山陽線下関-門司はJR九州の管轄で、交直流電化切り替えがあるため415系で運用しています。
415系は2023年4月1日時点で14本56両が大分車両センターに配置されています。
1986年から1987年にかけての新製で、2023年時点で36年から37年が経過しました。
まだしばらくは415系が活躍すると思われますが、今後の後継車について考えてみたいと思います。
投入車両の要件
〇 電車の場合、交直流車両が必要であること。
〇 関門トンネルの20‰の勾配を考慮する必要があること。
〇 関門区間(下関-門司)だけの専用運用か、鹿児島線、日豊線も運用するかを考慮すること。
〇 4両編成を踏襲するか?3両編成、2両編成に短縮するか?
→ 415系4両編成は現状の関門間の輸送需要と一致しているか?
〇 どこの配置とするかを考慮すること。
→ 2023年4月1日時点では大分車両センターに14本56両が配置されていること。
→ かつては、小倉総合車両センター門司港派出所、南福岡車両区にも配置された経過があること。
後継車決定までの選択過程を想定する
◆電車か?電車ではないか?の選択について
→ 電車なら、交直流電車か?蓄電池電車か?
〇 交直流電車で置き換える方法
● 新製するか?
① JR九州独自の新形式を開発投入するか?(既存の電車形式に捉われない独自の新形式か?)
② 817系交流電車の交直流版で新製か?
③ 305系直流電車の交直流版で新製か?
④ 元JR西日本の521系交直流電車を参考に、JR九州版で新製か?
⑤ JR東日本のE531系交直流電車を参考に、JR九州版で新製か?
★ 関門間を何両編成で組成するかによって、決まります。
2両とするなら521系は参考になると思われますが、現在の415系4両を一挙に2両半減はしないと思われます。
521系の3両編成版またはE531系の3両編成版も想定、比較検討しながら、①のJR九州独自に新製するかと考えます。
編成の自由度も要件であり、4両以下に縮められない固定編成では鉄道側にとって不利です。
予想として新車投入を機に3両化するのではないかと考えます。
● 他社から交直流車両を購入するか?
★ JR九州の経営状況から、他社からの購入はしないと思われます。
また、現車両所有側もよほどの余剰がない以上、他社売却の選択肢はないと思われます。
〇 蓄電池電車で置き換える方法
→ 交流電車か?直流電車か?
⑥ 近郊形交流蓄電池電車BEC819系か?
→ 関門トンネル内と下関駅構内での電化設備活用、下関駅停車中の集電はできない。
→ BEC819系近郊形交流用蓄電池電車「DENCHA」で置き換えるか?
→ BEC819系は10分間充電で約90km走行が可能となっているが、関門のトンネル事情、勾配事情でも対応可能か?
⑦ 直流電車(BEC819系の直流版)か?
→ 門司側では集電しない方式となる。
関門トンネル内と下関駅構内での電化設備活用はできるが、関門間以外での走行(鹿児島線、日豊線)では、電化を活用することはできない。
車両基地までの自走はできない。
★ 関門専用といっても車両基地への回送があり、蓄電池方式なら⑥の交流電車と思われます。
既に819系で実績もあります。
気動車で置き換える方法
⑧ キハ220系での置き換えか?
→ 電化区間で電車を投入せず、気動車で運用している事例として肥薩おれんじ鉄道、えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン、羽越線村上-酒田などがあります。
→ 関門トンネルの往復に対したは、気動車の勾配対応の機能、トンネル内の油煙、騒音の関係等から、選択しないと思われます。
⑨ ハイブリッド車での置き換えか?
● JR九州のYC1系タイプで置き換える方法
● JR東海HC85系ハイブリッド車を参考に、近郊形タイプを新製して置き換える方法
● JR東日本の仙石東北ライン用HB‐E210系ハイブリッド車を参考に、近郊形タイプを新製して置き換える方法
★ ⑧の関門トンネル事情も、時代に合わせたハイブリッド車ならかなり解決できそうです。
気動車ではありますが、直流・交流の電化方式の議論が不要なのは強みです。
YC1系は2018年の登場ですが、JR東海HC85系量産車は2022年の新製で特急としての実績もあります。
HC85系を参考にしながら、自社のYC1系を関門向きに改良投入の選択肢もありそうです。
予想結論
筆者予想は、⑥交流電車BEC819系3両編成の投入です。
理由として、関門用もBEC819系になればJR九州の電車は筑肥線以外のすべてが交流電車一本に揃えられ、保守、維持管理の経費節減や効率化に寄与すると考えるためです。
問題は、関門トンネル内と下関駅での電化設備が未活用となることですが、JR九州全体で見れば、片道6.3km、往復12.6kmのごくわずかの直流電化設備活用のために交直流電車を保有することが効率的かどうか、BEC819系と比較することになります。
その結果、JR九州としては関門間のためだけの交直流車保有よりも交流蓄電池車BEC819系の選択と考えます。
ハイブリッド車も選択の余地がありますが、鹿児島線、日豊線の電化設備を活用しながらの運用を加味すれば819系かと思われます。
編成両数は、415系は4両固定編成なので4両編成しか組めませんでしたが、819系を機に3両に縮小するように思います。
なお、二番目の選択肢として⑨ハイブリッド車、同じく三番目として①JR九州独自の新形式交直流電車を開発投入と思います。
※写真は本文と無関係です。