行きは新幹線でも帰りは飛行機、または往復飛行機の時の空路と機窓の話です
今回は、羽田空港発着の飛行機の話です。
平素、飛行機より新幹線、鉄道の愛着とこだわりで、移動するなら極力、列車を選択します。
ただ、ごくたまにですが、片道だけは飛行機にしようかという区間があります。
富山・小松・能登・伊丹の4空港の魔力
北陸新幹線で富山、金沢に行く時、往路は「かがやき」「はくたか」ですが、帰路を富山、小松、能登空港にして羽田へ帰ることがあります。
富山・能登・小松発羽田行きは羽田からの最短空路とは異なり、全く違う迂回空路で羽田へ戻るのが特徴です。
富山・能登発は、佐渡島方向に向かい、その後、猪苗代湖方面、霞ケ浦の西側を経て羽田への迂回空路です。
小松から羽田は、富山・能登と往路はほぼ同じですが、帰路は異なり、岐阜、愛知、浜名湖の北側、伊豆半島の南端、大島を経由する迂回空路です。
これほど大きな迂回空路は他の経路にはないようです。
もう一つが、大阪へ向かう時で、帰路は新大阪から東海道・山陽新幹線「のぞみ」ですが、東京駅を横目に素通りして浜松町から東京モノレールまたは品川から京急で羽田へ向かうことがあります。
羽田発伊丹行きは、伊丹着陸直前に新大阪駅を見下ろす光景が好きなことと、航空ファンが多く集まる千里川の土手を見ながらの着陸に魅了されるためです。
伊丹到着後は、大阪モノレールと阪急宝塚線を乗り継ぎ、岡町から先程の千里川の土手へ向かい、次々に伊丹空港に着陸する飛行機を見ます。
飛行機着陸がここまで近くで見られる空港はなかなかないこと、着陸分数が多いこと、一機着陸したと思うと、すぐ次の飛行機が待ち構えていたかのように続けて着陸します。
立ち去ることを忘れ、いつまでも見ていたくなる光景ですが、新大阪へ向かって「のぞみ」で東京へ帰ります。
北海道、九州は、新千歳空港と福岡空港へのアクセスが便利なことや便数の豊富さから他の人との同一行動では飛行機が多くなります。
札幌へはせめて北海道新幹線新函館北斗から札幌まで「北斗」で目指したいところですが、それは単独行動の時に限られます。
飛行機の空路と機窓
飛行機でも重要な要素は車窓ならぬ「機窓」です。
船が航路なら、飛行機は「空路」です。
ちなみに鉄道は線路ですがレールをイメージしてしまうため、鉄道の経路を線の路(みち)として「線路」とは言っていません。
上空から見下ろす地上の雄大な光景、地図と同じ海岸線の確認など、鉄道にはできない飛行機の特権です。
飛行機でも列車同様、窓側の座席に座ることが前提です。
窓側以外では下界が見えず、これが飛行機への移動の不満につながってきます。
関西以西から羽田へは、窓側であっても本州が見える左側席が要件で、右側席は太平洋しか見えない区間もあります。
座席移動も新幹線自由席のような自由は利きません。
こうしたことも飛行機を敬遠する要因ですが、そもそも飛行機はあくまで空港から空港への速達であって、機窓にこだわる性格のものではないのでしょう。
前後の座席間隔が狭いため、通路席を好む人もいます。
3人席の中央に人気がないのは新幹線B席と共通です。
おもな空路と機窓の状況
ここで羽田と他の空港との空路、機窓景色(以下、「機窓」)について見てみます。
ほとんど海しか見えない機窓であっては、通路に足が伸ばせる席の方がいいかとさえ思ってしまいます。
正確には空港ごとに空路が異なりますが、目安としてご覧ください。
〇 北海道
羽田-函館は往復とも本州上空で機窓は得られるので、理想的です。
函館以外の各空港へは、いずれも青森県-北海道は往復とも太平洋上となります。
羽田-新千歳では往路の方が青森県下北半島を上空通過の分、帰路よりも機窓は得られます。
羽田-青森県は本州上空で機窓が見られます。
〇 東北
往復とも本州上空中心で機窓は得られます。
羽田-青森を例にすれば、日本海と太平洋の中央部を飛行します。
〇 近畿
羽田-神戸は往復とも淡路島方向に行き過ぎてから神戸に戻る迂回ルートが興味深いところです。
羽田-南紀白浜の往路は本州上空ですが、帰路はほぼ太平洋上で機窓は得られません。
〇 山陰
往復とも本州上空中心で機窓は得られます。
若狭湾付近通過が興味深いところです。
〇 山陽
岡山、広島、山口宇部とも往復とも本州上空中心で、左側席の方が機窓は得られます。
〇 四国
羽田-高松は往復とも本州上空中心で、帰路も太平洋上を通過しないため機窓が得られ、四国4空港の中では機窓に優れた区間です。
徳島と松山は、往路は機窓が得られますが、帰路は太平洋中心です。
高知は往路もほぼ太平洋上の印象を受けます。
〇 九州
羽田-鹿児島・宮崎の2空港の往路は紀伊半島の後、室戸岬、足摺岬の南端から日向灘付近を行く洋上コースで、両窓とも機窓は得られなくなります。
鹿児島、宮崎からの帰路は洋上のみです。
羽田-福岡は、往路では紀伊山地から中国地方の中央部を行き、帰路は四国の内陸部、北側を行きます。洋上でないのが利点です。
長崎、佐賀、熊本もほぼ同様です。
北九州・大分は、淡路島、瀬戸大橋、瀬戸内しまなみ海道を往復とも見られる点で、他の空港ルートにない、機窓に恵まれたルートです。
〇 沖縄
往路は紀伊半島までは機窓が得られますが、以降は洋上です。
帰路は洋上のみです。
沖縄は洋上のみの機窓の印象と、モノレール以外の鉄道がないこともあって、鉄道ファンとしては足が向きにくい地域です。
飛行機に乗ることで鉄道の持ち味も見えてくる
飛行機と新幹線の往復の組み合わせによって、「自分には列車の方が自分に合っている」と列車の良さを再認識することができます。
往復が飛行機の場合、北海道、四国、九州内に入ってからの島内だけは列車で移動したくなります。
ふと、普段は自分の周りにいつも同じ人がいることが当たり前であっても、その人が長期不在になるとありがたさを再認識する光景を思い浮かべました。
(※「飛行機からの景色と飛行ルート」を参考にしました。)