異なってきます。
指定席利用は1日2回、5日間10回とするのが利用者への実用的な配慮というものではないでしょうか。
北海道用のような、全車指定席列車は空席に座れる扱い方を
休日倶楽部パスの北海道用は、全車指定席となった「おおぞら」「とかち」「すずらん」「北斗」に対して、指定席の空席を6回分の範囲に含めず利用可能としたのはJR北海道の配慮が感じられます。
これに対してJR東日本は全車指定席特急の空席乗車配慮はなく、指定席6回の回数増もないまま、発売価格を引き上げました。
このJR東日本の考えはいささか現実を見ない扱い方であり、利用者には特急料金の別払いが数回生じる可能性もあって、あまり感心できるものではありません。
指定席を6回までに固執するなら、JR北海道と同様、少なくとも全車指定席特急の空席乗車扱いをすべきではないかと考えます。
高齢者利用を加味すれば普通車18,800円を20,000円にしてでも、指定席10回、特急立席乗車可能にする方がよいのではないかと考えます。
休日倶楽部パスのグリーン車用を利用して、座席設備のゆったり感のある列車としては、新幹線では東北用「はやぶさ」中心のE5系、上越・北陸用E7系・W7系で、車体幅の広い車両の2&2席にはゆとりがあります。
新幹線は、E6系秋田「こまち」、E3系・E8系山形「つばさ」は在来線車体のため横幅の限られた中で普通車と同じ2&2席では、E5系の居住性と大きな居住差があります。
在来線特急グリーン車も2&2席では、少なくとも横幅のゆとりに関しては普通車と大差がありません。
グリーン車用で東京-秋田の「こまち」に使うなら、東京-盛岡を「はやぶさ」グリーン車に充て、盛岡-秋田は特定特急券扱いの空席利用に乗り換えようかと思うくらいです。
最新のE8系でも2&2席のままとしたJR東日本の発想は、失望を禁じえません。
(JR東海の最新「ひだ」も同様です。)
在来線特急でゆとりのある2&1席配置は羽越線「いなほ」、東海道・伊東線「サフィール踊り子」に限られます。
このような状況では、東北・上越・北陸新幹線だけに乗るなら別として、グリーン車用をお勧めする気にはなれません。
グリーン車自体の連結のない特急もありますので、なおさらです。
北海道のグリーン車用では、グリーン車が2&1席なのはよいのですが、座席数が少ないため、満席で普通車になってしまってはグリーン車用の意味がなくなります。
かといって、だからJR東日本のようにグリーン車でも2&2席で座席数が多い方がよいという思想は方向性が違うと思います。
自社路線でありながら新幹線区間を除外しています。
東北用はJR東日本区間専用なので、新青森以北に乗れないのは当然としても、北海道用でも除外するのはなぜでしょうか。
北海道新幹線を含めると価格変更(値上げ)しなければならなくなり、値上げすることで売り上げに影響するということでしょうか。
それとも、新青森-新函館北斗に乗りたいなら東北・北海道用を購入せよということでしょうか。
東北・北海道用のサイトを見ると、「北海道新幹線(新青森~新函館北斗間)にご乗車いただけます。」と、わざわざ説明文字の色を変え、太字にして目立たせ、強調しています。
北海道新幹線(新青森~新函館北斗間)は特殊な区間だから、休日倶楽部パスで気軽に何度も乗れるものではないのだと、暗に主張しているようにも感じます。
東北・北海道用なのですから、特別に説明しなくても「JR北海道全線(新幹線を含む)」だけでも伝わります。
東日本用でも、同じ説明の中で、「東北新幹線や秋田新幹線、北陸新幹線などにご乗車いただけます!」と、色文字、太文字に加え、「!」マークを添えて北海道以上に力を込めているのが妙です。
新幹線は別格であり特別に乗れるものと受けとめる人は、今ではほとんどいないのではないでしょうか。
大人の休日倶楽部に対する意見を書かせていただきました。
1日当たりの単価としては、とくに普通車用が安価(東北用で1日3,760円)であることは評価されますが、指定席回数、在来線グリーン車2&2席、会員価格のバランス(高齢者で個人4,364円、夫婦7,458円)を考えると、手が伸びにくい、まだ敷居の高い、キュン♥パスのような価格の優越感を感じにくいように感じました。
今後の改善を期待したいと思います。
(※ 記載にあたり、旅行総合研究所タビリス、2024年2月14日付け、「『大人の休日倶楽部パス』2024年度の期間と価格。東日本版は値上げ、5日間に」を参考にさせていただきました。)