走行キロ数調整の前に683系の余剰車対策が先決
昨日の拙「JR西日本の681系・683系は交直両用電車としては何両残るか?」の続編です。
北陸新幹線敦賀開業以降、特急「しらさぎ」は名古屋-敦賀8往復、米原-敦賀7往復に変わりますが、いずれもJR西日本の681系または683系(ここでは以下、総称して「683系」)交直流電車です。
敦賀までの運用となれば683系の直流化改造されるのではないかというのが昨日の論点でした。
名古屋「しらさぎ」は、東海道線名古屋-米原管轄のJR東海にとっては、JR西日本に対し名古屋乗り入れ分の列車走行キロを調整する必要があるため、直流区間のみの走行を機に一部または半数をJR東海の383系または373系(ここでは以下、総称して「383系」)に置き換えようかという考えが出てくるのは自然なこととも言えます。
今回は、「しらさぎ」の一部をJR東海の編成で置き換える可能性について考えてみました。
東海道・山陽新幹線と寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」は別として、JR西日本車両がJR東海区間に乗り入れるケースと、その逆の、JR東海車両がJR西日本区間に乗り入れるケースとを見てみます。
現在の「しらさぎ」はJR西日本車両で、米原-名古屋79.9kmに8往復(片道延べ639.2km。以下、同)乗り入れます。
JR西日本からJR東海への乗り入れは、東海道・山陽新幹線と「サンライズ出雲・瀬戸」を除くと名古屋「しらさぎ」が唯一です。
JR東海からJR西日本へは、「ひだ」の東海道線米原-大阪110.5kmに1往復、同じく「ひだ」で高山線猪谷-富山36.6kmに4往復(同146.4km)、「南紀」が新宮-紀伊勝浦14.9kmに3往復(同44.7km)乗り入れます。
すなわち列車としては「ひだ」「南紀」の2列車、乗り入れ区間としては3区間になります。
JR西日本からJR東海への乗り入れキロ数は8往復計639,2km、JR東海からJR西日本への乗り入れも延べ8往復ですが合計距離は301.6kmの状況です。
机上の細かな計算式はここでは省略しますが、仮に名古屋「しらさぎ」8往復のうち2往復をJR東海383系等で置き換えたとすると、JR西日本とJR東海への乗り入れ走行キロの差は縮まります。
これはJR東海にとって、米原-名古屋79.9km分がなくなり、米原-敦賀45.9kmが加わることでの距離相殺によるものです。
なお、所属基地への回送関係計算は略します。
仮に名古屋「しらさぎ」の一部をJR東海383系で置き換えた場合
走行キロ数調整策として、机上計算上では名古屋「しらさぎ」2往復をJR東海編成で置き換える方法はありますが、同一数値にはできません。
臨時列車では、紀伊勝浦乗り入れの「南紀」で増発しますが、米原「しらさぎ」を名古屋まで延ばす臨時運転は見られない状況も加味する必要があります。
列車設備的には、373系にはグリーン車がないこと、383系のグリーン車は2&2席で、683系の2&1席よりも居住性は低下します。
JR西日本にとって、JR東海383系のグリーン車座席の違い、横幅が狭くなる座席配置は、かつての「しなの」大阪乗り入れでも経験済みとはいえ、歓迎される座席配置かどうか。
また、373系では普通車のみでグリーン車がないので、案内が複雑にもなります。
そもそも米原-敦賀45.9km、28分乗車でグリーン車自体の連結や、座席居住性議論などあるかということになりますが、それは別の機会とします。
一方、東海道新幹線では全編成の乗降ドア位置、座席配置の同一化に執拗にこだわるJR東海は、名古屋「しらさぎ」ではそれらが異なっても別に構わないのでしょうか。
681系・683系の余剰車対策が先決
しかしJR東海編成での一部置き換えの前に一つ、肝心なことがあります。
敦賀-富山を走行しなくなった683系の余剰車両の対策です。
JR西日本の電化区間で683系の新たな走行路線は容易には見つかりません。
昨日はおおさか東線、奈良線、関西(大和路)線、関西空港線、瀬戸大橋線、北陸新幹線並行の第三セクター路線、団体列車等を提案させていただきました。
ほかにも山陽線全線をはじめ小浜線、桜井線、和歌山線、赤穂線、宇野線、福塩線、可部線、宇部線などがありますが、いずれも683系の余剰車両数と列車需要との関係で、根本的な解決策にはなり得ません。
結論として、「しらさぎ」はJR西日本683系での継続が有効活用策になります。
383系の「しらさぎ」充当は683系の余剰車を一層多くする要因となり、JR西日本では行なわないと考えられます。
また、JR東海とJR西日本との経営状況の違いも考慮する必要があります。
山陽線下関-門司を挟んだ山陽・日豊・鹿児島線団体列車はどうか?
話は戻りますが、683系交直両用設備を活かす一案として、JR九州の了承が必要ですが、下関-門司の交直切替区間を活かして、山陽線から日豊線・鹿児島線への団体列車企画はどうでしょうか。
一例として下関-門司-門司港や、新山口-大分の団体列車設定です。
下関-門司は、七尾線と北陸新幹線並行第三セクター路線以外で、683系の交直両用機能が活用出来る唯一の区間です。
JR九州の415系との交直流切り替え比較を企画するのも一興と思います。
(余談)鉄道コムに入る時と入らない時
以下は、鉄道コム関連の余談です。
筆者は自らのブログランキングには参加していませんが、鉄道コムでは拙ブログも拾ってくれることがあります。
それが多くの人の目に触れる機会になるのはありがたいことです。
鉄道コムでは、拾われる時と拾われない時とがあり、違いは明確には分かりませんが、昨日の内容は拾われない結果でした。
それが鉄道コムのアクセス数に差が出てくる事実はありますが、現在は大きな差がなくなった印象もあります。
鉄道コム経由でなくても拙ブログを見てくれるケースが多くなったのはうれしいことです。
自らランキングに参加していないのは、偉そうに聞こえるかもしれませんが、ランキングを意識して書きたくはないからです。
鉄道コムで拝見するブログの多くは写真または模型で、筆者のような文章型は割合としては少ないようです。
更に、旅行記や鉄道界の動きの紹介でなく、私見を中心としたものになるとさらに少なくなってきます。
理屈よりも楽しむことが趣味の鉄道趣味のほとんどと感じます。
主観的か客観的か、面白いか面白くないか、役に立ったか立たなかったか、理解・共感は得られているかどうかなど、判断は人それぞれですが冷静、客観的な視点、たとえ独りよがりであっても社会、鉄道界の役に立ちたい意識だけは心掛けたいと思います。
軌道を外してしまうこともありますが、年齢を重ねてもまだまだ勉強が足りないと感じます。
多くの人に見ていただけることや、日々見ている励ましをいただけることにこの場を借りてあらためて感謝する次第です。
今後ともよろしくお願いします。
※写真は本文と無関係です。